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ファイナル、自社開発BA搭載カナル「Heaven II」

実売7,980円。筐体はステンレス削り出し

左がブラック(BL)、右がブルー・グレー(BG)

 ファイナルオーディオデザイン事務所は、同社初の自社開発バランスド・アーマチュア(BA)ユニットを搭載したカナル型(耳栓型)イヤフォン「Heaven II」を9月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は7,980円前後。カラーはブラック(BL)とブルー・グレー(BG)の2色。

 BAユニットを搭載した「Heaven」シリーズのエントリーモデル。同社はこれまで、自然な再生音を得るために、既存のBAユニットをカスタムして使用していたが、「Heaven II」では新たに自社で開発したBAユニットを搭載しているのが特徴。

自社で開発したBAユニットを初搭載
ブラック(BL)モデル
ブルー・グレー(BG)モデル

 ユニットはフルレンジのシングルドライバ。「BA型では再生困難とされてきた立体的な空間表現を実現した。ステンレス筐体により、立ち上がりの早い、スピード感のある音をお届けする」という。さらに、空気の流れをコントロールするBAM機構(Balancing Air Movement)も採用。低音再生能力を高めている。

 筐体はステンレスの削り出し。使い込む事で味が出てくるというバレル仕上げも採用している。

筐体はステンレスの削り出しで、バレル仕上げ
イヤーピースを外したところ

 感度は112dB。インピーダンスは16Ω。ケーブルはタッチノイズを低減する、オリジナルのフラットケーブルを採用。着脱はできない。長さは1.2m。重量は16g。

 イヤーピースは遮音性の高いAタイプと、共振音の少ないBタイプを同梱。サイズは各タイプにS/M/Lの3サイズ。好みや音質で選択できる。

音を聴いてみる

 ハイレゾポータブルプレーヤーの「AK120」で試聴した。

試聴してみた

 これまでのファイナルのBAイヤフォンは、BAらしいトランジェントの良さや細かな描写力を出しながら、ダイナミック型のような自然なサウンドを追求。音の繋がりの良さも重視し、シングルユニットの採用にこだわって来た。

 初の自社開発BAユニットを搭載した「Heaven II」は、従来のモデルと傾向が若干異なり、特に高域のクリアさが印象的。高解像度で、細かな音の輪郭をキッチリ描く、いわゆる“BAらしい音”を取り入れているのがわかる。

 かといってカリカリした、キツイ音とまでは言えず、女性ヴォーカルのしなやかさも残す、ギリギリのラインを守っているのが好印象だ。ステンレス削り出しの筐体は、もっさりした付帯音をそこに乗せず、ハイスピードな高域の特徴を引き立てている。

 また、シングルBAながら、ゆったりとした低域再生能力を持っているのは従来モデルと同様で、抜けの良い高域とマッチし、ワイドレンジな再生を実現。音場の広さも印象的で、高域の余韻が広がる様子がよくわかる。実売約7,980円のエントリーモデルと位置付けられているが、BAらしさと、ダイナミック型のような中低域の厚みが同時に楽しめる、コストパフォーマンスの良いモデルと言えるだろう。

(山崎健太郎)