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4K/ウェアラブルなどソニー注目製品。Life Space UXも

アクションカムはドローン向けブレ補正対応

 世界最大規模のコンシューマエレクトロニクス展示会「2015 International CES」が米国ラスベガスが1月6日(現地時間)に開幕した。会期は9日までで、会場はLas Vegas Convention Center(LVCC)、The Venetian、LVHとMandalay Bay Resort & Casino。この中から、4K対応BRAVIAやビデオカメラ、ハイレゾ対応ウォークマンなど数多くの新製品を出展していたソニーのブースをレポートする。

ソニーブース

BRAVIAやビデオカメラなど4Kがさらに充実。4Kアクションカムはドローン撮影のブレも補正

 ブースの前面に置かれているのは、“Floating Style”を提案する最薄部約4.9mmのBRAVIA X9000Cシリーズ。壁掛けをイメージした展示のほか、複数枚並べた展示などでスタイリッシュさをアピールしている。バックライトはエッジ型で左右に光源を搭載して導光板で拡散している。

X9000Cシリーズ

 液晶パネルとベゼルに段差がないフラットデザインも特徴。既存モデルの「オプティコントラストパネル」は、液晶パネルと前面ガラスの間に樹脂を注入して隙間を埋めるものだが、新モデルは前面ガラスを張らずにパネルそのものを前面に配置して固定する「エッジコーティング」技術を採用している。また、新映像エンジン「4KプロセッサX1」により、精細感、色域、コントラストの3大要素を大幅に向上することで高画質化を図っている。

FDR-AX33(左)と、1型センサー搭載のFDR-AX100(右)とのサイズ比較

 同じく4K製品で大幅に強化しているのがビデオカメラ。小型の4Kハンディカム「FDR-AX33」は、現行機の「FDR-AX100」比で体積約30%、重量約20%の小型/軽量化を実現し、空間光学手ブレ補正機能を4Kハンディカムとして初めて搭載している。米国での価格は約1,100ドルで、前日に行なわれたプレスカンファレンスでは「4Kが1K(1,000ドル台)で手に入る」とプレゼンテーションしていた。

 また、同日に発表された4Kアクションカム「FDR-X1000V」は、小型のまま4Kに対応した点だけでなく、撮影の用途がさらに広がったのも特徴。ユニークな使い方として、専用マウントを介してFDR-AX33などの対応するビデオカメラのアクセサリーシューに装着して2台同時撮影が可能になった。2台をWi-Fi接続して連携することにより、超広角と通常の2パターンの撮影が同時に行なえるほか、X1000Vを撮影者の方に向ければ、通常の撮影と自分撮りが同時に行なえる。制御はビデオカメラ側からできる。

FDR-X1000Vをビデオカメラのアクセサリーシューに装着したところ

 さらに、トレンドとなっているドローン(ラジコンヘリ)での撮影向けに、電子式手ブレ補正を強化。“ドローン特有の揺れ”を検知することで、特に設定することなく最適に補正することが可能になった。

 また、スマートフォン用のPlayMemories Mobileアプリは、アクションカムなどの複数台同時撮影に向けて今年アップデート予定。スマホの画面を4分割して、4台のアクションカムの映像を同時にモニタリングでき、各カメラの露出補正などをスマホから個別に設定し、各カメラの映像にばらつきがないように撮影できるようになる。この連携機能は、アクションカム以外のモデルにも順次展開予定で、アプリを追加できるPlayMemories Camera Apps対応のデジカメで利用できるようになる見込み。

PlayMemories Mobileアプリとスマホで、4台の4Kアクションカム映像を同時表示して制御できるようになる

 昨年のCESで発表された、超短焦点プロジェクタを中心に家の中で様々な映像や音楽を楽しむ「Life Space UX」もさらに進化。プロジェクタやワイヤレススピーカーで構成されるLife Space UXの製品群に、新たにライト型のスピーカー「Symphonic Light speaker」がシリーズに加わった。'08年に商品化した「サウンティーナ」と同様に、照明のガラス管の部分をツイータとして利用。360度方向に音を広げるもので、発売時期は未定。

Life Space UXのデモルーム。長蛇の列ができる人気コーナー

 そのほか、720pの小型超単焦点プロジェクタも今夏に発売。デバイスにLCOS(反射型液晶)を用いたSXRDのプロジェクタで、小型ながらコントラストの高い映像を投写。壁掛けにして壁面に映像を投写するほか、浴室で映像を楽しんだり、暖炉のように炎を壁に表示するといったデモを行なった。この製品は'15年の冬に発売予定としている。

 また、同シリーズの中核製品であり、'14年9月より米国で発売している147型の4Kプロジェクタは、日本でも今春に発売予定であることもデモのなかで明らかにした。このように、従来は“コンセプト”としての意味合いが強かったLife Space UXが、徐々に実際の製品として登場し始めており、生活に溶け込む映像/音響機器として具体化していく考えを今回の展示で強めているのが印象的だった。

147型投写の4Kプロジェクタ
ライト型のスピーカー「Symphonic Light speaker」
720pのLCOSプロジェクタ
小型サイズの電球型ワイヤレススピーカーも
上から、ペンダントライトのようなプロジェクタで投写してテーブルをタッチスクリーンのように使うというデモ
このほか、シアタープロジェクタの「VPL-VW350ES」も展示。欧州で発表された4K入門機「VPL-VW300ES」と同機能の米国モデルとなる。「VPL-VW500ES」をベースに、オートアイリス機能を省くなど一部仕様を変更して低価格化しており、米国では1月に発売し、1万ドルを下回る見込み。

ウォークマンなどハイレゾ製品強化。Google Castやマルチルームも

 オーディオ関連では、新ウォークマンのNW-ZX2を中心にハイレゾ対応製品を強化。ZX2の特徴の一つである独自のBluetoothコーデック「LDAC」と、既存のSBCコーデックとの音質の違いなどもデモしている。LDACは、既存のSBCコーデック(44.1kHz/328kbps)と比べ、約3倍の情報量で音源を伝送できるというもので、より高音質なワイヤレス音楽再生が可能となる。

 なお、LDACは96kHz/24bitまでの音源も伝送可能だが、非可逆圧縮のため“ハイレゾも伝送できる”ということではない。ただし、330/660/990Kbpsの高ビットレートで伝送することから、SBCに比べ大幅に低損失で伝送でき、同時に発表されたLDAC対応Bluetoothヘッドフォン「MDR-1ABT」との組み合わせでBluetoothでも高音質に再生できるという点をアピールしている。

ウォークマンのNW-ZX2
LDACとSBCの比較デモ
ハイレゾ対応製品

 その他にも、ポータブルヘッドフォンアンプの新モデルとして、約299ドルと低価格なPHA-1Aも今春に発売。iPhoneやXperiaなどのスマートフォン/PC/ウォークマンとデジタル接続でき、最高192kHz/24bitの音源に対応。内蔵バッテリで6時間動作できる。

 スピーカー「SRS-X99」や、AVアンプ「STR-DN1060」などの新製品は、Googleが発表したワイヤレスオーディオ伝送技術「Google Cast for audio」に対応しているのも大きな特徴。この技術は、HDMIスティック型端末のChromecastで行なえる映像/音声のテレビ出力機能と同様の使い勝手で、音楽配信サービスなどの楽曲をWi-Fi搭載機器が直接受信して再生できるもの。

ワイヤレススピーカーなどがGoogle Cast for audioに対応
Pandraアプリの例。右下にCastアイコンが表示され、選択すると、利用するスピーカーを選ぶ画面になる

 Chromecastなどのドングルを必要とせずスマホと本体のみで利用可能。対応する音楽サービスはDeezer、Google Play Music、iHeartRadio、NPR One、Pandora、Rdio、TuneInなどで、それぞれの純正アプリからの操作でスマホから「Cast」すると、それまでスマホで聴いていた曲が、スピーカーから出力。スピーカーがWi-Fi経由で曲をストリーミングして再生する動作に切り替わる。スマホから音楽を直接Wi-Fi伝送する場合とは異なり、スマホをリモコンとしてのみ使用するため、スマホのバッテリ消費を抑えられる。

 また、上記のSRS-X99などは、複数スピーカーを組み合わせて別の部屋で同じ曲を楽しめるマルチルーム配信機能「Song Pal Link」にも対応。1台をマスターとして、他の対応機器と組み合わせて1台のスマホの音楽を複数の部屋で同時再生できる。最大10台のスピーカーを同期できる。

Song Pal Linkのアプリ画面。機器同士でグループを作ると、そこで同じ楽曲を再生する
AVアンプ「STR-DN1060」
サウンドバーや、テレビの台座型スピーカーの新モデルも登場。ハイレゾ対応などの機能強化を実現している

イヤフォン型やメガネ型など、ウェアラブルが続々

 ウェアラブル機器として初出展されたのは、ランニングしながら心拍やGPSの測定、音楽再生などが可能なデバイス「Smart B-Trainer」。同社の「ウォークマンW」のような耳掛け型だが、音楽再生できるだけでなく、GPSや心拍計など様々なセンサーと連携した機能が特徴。参考展示で発売時期や価格は未定。

Smart B-Trainer

 本体にメモリを内蔵(容量未定)し、ランニングしながら音楽を再生可能。イヤフォンの耳穴に接する部分に赤外線センサーを備え、走りながら心拍数を計測できる。ペースが目標よりも落ちてくると、自動でより早いBPMの楽曲を再生し、速く走るように促すといった機能を備える。

 単体での利用だけでなく、スマートフォンとのBluetooth接続により、スマホ画面にカロリーや走行距離などを表示することも可能。スマホの音楽を聴きながら走ることもできる。走った軌跡は地図上に表示できるほか、これまで走った距離を日付ごとで一覧表示して比較することも可能。この製品の開発は、同社の テニスラケット装着型センサー「Smart Tennis Sensor」と同じチームが担当しているという。

耳掛けのネックバンド装着型
イヤフォン部のセンサーで心拍を計測
スマホアプリ画面例

 そのSmart Tennis Sensorの新たな動きとしては、従来のYONEX製ラケットに加え、WILSONやHEAD、PRINCEの各メーカーにも対応。また、アプリも強化され、動画撮影後のスロー再生や、動画から静止画を切り取る「モーションショット」にも対応し、フォームなどの確認がしやすくなるという。

Smart Tennis Sensorのアプリ画面。スロー再生や、静止画切り出しが可能になる

 '14年12月に日本で発表した、0.23型/640×400ドットの超小型カラー有機ELを採用した片眼用のディスプレイモジュールを使った「SmartEyeglass Attach! 」も展示。スポーツを想定し、ゴーグルやサングラスに装着したデザインの例を展示している。2m先の16型ディスプレイと同等の映像表示が可能で、実際に装着したところ、周りの風景を見ていても大きくぼやけることなく、有機ELの高コントラストな映像で情報を確認できた。実世界の視界を妨げないため、幅広い用途に使えそうだ。

カラー有機ELを採用した片眼用のディスプレイモジュールの装着例。西川善司氏も体験した
ディスプレイモジュールは着脱可能
様々なアイウェアへの装着を想定
透過式メガネ型端末「SmartEyeglass」のデモでは、歩行ナビやゲーム、翻訳機能といった様々なアプリケーション活用例をデモしていた

(中林暁)