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4K放送「スカパー! 4K」加入数は2,500件。'14年度決算

'15年はオンデマンドも強化。総加入者は2年連続純減

 スカパーJSATは14日、2014年度通期決算説明会を開催した。このなかで、「スカパー! 4K」の契約数(個人)が約2,500件になったことを明らかにしたほか、'14年度の有料多チャンネル事業に関する状況について言及。2015年度のコンテンツ/サービス強化の施策も説明した。

スカパーJSATの高田真治社長

「セレクト5」が'14年度新規顧客の獲得に貢献。4K商用放送サービスも開始

 総視聴料収入を増加させる取り組みの1つとして、スカパーでは'14年3月17日にチャンネルパックの「スカパー! セレクト5」を開始。映画・音楽・アニメ・海外ドラマ等のジャンルの中から5チャンネルを選んで視聴できるもので、'15年3月時点の契約件数は92万件となり、新規顧客の開拓に貢献。またARPU(1契約あたりの売上)も'13年度の2,004円に対して'14年度は2,217円に上昇したことから、高田真治社長は「新規加入者がプラン選択の際にセレクト5に流れるのではないかという心配の向きもあったが、結果としてマイナスの影響はないことがお分かりいただけると思う」とコメントした。

「スカパー! セレクト5」の契約状況

 また、今年3月1日から世界初の4K商用放送サービスとして開局した、Jリーグ中継やドキュメンタリー、バラエティなどの「スカパー! 4K 総合」(Ch.596)と、映画を放送する「スカパー! 4K 映画」(Ch.595)の現在の契約数(個人)が約2,500件となったことを報告。'14年5月末のMPEG-2方式による標準画質サービス終了によって空いたトランスポンダ(電波中継器)を利用し、124/128度CS放送の「スカパー! プレミアムサービス」上において提供されている。

'15年度は4Kテレビ/レコーダへのチューナ内蔵化やコンテンツ強化を加速

 2015年度の取り組み方針としては、4K商用放送を含むプレミアムサービスや、スカパー! オンデマンドの維持・拡大などを挙げた。

 具体的な施策として、まず4Kテレビ/レコーダへのプレミアムサービスチューナの内蔵化に言及。高田社長は、既発売の4K放送に対応する東芝の液晶テレビやシャープのレコーダに加え、6月20日発売予定のソニー BRAVIA X9400C/X9300C/X8500Cがスカパー! 4K総合/映画に対応することにも触れ、「テレビ/レコーダへのチューナ内蔵化の動きは大変心強い」とコメント。家電量販店の店頭でメーカー連携のキャンペーンなどの取り組みを強化するとした。

4Kテレビ/レコーダへのプレミアムサービスチューナの内蔵化を加速
プレミアムサービスチューナを内蔵したソニー KJ-75X9400C

 また既報のとおり、「スカパー! 4K 映画」において、ハリウッドメジャー作品の放送を6月より順次開始する。6月は「スター・トレック」や「フォレスト・ガンプ/一期一会」、7月には「アメイジング・スパイダーマン」などを追加し、8月以降もタイトルは未定としながら「ハリウッドメジャー作品など多くの作品の追加を予定している」と述べた。

 スカパー! オンデマンドについては「登録者数は増加傾向で順調に推移している」として、'14年度末の累計登録者数が46.1万件に上ったことを明らかにした。6月12日に開幕するサッカー南米選手権「コパアメリカ チリ2015」全26試合の独占生中継に向け、5月25日に「コパアメリカ チャンネル」を開局する。また、Jリーグ試合の海外7カ国配信なども行ない、コンテンツ強化を図っていく。さらに、「今後も主力サービスとして成長させるために、今年度は数値目標を設定した」として、'16年3月度の有料購入者数目標は14.2万人、'15年度末累計登録者数は65万件を目指す。

ハリウッドメジャー作品の4K放送を6月より順次開始
スカパー! オンデマンドに関する取り組み

 このほか、5月1日に設立した新会社「WAKUWAKU JAPAN」では、既にインドネシアやミャンマーで展開中の日本番組を、現地語で放送するチャンネルに関連した事業を強化、海外への配信事業規模を拡大する。クールジャパン機構からの出資も受けつつ、契約数の拡大などを進め、「早期の収益化を目指したい」とした。

 なお、'15年秋に日本上陸予定で、各社テレビが対応を準備しているNetflixについて、スカパーJSATの仁藤雅夫取締役は「実際の影響は始まってみないと分からないことも多いが、有料配信で映像コンテンツを視聴することに関して、市場にとっても我々にとっても良い刺激になる」と述べた。

'14年度は増収増益。加入件数は2年連続で純減

'14年度通期の損益概要

 13日に発表された'14年度通期の業績は、売上が前年同期比4.9%減の1,632億9,400万円、営業利益が同9.6%減の196億2,700万円、経常利益が同9.1%減の195億8,000万円。当期純利益は同39.9%増の135億1,500万円で、スカパーJSATの100%子会社、オプティキャストを'14年4月1日付で吸収合併し、法人税などが減少したことによる。

 有料多チャンネル事業の売上は1,222億4,500万円、営業利益は24億3,200万円で増収増益となり、ハイビジョンサービスへの移行終了などによる費用減で前年度を上回る黒字を達成した。売上の主な増減要因は、ハイビジョンサービス視聴率収入の増加が66億円、スカパー! サービス手数料収入等の増加が10億円、標準画質サービス終了による手数料収入の減少が42億円など。また営業費用については、番組供給量が18億円増加したが、ハイビジョンサービスへの加入者移行施策にかかる費用が37億円減少したことで、最終的に12億円減少となった。

 有料多チャンネル事業の新規加入件数は年間42.5万件で、前年度の48万件は下回った。解約件数は前年同期比10.7万件増の81.6万件で、このうち標準画質サービス終了に伴う解約は25.2万件。純増減数は前年同期比14.2万件減のマイナス25.5万件となり、2年連続の純減。

有料多チャンネル事業の業績概況
有料多チャンネル事業の主要指標

 '15年度の加入件数目標については、累計353万7,000件を掲げ、新規契約は48万2,000件、解約率は16.2%としている。また、'15年度の通期予想は、売上高が1,680億円、営業利益230億円。中期経営計画の'15年度目標は売上高2,000億円、営業利益200億円だったが、衛星の打ち上げ遅延などの影響で売上は未達となるが、HD移行完了による移行費用剥落などで営業利益は30億円プラスとなる。累計加入件数は、当初の400万件超という目標には未達となる見通しで、スカパー!オンデマンドの有料ユーザー(14万件)を含め368万件を見込む。

 なお、B-CASカードの改ざん/不正使用問題については、全国の警察による摘発件数は196名となったことを報告。既に、プレミアムサービスを不正視聴するための機器を販売・購入した計3名に対して損害賠償の支払い判決が言い渡されたことに触れ、「不正視聴については引き続き厳正に対処していきたい」と述べた。

'15年度の加入目標
'15年度通期の業績予想

(庄司亮一)