ニュース
MSのHMD「HoloLens」が国際宇宙ステーションへ。作業支援に活用
(2015/6/26 13:50)
米Microsoftと米航空宇宙局(NASA)は25日(現地時間)、Microsoftが開発中のVRヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」をISS(国際宇宙ステーション)に持ち込み、活用する提携プロジェクト「Sidekick」を発表。2台のHoloLensが、28日にSpaceXのFalcon 9ロケットを用いた補給ミッションによってISSへ運ばれる。打ち上げの様子は「NASA TV」で中継される予定。
「Sidekick」は、HoloLensを装着した宇宙飛行士の作業支援をテストするもので、宇宙での作業の効率を高めることが目的。MicrosoftとNASAによって形成されたパートナーシップに含まれているプロジェクトで、将来的にはホログラフィックコンピューティングのアプリケーションを宇宙探査で活用することを想定している。Sidekickは「仲間」「相棒」を示す単語。
今回は「Remote Expert Mode」と「Procedure Mode」の2つのオペレーションモードが準備され、ISS上で2015年末まで運用される。
Remote Expert Modeでは、宇宙飛行士が装着したHoloLensの内蔵カメラに写った映像を、地上チームにSkype経由で送信。地上チームがアノテーション(注釈)をHoloLensに表示させることで、リアルタイムで指示やアドバイスを与えられる。複雑な修復作業や実験を行なう際に活用される。
Procedure Modeは、作業の対象となるオブジェクトに作業手順のホログラフアニメーションを表示し、単体で動作させるモード。通信遅延が起こる環境を想定したもので、将来的には太陽系調査での活用も見込んでいる。
このほか、今年の初めにはNASAのジェット推進研究所(JPL)主導のもと、Microsoftと共同でHoloLensのための「OnSight」と呼ばれるソフトウェアを開発していることも発表。火星上で動作するための新技術開発が行なわれている。
なお、ISSには第44/45次長期滞在クルーとして、JAXAの油井亀美也(ゆい きみや)宇宙飛行士が初めて宇宙滞在を行なう予定。ISSに向けて出発予定だったソユーズ宇宙船(43S/TMA-17M)の打上げ延期に伴い、現在も長期滞在ミッションに向けた訓練を実施中。新しい打上げ目標日時は、日本時間7月23日午前6時2分に設定されている。