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ケンウッドのブランド自体をデザイン化したヘッドフォン。レース場でも販売
(2015/8/6 11:00)
JVCケンウッドは、ケンウッドブランドのヘッドフォン新モデルとして「KH-KZ3000」と「KH-KZ1000」の2機種を8月29日に発売する。ビクターエンタテインメントオンラインショップでの直販と、JVCケンウッドがスポンサードしているレースのサーキット会場において、ユーロスポーツブースにて販売を行なう。予定価格は「KH-KZ3000」が44,815円、「KH-KZ1000」が23,148円。
2009年以来、約6年半ぶりとなるヘッドフォンの新モデル。どちらもハイレゾ再生に対応。ケンウッドブランドに対して、ヘッドフォンのイメージを持っているユーザーが多かった事や、ケンウッドにクールなイメージを持っている人が多い事から、「ブランドをカタチに」をテーマに、ケンウッドロゴに使われている赤い逆三角形などをあしらい、ソリッドなデザインを採用している。
ハウジングはヘアライン仕上げで、オーディオ機器のボリュームをイメージ。通常のヘアライン仕上げは中央が起点となっているが、ハウジング上部の赤い三角の部分が起点になっているのが特徴。
両モデルとも、ハウジングは平らにでき、バッグの隙間などに収納可能。ヘッドバンド部は、KZ3000のみ赤色の糸でステッチが入っており、「スポーティー&ラグジュアリーなカーシートを彷彿とさせるデザイン」になっているという。
どちらもダイナミック型のドライバを採用。KZ3000はPEN(Polyethylene Naphthalate)を、KZ1000はペットフィルムを使っている。ユニットの口径は40mmで共通。ハウジングに4つのダクトを設け、それぞれが異なる周波数の低域を担当。豊かな低音再生を可能にするという「クアッドダクトエンジン」を搭載している。
KZ3000のみの特徴として、グラスファイバーPAサウンドディフューザーをユニット背面に装着。ハウジング内の空気の流れを制御することで、低域の再現性を高めたという。
KZ3000はさらに、ユニット前にアンチバイブレーションアルミニウムリング、アンチバイブレーションステンレスリング、グラスファイバーPAバッフルなどを装備。余分な振動を抑制。磁気回路にトリプルネオジウムマグネットドライバを採用。駆動力も高めている。
ハウジングはグラスファイバーポリアミドとアノダイズドアルミニウムで構成。ヘッドパッドにはレッドステッチを、イヤーパッドにはソフトPUレザーを使っている。出力音圧レベルは103dB/1mW、再生周波数帯域は10Hz~50kHz。インピーダンスは56Ω。
KZ1000は、ユニットの前にグラスファイバーPAバッフルを装備している。ハウジングはABS樹脂製。出力音圧レベルは105dB/1mW、再生周波数帯域は10Hz~48kHz。インピーダンスは32Ω。
どちらのモデルもケーブルは1.2mのOFCで、着脱可能。ヘッドフォン側は4極のステレオミニになっており、バランス駆動にも対応できるという。しかし、ケンウッドブランドの純正品としてバランス駆動用ケーブルを発売する予定は今のところないという。
カーレースのサーキット場でも販売
ケンウッドのブランドそのものをデザインにした外観を採用するなど、ケンウッドブランドを前面に出した製品となっており、「ブランドのファンに向けて販売し、どのような反響が得られるかを知りたい」という意向から、ビクターエンタテインメントオンラインショップでの直販がメインとなる。家電量販店やヘッドフォン専門店での販売は、今のところ予定していない。予約特典として、ケンウッドの無線用ヘッドセットに使用している非売品のロゴプレートをプレゼント。
一方、ユニークな販路として、カーレースのサーキット場でのプレミアム販売キャンペーンを実施する。いずれもユーロスポーツブースにおいて、8月29日から開催される「SUPER GT 鈴鹿」、9月11日からの「WTCC ツインリンクもてぎ」(キャンペーン期間は12日~13日)で販売・試聴機設置を行なう。
ヘッドフォン単体だけでなく、「SUPER GT 鈴鹿」では、JVCケンウッドが契約しているカーレーサー、柳田選手が搭乗する車のミニカーがセットになったモデルも用意。先着15名には選手のサインが入っているミニカープレゼントも実施する。
「WTCC ツインリンクもてぎ」では、WTCCミニカーセットを用意。また、ヘッドフォン購入者全員にモータースポーツ向け無線機用ヘッドセット使用のトロゴプレート(非売品)をもれなくプレゼントする。
音を聴いてみる
ハイレゾプレーヤー「AK380」や、JVCのポータブルヘッドホンアンプ「SU-AX7」を使って試聴した。どちらも引き締まったクールなデザインで、低域がソリッドな音がしそうな外観だ。
下位モデルの「KZ1000」を聴いてみると、外観から連想するイメージと若干異なり、ワイドレンジでニュートラルなサウンド。低域はわずかに強めだが、決して、低音の量感だけを主張するタイプの音ではなく、ハイファイ寄りだ。
音圧は強めで、音像は前へと出てくるタイプだが、スッキリしたサウンドであるため背後の音場は見通しやすく、閉塞感は少ない。分解能も高く、音像の輪郭に不要な響きがまとわりつかない。オールラウンドに使えそうなヘッドフォンだ。
上位モデル「KZ3000」は、よりハイファイ寄りな音作りなのか……と思いきや、こちらは外観イメージそのままの、低音寄りのバランスだ。量感が非常に豊かで、「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best OF My Love」を再生すると、アコースティック・ベースの音圧で音楽全体が覆われる。
ただし、トランジェントは良く、適度に不要振動が抑えられているため、豊かな低域である一方で響きがあまり尾を引かない。ブワッと強い低域が吹き寄せるが、スッと素早く消えるため、モコモコしたサウンドにはなっていない。音圧や迫力を楽しみつつ、低域の動きも見やすい音作りだ。
中高域はその低域に埋もれず、よく伸びている。色付けは少ないが、やや固めの高音で、女性ヴォーカルでは声がやや乾いて聴こえる。逆にそれが、全体としてソリッドなサウンドイメージに繋がっている。
一般的に、このようなデザインのヘッドフォンシリーズは下位モデルが低域がパワフルで、上位モデルはバランス重視になる事が多い。しかし、KZ1000とKZ3000はその逆で、上位モデルがより個性的なバランスに仕上がっている。メーカーによれば、KZ3000は「ヘッドフォンではなく、スピーカーを聴いているような音圧豊かな低音再生を目指した」という。