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全天球フルHD/30p動画対応カメラ「RICOH THETA S」。ライブビューも

 リコーは、撮影者を取り囲む全天球イメージを撮影できる画像インプットデバイス「RICOH THETA(リコー・シータ)」の上位機種として、30fps動画撮影や静止画ライブビューにも対応した「RICOH THETA S」を10月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は42,800円前後(税込)。カラーはブラック。

RICOH THETA S

 撮影者を取り巻く空間全ての「全天球イメージ」を1ショットで撮影できるカメラ。サイズは'14年に発売した「THETA m15」(実売34,700円)とほぼ同等の130×33×22.9mm(縦×横×厚さ)/重量約125gながら、新開発のレンズユニットやイメージセンサーの大型化(1/2.3型)、画像処理の強化などで高精細化した上位モデル。静止画は約1,400万画素相当の記録に対応(m15は600万画素相当)する。静止画の最大解像度は、5,376×2,688ドット(m15は3,584×1,792ドット)。内蔵メモリは8GBに強化された(m15は4GB)。なお、m15も併売される。

 画像処理技術の向上により、暗所での画質が改善され、長秒撮影と組み合わせることで、夜景でもノイズを抑えた全天球撮影を可能にした。

【訂正】記事初出時に「長秒撮影(バルブ撮影)」と記載していましたが、その後、「バルブ撮影には対応しない」と発表内容が修正されたため、記事を訂正しました(9月8日)

2つのレンズユニットを搭載
大型センサーを採用
天面のマイク部
THETA m15(左)とTHETA S(右)
左と中央のブルー/イエローがTHETA m15、右がTHETA S

動画はフルHD/30p対応、新アプリでGoogleサービスと親和性向上

 動画はフルHDの1,920×1,080ドット(記録時)の30fpsに対応し、合成後で最長25分(m15は最長5分)の撮影が可能。1,280×720ドット/15fpsのモードも用意する。形式はMPEG-4 AVC/H.264(MP4:音声はリニアPCM)。スマートフォン/タブレットとWi-Fi(無線LAN)接続して連携し、新たな専用アプリ「RICOH THETA S」内の動画変換ツールを使って、つなぎ目の無い全天球動画をPC不要で作成でき、画面タップやピンチイン/アウトでサイズや構図を変えて再生できる。アプリの対応OSはiOS 8.0以降、Android 4.4以降。

RICOH THETA Sアプリの動画解像度選択画面

 なお、iOSとAndroidでは動画保存の仕方が異なり、iOSアプリでは合成したEqui形式の動画として保存され、YouTubeにアップロードして全天球動画として閲覧できるが、Android版ではセパレート動画のまま保存するため、そのままではYouTubeでの全天球動画閲覧には非対応。ただし、スマートフォンのNexus 5/6利用時は、Equi動画に変換して保存でき、iOS版と同様にYouTubeで閲覧可能。11月以降に、AndroidのEqui保存対応機種を追加予定としている。なお、PCソフトを利用すれば、従来と同様にYouTubeにアップロードして閲覧できる。

 アプリから専用Webサイトのtheta360.comにアップロードして、SNSで共有することも可能(動画は最大5MB)。なお、同アプリはm15など他のモデルには非対応。このほか、静止画編集に特化したアプリ「THETA+」も9月2日から提供開始している。

 THETA Sアプリは、基本フローである撮影、閲覧、投稿、管理が可能な点は従来のTHETAアプリと同じだが、通信方式が、従来のPTP-IP方式からHTTP方式に変更された。THETA S向けに、新たなAPIも用意し、本体の機能設定や操作を独自にアレンジして楽しめるオリジナルアプリも作成できる。このAPIはGoogleのOpen Spherical Camera APIに準拠しており、Google Mapsへの全天球画像の投稿などが簡単に行なえるなど、Googleのサービスとの親和性が高いのが特徴。

静止画ライブビュー対応。動画のライブストリーミングも

 THETA初の機能として、静止画のライブビューに対応。スマホとWi-Fi接続時に、撮影時の設定変更結果をスマホ画面で確認しながら撮影できる。表示方式は、全天球またはパノラマの2つから選択できる。

静止画ライブビュー画面(一部を拡大)

 さらに、新機能として動画のライブストリーミングモードも搭載。新たにHDMIマイクロ端子も備え、USBまたはHDMIからパソコンなどに出力可能。この機能はカメラ側から撮影データをそのまま出力するもので、公式アプリやPCソフトなどではライブストリーミング配信は行なえない。前述のAPIなどを活用して開発者らが対応アプリなどを作成することで実際の配信が可能になる。ライブストリーミング時の解像度は、HDMI接続時が最大1,920×1,080ドット/30fpsで、ディスプレイに合わせて自動で切り替える。USBは1,280×720ドット/15fpsのみ。USB接続のライブストリーミング時は、動画形式がMotion JPEGとなる。

 静止画は、露出補正やISO感度、シャッタースピード、ホワイトバランスのマニュアル設定にも対応。シャッタースピードは最高1/6,400秒、ISO感度は最高1600に対応し、新たに動画もISO 1600で撮影可能になった(m15の動画はISO 400まで)。従来と同様に、静止画のオート/シャッター速度優先/ISO感度優先モードも用意する。

静止画のマニュアル設定
静止画の解像度選択

 新型のWi-Fiモジュールを搭載したことで、転送速度を従来比最大4倍に高速化。また、UIの変更点として、状態通知LEDを本体に備えたほか、静止画/動画の切り替えを電源を切らずに行なえるようになった。操作は本体/アプリどちらからでも行なえる。電源はリチウムイオンで、バッテリ持続時間は静止画で約260枚。充電はUSB経由で行なう。

側面
HDMIとUSBを装備
オプションとして販売中のスリット型ケースにも収納可能
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THETA S

(中林暁)