ニュース
Astell&Kern、“真のQuad DAC”とHigh Driving Mode搭載の最上位DAP「A&ultima SP4000」
2025年8月1日 11:00
アユートは、Astell&Kernの、最新フラッグシップDAP「A&ultima SP4000」を8月16日に発売する。カラーはブラックとシルバーで、価格は各693,000円。リアルレザーケース「A&ultima SP4000 Case」も同日発売で、価格は25,300円。ケースはブラックとカーキを用意し、カーキは直販サイト「アキハバラe市場」限定販売。
SP3000から3年間の研究と革新を経て、「究極のリファレンスと称されたSP3000の枠を超えた存在」として誕生したのがSP4000。先進のOCTAオーディオ回路構造を採用しているのが大きな特徴。
旭化成エレクトロニクスの「AK4191EQ」と「AK4499EX」DACを採用しているのはSP3000とSP4000で共通しているが、その構成をさらに理想的なものに変更。具体的には、SP3000はAK4191EQ×2基、AK4499EX×4基を使っているが、SP4000はAK4191EQ×4基、AK4499EX×4基という構成にした。
つまり、SP3000はデジタルとアナログの信号処理構成を1:2の割合で分離していたが、SP4000では1:1のアーキテクチャーに進化。AK4191EQとAK4499EX DACが1:1の状態で4基搭載した、“真のQuad DAC構成”を実現。これを「OCTAオーディオ回路構造」と名付けている。
上記構成により、信号処理の能力を大幅に強化。ノイズを分散させることなく、デジタル信号を1つのDACに対し正確に届けられ、信号の分離と処理の向上が可能に。結果、従来の独立デュアルオーディオ回路に匹敵する131dBというSN比を実現したという。
さらに、SP3000の2倍のオペアンプを使用し水平に並列配置。電流を大幅に増加させ、より豊かで緻密なサウンドを実現する「High Driving Mode」を搭載。通常はドライブ力を上げると供給電流が増加して全高調波歪率(THD)に影響する課題、そしてノイズを減らすとドライブ力が不足するという課題を解消した。
Nomal ModeとHigh Driving Modeは切り替え可能。High Driving Mode時には水平並列配置したオペアンプを全て使用し、「四輪駆動車が悪路を確実に走破するような、トルク感があり力強く安定した出力によって、繊細な音のディテールまで正確に再現し、より深くクリアで臨場感あふれる音楽を楽しめる」とする。ただし、消費電力は増える。
独自のESA(Enhanced Signal Alignment)テクノロジーにより、オーディオの長年の課題の一つである群遅延を大幅に改善した事もポイント。
群遅延とは、各周波数が内部システムを通過するのにかかる時間差で、オーディオ信号内の異なる周波数が同時に到達せず、わずかな遅延が生じる現象。ESAテクノロジーは、周波数信号をより均一に整列させ、周波数歪みを最小限に抑え、音の明瞭度と純度を向上させるという。
電源部には、新たにLDO(Low Dropout)レギュレーターを搭載し、従来比最大97%のノイズ低減を実現。一般的に精密医療機器や5G通信機器に使用される高性能部品だが、バッテリー電圧を安定させ、ノイズの抑制に効果があるという。
回路基板には、Any Layer HDI(High-Density Interconnect)PCBテクノロジーを使い、コンパクトなスペースに複雑な回路を精密に設計。信号経路を最適化し、信号のロスを最小限に抑えた。
オーディオブロックに影響を与える様々なノイズや電磁干渉を遮断するため、精密に設計されたシールド缶を搭載。SP4000では、Astell&Kern初となる純度99.9%の銅製シールド缶を使用。優れたシールド性能だけでなく、これまで以上にクリアで明瞭なサウンドを実現したとする。
さらに、Astell&Kern初となるFull Android OSを採用。アプリを自由にインストールでき、利便性が向上したほか、独自のカスタマイズ技術「ADP(Astell&Kern Direct Path)」により、Android OSのサンプリング制限も克服。ストリーミング環境においてもビットパーフェクトなロスレス再生が行なえる。
第2世代DAR(Digital Audio Remaster)技術となる「Advanced DAR」を搭載。より高精度なアップサンプリングを実現した。
さらに、オーディオファイルを直接DARエンジンに送らず、VSE(Virtual Sound Extender)を使って失われた倍音を仮想復元。初期段階で音質を向上させ、その後、高度なDARエンジンが2段階目のアップサンプリングプロセスを、より正確に実行。2段階のアプローチにより、「これまで以上にオリジナルレコーディングに近い、深く没入感のあるサウンドを楽しめる」という。
6型、2,180×1,080ピクセルのディスプレイを搭載。CPUはSnapdragon 6125 Octa-Coreプロセッサーを搭載。8GBのDDR4メモリも備える。
CPU、メモリ、無線通信部は1つのモジュールとして構成。デジタル回路部を同一エリアに配置することで、1つのSoCを実現。デジタル回路の発熱やノイズを低減し、オーディオ専用の回路スペースを確保できるようにしている。
第4.5世代UIも搭載。メイン画面では、アルバムをスワイプするとLPがスライドして表示されるアニメーションを採用。音楽を選ぶ行為を視覚的に楽しめるようにした。インターフェースは、Astell&Kernのシグネチャーであるクリムゾンテーマを踏襲している。
筐体素材はStainless Steel 904L。一般的なステンレスよりも硬く、加工が難しいため、非常に手間と時間がかかるという。しかし、優れた耐久性と耐食性により、美しさを失わない特性を持つことから採用された。筐体のデザインコンセプトは「闇を貫く光の力」。フロントは光沢のあるポリッシュ仕上げ、リアはPVDコーティングのセラミックで仕上げた。
外形寸法は149.8×85×19.5mm(縦×横×厚さ)、重量は約615g。
Roon Ready対応で、Roon ARC APP対応。USB-DAC機能も備えている。USBデジタルオーディオ出力、光デジタル出力も搭載。
イヤフォン出力は、3.5mm 3極アンバランス出力(光デジタル出力兼用)、4.4mm 5極バランス出力(5極GND結線)を搭載。2.5mmは備えていない。アウトプットレベルはアンバランス4.1Vrms、バランス8.2Vrms(無負荷)。
Bluetooth 5.0に対応し、送信時はaptX HD/LDAC/LHDCコーデックに対応。Bluetoothレシーバー機能「BT Sink」も搭載する。AirPlayにも対応する。
6,780mAhのリチウムポリマーバッテリーを搭載。充電時間は約5時間、再生時間は約10時間(Nomal Mode/FLAC 44.1KHz 16bit/Vol.50/LCDオフ/アンバランス出力)。
ドイツのレザーハウス、Perlinger(ペルリンガー)のシュランケンカーフを使用したレザーケースが付属する。