キヤノン、虹彩絞り/タッチパネル搭載のAVCHDカメラ

-SDダブルスロットや、こだわりオートも装備


iVIS HF S21

2月中旬より順次発売

標準価格:オープンプライス


iVIS HF M31

 キヤノンは、AVCHD記録のハイビジョンビデオカメラ2機種を、2月中旬より順次発売する。1/2.6型総画素数859万CMOSを搭載したフラグシップモデル「iVIS HF S21」と、1/4型総画素数389万CMOSを搭載した「iVIS HF M31」の2モデルをラインナップし、生産台数はS21が15,000台/月、M31が4万台/月。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はS21が14万円前後、M31が10万円前後の見込み。

 それぞれ2009年8月に発売された、HF S11、HF21の後継モデル。S21に虹彩絞りが採用された以外のCMOSや光学系、画像処理エンジンに変更はなく、基本画質や機能は従来モデルをほぼ継承しているが、タッチパネル液晶が採用されるなど、操作系が強化されている。タッチパネルの採用に伴い、液晶脇に装備していたジョイスティックが無くなった。

iVIS HF S21

iVIS HF M31

 タッチパネルを採用したことにより、タッチした被写体にフォーカスと露出を追尾する「タッチ追尾」や、タッチした場所にフォーカスや露出を合わせる機能が搭載された。再生時にもサムネイル画像を、撮影日順に立体的に表示する「3Dビュー」機能が追加されている。

 また、新たに、自動的に31シーンから選択する「こだわりオート」を装備。これは、IXYデジタルのノウハウや、DIGIC DV IIIの技術により実現しており、被写体と背景の組み合わせにより31シーンの中から、適したモードをカメラが自動的に選ぶ機能。なお、こだわりオートのシーンを手動選択したり、固定することはできない。

液晶脇に、パワードISボタンを備える
 手振れ補正についても、さらに強化。液晶脇のボタンを押すことで、一時的に望遠撮影時の手ぶれ補正を強力にする「パワードIS」を備えた。なお、ボタンを押している時だけ動作するモードと、ボタンでON/OFFの切り替えるモードをメニューから設定できる

 パワードISでは、ベクトル補正量を増し、パンニング制御の変更することで、低周波の補正量と揺れ補正角を増やす。また、液晶脇のボタンを押す操作で、両手でしっかり持つように導くことで、手振れをさらに軽減する。

 そのほかにも、内蔵メモリの容量が一杯になったら、SD/SDHCカードに自動切り替えするリレー記録に対応した。なお、記録メディアの切替え時には、シーンの欠落が発生する。

 スナップ写真の感覚で4秒間の動画を撮影し、内蔵の音楽と一緒に再生できる「ビデオスナップ」機能も強化。記録時間に2秒と8秒が追加されたほか、ミュージックプレーヤー連動機能も新たに備えた。ビデオカメラのステレオミニ入力、ミュージックプレーヤーを接続すると、音楽のスタート/ストップに連動して再生する。

 また、従来どおりSD解像度の撮影には対応していないが、新たに本体内で撮影した映像を、SD解像度に変換する機能を搭載。SD-Video形式(9Mbps)または、MPEG-2(3/9Mbps)を選択できる。さらに、Eye-Fiカードにも対応。パソコンなしで、無線LAN経由でWebサイトなどにアップロード可能となった。

 付属ソフトについても、Vistaの64bit版、Windows 7(32/64bit)に対応した、ピクセラ製「ImageMixer 3SE」がバンドルされる。


■ iVIS HF S21

EVFも装備している

 カラーバリエーションは用意されず、従来のブラックからシルバーとなった。

 S11からの大きな強化ポイントは、虹彩絞りを採用し、液晶モニターが3.5型92万ドット(S11は2.7型23万ドット)に大型化と高精細化した「鮮やかワイドタッチパネル液晶」となり、EVFも装備したこと。液晶モニターはコントラスト比も200:1から、800:1に向上。輝度は450cd/m2で従来と同じ。

 さらに、視野率が従来の88%から、100%となった。なお、EVFは0.27型(約12.3万ドット)で、視野率は100%ではなく、実際の視野率は非公開としている。

 液晶の大型化もあり、外形寸法75×148×74mm(幅×奥行き×高さ)、重量470g(撮影時520g)に本体も大型化。S11の約70×136×69m/約450g(撮影時約500g)から、一回り大きくなり、20g重くなった。

HF S11との比較。上がS11、下がS21

奥がS11、手前がS21

SD/SDHDスロットを2スロット内蔵
 大型化に伴い、従来のアクセサリーシューで増設していたリモートコントロール端子が本体に内蔵されたほか、SD/SDHDスロットを2スロット内蔵した。これにより、内蔵メモリ(64GB)、スロットA、スロットBの3メモリの連続リレー録画が可能。32GBのSDHCカード2枚で、計128GB、最長48時間の録画に対応できる。

 撮影モードも、従来の60i記録での24p、30pに加え、ネィティブの24p記録にも対応した。録画モードは従来と同じで、「MXP」(約24Mbps)、「FXP」(約17Mbps)、「XP+」(約12Mbps)、「SP」(約7Mbps)、「LP」(約5Mbps)の5種類を用意。解像度はMXP/FXPモードは1,920×1,080ドット、その他のモードは1,440×1,080ドット。なお、 1,920×1,080ドットはSDHC Class4以上、それ以外はClass2以上のカードが推奨されている。

 また、今までの音声入力のアッテネータは、手動でON/OFFしていたが、オートマイクアッテネータが装備され、自動切換えもできるようになった。

iVIS HF S21

 それ以外の基本仕様は変更なく、859万画素「キヤノン フルHD CMOS」、DIGIC DV III、光学式手ブレ補正機能付き光学10倍ズーム「キヤノン HD ビデオレンズ」を搭載。

 撮像素子の有効画素数は動画時約601万画素、静止画時は約802万画素(4:3)/約601万画素 (16:9)で、フィルターはRGB原色フィルターを採用。動画撮影時には、約601万画素の映像信号を読み出して、ハイビジョン解像度(約200万画素)にリサイズして録画する。また、中央の1,920×1,080画素だけを読み出すことで、画質を劣化させずに焦点距離を1.7倍相当にする、「デジタルテレコン」も利用できる。

 レンズは9群11枚で、F1.8~3.0。焦点距離は35mm判換算で、動画時約43.5~435mm、静止画時は約39.9~399mm(4:3)/43.5~435mm(16:9)となっている。最低被写体照度は約0.3ルクス(ナイトモード、シャッタースピード1/2秒)/約4ルクス(Pモード、オートスローシャッターオン、シャッタースピード1/30秒)となっている。

 連続撮影時間は、付属のバッテリパック「BP-808」使用時で、液晶モニターを使用して、標準画質のSP(約7Mbps)モードで撮影した場合、約85分となっている。オプションの「BP-827」を使用すると、約270分の連続撮影が行なえる。液晶モニター使用時は、S11より消費電力が約0.5W増えているため、連続撮影時間が短くなっている。なお、EVF使用時の消費電力は、S11の液晶モニター使用時の消費電力と同じ。

製品内容

 入出力端子はミニアドバンストシュー、HDMIミニコネクタ出力(x.v.Color、CEC対応)、AVミニ出力、外部マイク入力、ヘッドホン(AVミニ出力と兼用)、コンポーネント出力(特殊D端子)、USB 端子(mini-B)、リモートコントロール端子などを備える。

 付属品は、ワイヤレスコントローラー「WL-D89」、D端子ケーブル「DTC-100/S」、ステレオビデオケーブル「STV-250N」、USBケーブル、コンパクトパワーアダプタ「CA-570S」、バッテリパック 「BP-808」、PIXELA Application Disc、音楽データディスクなどとなっている。


 ■ iVIS HF M31

 従来モデルHF21までは、S11と「ダブルフラグシップ」として展開していたが、M31からは、S21の下位モデルとして位置づけられた。カラーバリエーションとして、レッドとシルバーをラインナップする。

レッド

シルバー

 筐体デザインが変更されたほか、内蔵メモリが32GBに半減した。外形寸法は約68×123×60mm(幅×奥行き×高さ、グリップベルト含まず)、本体重量約320g(撮影総重量約380g)となり、HF21の約70×124×約62mm/約340g(撮影総重量約400g)より、一回り小さく軽くなった。

 そのほかにもデジタルズーム時の手振れ補正が、光学式に加え、電子式を加えることで、より手振れ補正がきくようになった。それ以外の仕様は従来とほぼ同じで、総画素数389万画素「キヤノン フルHD CMOS」を採用したほか、DIGIC DV IIIや、光学15倍ズームの「キヤノン HD ビデオレンズ」を搭載。

 撮像素子は1/4型総画素数約399万画素で、RGB原色フィルターを採用。有効画素数は、静止画時は約331万画素(4:3)/約299万画素 (16:9)。ズームは光学15倍で、9群11枚構成。 F1.8~3.2、焦点距離は35mm判換算で39.5~592.5mmとなっている。。

 最低被写体照度は約0.4ルクス(ナイトモード、シャッタースピード1/2秒)/約5.5ルクス(Pモード、オートスローシャッターオン、シャッタースピード1/30秒)。また、本体には補助光源としてフラッシュと、ミニビデオライト(高輝度白色LED)を内蔵している。

 録画モードはHF S21と同じで、静止画はJPEG形式で、2,100×1,575/2,304×1,296/1,600×1,200/848×480/640×480ドットで撮影できる。液晶モニターはタッチパネルとなった以外の仕様に変更はなく、2.7型約21.1万ドット、広視野角/広色域対応、ハードコートAR表面処理が施されている。なお、EVFは搭載していない。

 連続撮影時間は、付属のバッテリパック「BP-808」で、約105分(SPモード、内蔵メモリ使用、液晶モニターの明るさ:ノーマル、AF合焦時)。オプションの「BP-827」を使用すると、約315分の連続撮影が行なえる。なお、消費電力が約0.1W、HF21より減ったため連続撮影時間が少し長くなっている。

製品内容

 入出力端子はミニアドバンストシュー、HDMIミニコネクタ出力(x.v.Color、CEC対応)、AVミニ出力、外部マイク入力、ヘッドホン(AVミニ出力と兼用)、コンポーネント出力(特殊D端子)、USB 端子(mini-B)などを備える。

 付属品は、バッテリパック「BP-808」、ワイヤレスコントローラー「WL-D89」、D端子ケーブル「DTC-100/S」、ステレオビデオケーブル「STV-250N」、USBケーブル、コンパクトパワーアダプタ「CA-570」、PIXELA Application Disc、音楽データディスクなど。

iVIS HF M31


 ■ 新オプション

 新オプションとして、S21とM31に対応したサラウンドマイク「SM-V1」(26,250円)と、M31に対応するウォータープルーフケース「WP-V2」(62,790円)も発売される。

 SM-V1は、S21とM31のアクセサリーシューに装着できるサラウンドマイク。装着すると、同社初の5.1chサラウンド収録が可能となる。装着時にズームと連動した指向性などの設定が可能なほか、風切り音を抑制するファータイプの風防も付属する。質量は約48g。発売は4月下旬の予定。

SM-V1

装着例

 WP-V2は、M31専用の水深40mまでの防水性能(IEC1/JIS保護等級「IPX8」相当)を持ったウォータープルーフケース。手袋をはめたままでも操作が可能な大型のズームレバーや、急激な温度変化による結露を防ぐ二重ガラス、光の反射を防ぐマルチコーティングを採用したレンズ窓を装備する。重量は約860g。2月中旬に発売される。

WP-V2

HF M31搭載時



(2010年 1月 13日)

[AV Watch編集部 古川 敦]