パナソニック、「等身大3D」を実現する152型プラズマ

-世界最大で4K。フルHD 3Dは「究極のリアリティ」


7月1日販売開始

標準価格:オープンプライス


 パナソニックは、4K/2K解像度の152型プラズマ「TH-152UX1」など業務用のフルHD 3D対応プラズマディスプレイを3製品を7月1日より販売開始する。

 4K解像度/152型の「TH-152UX1」のほか、フルHDで3D対応の103型「TH-103VX200」、85型の「TH-85VX200」の3モデルをラインナップする。価格はいずれもオープンプライス。

型番サイズフルHD 3D解像度
TH-152UX1152型4,096×2,160ドット
TH-103VX200103型1,920×1,080ドット
TH-85VX20085型

発表会を行なったパナソニック プラズマディスプレイ尼崎第三工場
 業務用のプラズマディスプレイで、3製品のいずれもフルHDの3D表示に対応。デジタルサイネージや企業、店舗、アミューズメントなどの領域において、大画面のフルHD 3Dソリューションとして展開する。同社では、民生用テレビにおける3D展開の積極化に加え、業務向けや、オーサリングにおけるコンテンツ制作協力などで、「3Dの産業化」を推進するという。

 システムでの提案となるため、価格は導入事例により異なるが、152型は「一戸建ての家ぐらい。土地を除いた、都市圏の40~50坪ぐらいの家のイメージ(パナソニック AVCネットワークス社映像・ディスプレイデバイス事業グループ マーケティング統括センター所長 藤井正義氏)」とする。

 85/103型については、「3D対応により従来の約3割増し」を想定しており、85型が500万円前後、103型が750万円前後となる見込み。今回発表の3製品は、9日から米国ラスベガスで開催される「infoComm2010」に参考出展する。

 


■ 等身大の3Dを実現。プロ向け映像技術を導入

TH-152UX1

 「TH-152UX1」は世界最大の152型で4,096×2,160ドットの884万画素という4K/2Kの高解像度ディスプレイ。アスペクト比は17:9。103型の「TH-103VX200」、85型の「TH-85VX200」は1,920×1,080ドットパネルを採用。アスペクト比は16:9。

 3D表示にも対応し、フルHD(1,920×1,080ドット)での3D表示が可能。3D方式はアクティブシャッターメガネを利用したフレームシーケンシャル方式を採用する。民生用の「3D VIERA」で導入した各技術を導入し、ネイティブコントラスト500万:1を実現したほか、業務/プロ向けの改善として「超・高速駆動技術」を導入。さらに、新開発の「プロ仕様エンジン」を搭載し、30bit(従来は24bit)処理により、色表現能力を高めたという。


TH-152UX1500万:1の高コントラストをアピール
TH-103VX200(左)とTH-85VX200(右)TH-103VX200TH-85VX200

新PDPの特徴
 従来の1/3に残光時間を短縮した「新短残光蛍光体」の採用や、左右や斜めの動きも予測する発光制御で駆動スピードを高速化する「動き適応型ベクトル予測」を新たに導入。これらの技術を総称し、超・高速駆動技術と命名しており、同社業務用ディスプレイの2009年モデル「PD12シリーズ」との比較で、発光時間を約1/4に短縮したという。

 「パネルには基本的に民生用VIERAのすべての技術が入っている。そこに発光時間を極力短くする新しい駆動技術を入れたほか、駆動回路などに業務向けのものを採用している点が民生用との違い」(パナソニックプラズマディスプレイ社 長野寛之社長)という。

 これらの技術を導入することで、2Dの高画質化とともに3Dにおける二重像(クロストーク)を抑制。特に152型のTH-152UX2は「等身大の3D表示」を訴求し、そこにいるかのような臨場感を訴えていくという。

 なお、152型のアスペクト比が17:9なのは、「(デジタルシネマ用の)DCI規格への対応のため」としている。また、152型でも3D表示はフルHD 3Dとなる。「技術的には4Kで3D対応も可能ではあるが、表示ソースがなく、また4Kの3D伝送のためのインターフェイスも専用になってしまうため」対応を見送っているという。


発光時間を従来の1/4に短縮新動きベクトル予測などを導入プロ仕様エンジンも採用

 入力端子は、152型がHDMI×2、DVI×4(4K入力用)、HD-SDI×4(4K入力用)、DVI×1、PC×1。103/85型がHDMI×4、コンポーネント/RGB×1、アナログ音声×1、PC×1など。RS-232Cや外部赤外線エミッター端子などを備えている。

 また、拡張スロットとしてさまざまな端子ボード(別売)を使って、入出力端子を拡張できる「SLOT2.0」を採用。DVIやHD-SDIなど、運用環境に応じて、インターフェイスを拡充できる。

 電源はAC200V。外形寸法/重量は、152型が3,600×260×1,980mm(幅×奥行き×高さ)/約590kg、103型が2,412×129×1,419mm(同)/約201kg、85型が2,015×99×1,195mm(同)/約118kg。

都市開発などでの3D活用イメージ店舗シミュレーションのイメージ

 


■ 152型フルHD 3Dで「究極のリアリティ」を。3D 2眼カメラも前倒し発売

パナソニックプラズマディスプレイ 長野寛之社長

 パナソニック AVCネットワークス社映像・ディスプレイデバイス事業グループ PDPデバイスビジネスユニット長兼パナソニックプラズマディスプレイ社長の長野寛之氏は、同社の3D/大型ディスプレイ戦略について説明した。

 業務用ディスプレイの市場動向では、「70型以上の大型の伸びが急拡大している」とし、2009年度比で2010年度に5.6倍、2011年度に8.8倍、2012年度に12.4倍と拡大するという予測を紹介。「パナソニックは80型以上では、約8割のダントツのシェアを獲得している」と述べ、2010年以降も超大型ディスプレイを強化していくと語った。

 152型については、「世界最大として積極的に提案していく。『リアルサイズを超える』フルHD 3Dを提供し、秋からグローバル市場に順次納入する」と説明。「業務用ディスプレイにおいてプロが求めるのは『究極のリアリティ』。プロの高まるニーズにこたえていく」と語った。

 新PDPのこだわりとして、「リアルサイズの大画面」、「ネイティブコントラスト」、「4K/2K」、「プロ仕様エンジン」などの要素を紹介。「自発光のプラズマだからこそなし得た究極のリアリティ」とアピールした。

業務用ディスプレイでは70型以上の超大型が拡大中80型以上で高いシェアを持つパナソニック

ディスプレイデバイス事業グループ マーケティング統括センター 藤井所長
 マーケティングを担当する、パナソニック AVCネットワークス社映像・ディスプレイデバイス事業グループ マーケティング統括センター所長で、パナソニック3Dイノベーションセンター所長も務める藤井正義氏は、超大画面フルHD 3Dの応用事例を紹介した。

 「3D企業革命」として例に挙げたのが製品開発現場における応用。大画面3Dの活用により、開発現場において、モックアップを製作する期間や人的リソースを短縮できる点を強調した。


店舗でもフルHD 3D導入により、さまざまなシミュレーションが可能に

 「店舗革命」として紹介したのが、店舗における応用で、自動車やインテリアなど大きな商材でも、その場に用意することなく、色替えや配置換えなどが行なえるなど、購入シミュレーションが可能とする。また、アミューズメント施設におけるゲームや、専門教育などでの可能性も紹介。こうした事例を増やしていくことで、「3Dの産業化、ビジネス化をリードする」という。

 藤井氏は、プロ向けのカメラやVIERAなどの民生機器も紹介し、ソリューションを含む総合力で3Dをリードしていくと強調。また、業務用の二眼式3Dカメラ「AG-3DA1(220万5,000円)」の発売も、当初予定の秋から一カ月前倒しし、8月とすることとしたという。

 AG-3DA1については、2,000社以上からの引き合いがあり、すでに300台以上の受注があるなど「反応は予想以上」としており、発売の前倒しに踏み切ったという。

AG-3DA1AG-3DA1の撮影画像をリアルタイムでHDMI出力今秋の発売を前倒して、8月に発売
3D産業革命を目指す

 藤井氏は、規格化からハリウッドにおける協業、AV機器、業務、プロ機器など、パナソニックの3Dへの取り組みを「フルHD 3D End to End システム」と紹介。新設したパナソニック3Dイノベーションセンターなどが緊密連携して、「3D産業革命を起こす」と意気込みを語った。



(2010年 6月 9日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]