地アナ終了まで半年。「7月24日移行は必達」と決意表明
-支援強化や、地アナ終了テストの実施など活動強化へ
前列左から萩本欽一さん、北島三郎さん、中村副会長、広瀬会長、福地会長、岡村議長、成田座長、平岡総務副大臣、森田政務官、高橋英樹さん、茂木健一郎さん |
2011年7月24日の地上デジタル放送完全移行まで残り半年となった1月24日、地上デジタル推進全国会議の「完全デジタル化最終行動計画」の記者発表会が開催された。
総務省や放送事業者、JEITAなど関係者の代表が集まり、「7月24日にアナログ放送を終了すること」、「そのための対策を残り半年で徹底すること」を強調した。
会場の東京・明治記念館には、地デジ推進キャラクターの草なぎ剛さんや、地デジカ、萩本欽一さんや高橋英樹さんら「地デジ化応援隊」、そして地デジ推進大使の各局アナウンサーらが集合。地上デジタル推進全国会議で承認された「完全デジタル化最終行動計画」や、地上デジタル放送国民運動推進本部の「完全デジタル化に向けた最終国民運動」の具体的な内容やスケジュールなどが発表され、速やかな地デジ対応を呼びかけた。
司会は草なぎ剛さんと、フジテレビの中村仁美アナが務めた |
完全デジタル化まで残り約半年となり、ラストスパートの段階に入っている。2010年9月に行なわれた浸透度調査では、受信機の世帯普及率は90%を超え、視聴可能世帯の割合も85%を超えた。また、受信機の出荷台数も、2010年末時点で1億台を突破している。
一方で、難視聴地域などで、まだ地デジが受信できない世帯も存在することから、ビル陰や辺地などの強調施設対策や、低所得世帯への支援、高齢者などへの支援といった取り組みを強化することも表明。「国民に混乱を生じさせることなく、円滑に完全デジタル化を達成する」ことを目標としている。
今回の会見で最初に登壇予定だった片山善博総務大臣は、国会の影響で遅れて参加するとアナウンスされていたが、残念ながら発表会の終了までには間に合わなかった。このため、平岡秀夫総務副大臣が代理で挨拶。改めて地デジ移行の意義を説明し「国民目線から見てメリットを有するものだ。アナログの終了に向け、今後は投入するエネルギーに対して効果が少なくなるが、ここが正念場。いまの取り組みを続ければ、必ず達成できる」と意気込みを表明した。
平岡秀夫総務副大臣 | 「地デジ化応援隊」のメンバー。このうち北島三郎さん、萩本欽一さん、高橋英樹さん、茂木健一郎さんが来場した | 地デジ推進大使。左から、中村仁美アナ、森本智子アナ、竹内香苗アナ | 上宮菜々子アナ、馬場典子アナ、鈴木奈穂子アナ |
地上アナログの終了については、改めて「7月24日に間違いなく切り替えられる」(民放連の広瀬道貞会長)との意向を表し、具体的には7月24日の正午にブルーバック画面に移行、同日24時までにアナログ放送を停波するという計画を表明。「24時までに」というのは「中継局のシステムの問題があるため、全国一斉に、というわけにはいかない」(総務省 情報流通行政局 地上放送課長の吉田博史氏)ことから、24時より前に終了する可能性があるという。
政府による支援の具体例 |
低所得者世帯への政府の支援については、これまでのNHK受信料免除も継続(事業費44億円)。さらに、市町村民税非課税世帯へのチューナの無償提供を1月24日より受付開始する。平成22年度の補正予算である事業費39億円に加え、23年度予算で62億円を投入。市町村民税非課税世帯のうち、最大156万世帯と推計される地デジ未対応世帯を支援する。具体的には、チューナの無償給付と、電話によるサポートを行なう。
また、沖縄のように普及率が低い地域があるという地域間格差の解消に向けた取り組みを強化。その一環として、沖縄では1月中に、民放全社一斉で昼間の1時間弱、アナログ放送の周知特別番組を実施。そのなかで、ブルーバック画面のように、あたかもアナログ放送が終了したような画面にすることで、地アナ終了が迫っていることを表明し、視聴者の行動を促すという。その反応を見て、こうした番組の定例化も予定。
この停波テストについては、沖縄以外でも実施する計画で、「普及率などに応じて、可能な地域でやっていきたい」(吉田氏)とのこと。また、沖縄の非課税世帯に対しては、受信機購入支援として上限12,000円を、離島の非課税世帯には、リサイクル費用として一律3,000円を支援する。
そのほか、サポート体制の強化策としては、コールセンターをピーク時に1,000席規模で用意。臨時相談コーナーを1,000カ所程度設置するほか、全国で約20万人のボランティアを動員して、高齢者世帯などへの声かけ・念押し運動を展開。ボランティアの人員としては、全国のボーイスカウトや、母親クラブ、民生委員、町内会、NPOなどが参加する。これは技術的な相談ではなく、対応しているかどうかの確認を地域で行なうものだという。
放送事業者は、アナログ放送における常時告知スーパーの訴求力を高めるため、各地域特有の課題や取り組みに応じた文言を盛り込むことや、文字の大きさ、輝度などに変化を付け、視聴者の注意を喚起する表示などを検討。NHKでは1月以降、告知スーパーを24時間表示にすることを検討している。
また、アナログ放送画面を通じた周知としては、NHKはアナログ放送のスポットや広報ミニ番組の活用、民放では全番組に地デジ化移行促進用の「ムービングロゴ」を一定時間表示する。
さらに7月には、アナログ放送の画面上に「アナログ放送終了まであと○日!」などのスーパーを常時表示。また、定期的に全画面スーパーやブルーバックなどの「お知らせ画面」を短時間挿入。民放においては、常時告知スーパーを完全常時化(CM除く)する。
放送事業者による取り組みの例 | Dpaはサポート体制を強化 | 地デジ化に便乗した「地デジ詐欺」に対する注意喚起も行なう |
記者発表会では、「アナログ放送まであと○日!」というスーパー表示のイメージをデモ。さらに、民放連とNHKが共同制作した、地上アナログ向けのPRミニ番組「7月地デジ化完了まであと6カ月」が上映された。
7月にアナログ放送で表示される「終了まであと○日」のスーパー表示イメージ。文字の表示位置やサイズなどは検討中 | 「砂嵐」画面を用いて「あと○カ月」を訴えるPRミニ番組 | 草なぎさんによるラジオCMも行なわれる |
受信機の普及台数としては、2010年9月時点で90.3%/4,515万世帯相当(目標91%)だった。100%(約5,000万世帯)となるのは2011年4月を見込んでいる。
共聴施設における対応状況としては、2010年12月末時点で、施設数で88.4%、世帯数では約89%が対応済みとなっている。これに「計画あり」を加えると、施設数では98.1%、世帯数では約98%となる。集合住宅共聴施設のデジタル化率は、施設数で94.0%、世帯数で約96%。
難視聴地域については、2010年末までに行なった電波の実測調査にて、「新たな難視」約28.9万世帯を特定。うち約28.6万世帯(13,995地区)について対策計画を策定(計画策定率約99%)した。今後、視聴者などから難視であると申告のあった地区を中心に調査を継続するという。
7月の終了時に地デジが難視聴となる地域に対しては、中継局や共同受信施設などが整備されるまでの間、衛星放送などで暫定的な難視聴対策を行なう。これは最長2015年3月までの措置で、BSでの視聴は無料、BSチューナやアンテナの取り付け工事は国が費用を全額負担する。
(2011年 1月 24日)
[AV Watch編集部 中林暁]