Audyssey、iPhone/iPodスピーカーを国内販売開始

-Bluetooth搭載、バイアンプ内蔵。39,800円


South of Market Audio Dock

 米Audysseyは、iPhone/iPod対応のアクティブスピーカー「South of Market Audio Dock」を6月18日よりオンラインのアップルストアで発売開始した。価格はオープンプライスで、アップルストアでの価格は39,800円。アップルストア以外でも、KitCutなどApple Premium Reseller(APR)で順次販売する。

 South of Market Audio Dockは、AVアンプやテレビ、カーオーディオなどの製品に技術をライセンス提供しているAudysseyによる、初のコンシューマ向けスピーカー。ハードウェア面でも、ユニットのカスタムオーダーなど全て自社設計によるものだという。

 縦置きのiPhone/iPodスピーカーで、4インチのウーファと0.75インチのツイータを左右側面に装備。総合200Wのバイアンプで駆動する。特徴は、自動音場補正技術「Multi EQ」や、低域強化の「BassXT」、自動ボリューム調整機能「Dynamic Volume」などの機能を搭載していること。搭載ユニットや筐体の特性に応じた再生を、複雑な設定無しで利用できる。「Dynamic EQ」を搭載したことで、小さな音量でも音質のばらつきが無く、迫力のある低音などが楽しめるという。

 さらに、AppStoreで配布している専用アプリにより、ユーザー自身が好みの音質にカスタマイズすることも可能。カスタムEQでは50Hz~20kHzの範囲で最大15個の調整ポイントを変更して、トーンカーブを作成/保存できる。なお、設定アプリは英語だが、日本語版のアプリも既に開発。アップルの承認を待っている状態だという。


iPhone 4を装着したところ
側面にウーファ/ツイータを内蔵する
配布中の専用アプリ各機能の設定が可能カスタムEQの画面

 Bluetoothも内蔵し、iPhoneなどのBluetoothスピーカーとしても利用可能。また、前面と背面にマイクを内蔵し、スピーカーフォンとして通話にも利用できる。BluetoothのプロファイルはA2DP/HFPに対応する。なお、iPhoneやiPodとはDockコネクタで接続するが、音声信号の伝送はアナログ。同社は「アナログでも、それを補うだけの音響技術を持っており、しっかりした音作りができる」と説明している。また、本体を縦置きとしたことで、デスクトップなど狭いスペースでも設置可能となっている。

Dockコネクタ部ボリュームなどの操作はタッチ式前面と背面にマイクを内蔵

 対応iPhone/iPodは、iPhone 4/3GS/3GやiPod touch(1~4世代)/nano(第4世代以降)/classicと接続できる。そのほか、ステレオミニ入力を備え、他のプレーヤーとも接続可能。3.5mmのモノラル出力も装備する。

 背面にUSB端子を備え、iPhoneなどのiTunes同期に利用可能。なお、USBスピーカーには対応しない。再生周波数帯域は40Hz~20kHz。電源はACアダプタを使用し、消費電力は最大131.8W、再生休止時が15.2W、スタンバイ時0.6W。外形寸法は13×23×23cm(幅×奥行き×高さ)、重量は4.1kg。リモコンが付属する。

背面付属リモコンはマグネット付きで、本体横に付けておくことも可能パッケージ


■ スピーカー本来の音を楽しむ

Audysseyの概要

 「South of Market」という製品名は、サンフランシスコの中にある地区の名前から付けられたもの。最新の文化、ショップ、アーティストなどが集まる場所であり、この地域に住む人々の多くは、流行を追うだけでなく、よりいいもの、価値のあるものを求めるという。今回のスピーカーにも「新しいもの、よりいいものを提供したい」という同社の想いが込められている。

 日本国内での製品サポートは、シネックスが担当。アップルストアやAPR以外にも、オーディオ専門店やインストーラ、家電量販店での販売も行ない、年末までに1,000~1,500台の販売を見込む。なお、米国や欧州などでは2010年11月より販売中。グローバルの販売台数は、3月末時点で1万台弱となっている。

 Audyssey Laboratories Japanの山中幹大ビジネスディベロップメントディレクターは、製品の開発経緯について「ブランディング」と「Audysseyサウンドの直接体験」の2つを挙げる。山中氏は、「これまでライセンス技術を主軸にして、音質は各セットメーカーやユーザーに理解されているが、既に音響技術を数多く提供している他社に比べるとまだブランドとして弱点がある。自社製品を世の中に出すことで、一般の方々に知っていただく。また、Audysseyの名前を聞いたことがあっても、『音のどこが良いのかわからない』といった声も聞く。そこで、Audysseyの音作りを直接体験していたただくことを目的にリリースした」と説明した。

 音質については「(他社製品のように)疑似低音技術を使うと低音が軽くなるほか、ボーカル部分が聞こえにくくなることがある。(South of Marketは)ドライバの性能を活かして、低域だけでなく、中高域を含めてリアルな音質となった。スピーカー自体に特殊な加工を施すのではなく、スピーカー本来の特性を楽しんでいただける」とした。

デノンのAVアンプや東芝のテレビ、ジャガーのカーオーディオなどに技術を提供。IMAXシアターにも順次導入されている同社の高音質再生へのアプローチAudysseyの山中幹大氏


(2011年 6月 21日)

[AV Watch編集部 中林暁]