振ってテレビを操作できるリモコン「テレビの手」

-タカラトミーアーツが発売。テレビで使ってみた


使用イメージ

 タカラトミーアーツは、本体を縦や横に振ってテレビを操作できるリモコン「テレビの手」を5月31日に発売する。価格は2,100円。カラーはブルーとオレンジの2色を用意する。

 テレビの電源ON/OFFや、チャンネル切り替えが行なえる赤外線リモコン。本体を上下左右に振るという操作を特徴とし、「テレビの電源を入れる、チャンネルを変える、といった日常の行為におもしろさとエンターテイメント性を取り入れたい、また、指先ひとつでテレビを操作することで、“魔法使い”になるという夢を叶えたい、という思いが開発のきっかけ」だという。

 対応するテレビのメーカーは9社(シャープ、東芝、パナソニック、ソニー、日立、三菱電機、ビクター、サンヨー、パイオニア)で、デジタルテレビ専用。

 本体のボタンとして、操作時の音声などを切り替える「ボタンスイッチ」と、チャンネル/音量のどちらを操作するかを選択する「切り替えスイッチ」を搭載。それ以外の操作はジェスチャーで行なう。

 操作方法は3パターンあり、本体を上から下に振ると電源をON/OFF、切り替えスイッチを「CH」にセットして左右に振るとチャンネルを1局ずつアップ/ダウンできる。また、切り替えスイッチを「VOL」にセットして左右に振ると音量を1段階ずつ大/小できる。本体の動きに連動してサウンドが流れるため、「魔法を使っているような気分を味わえる」としている。

ブルーとオレンジの2色操作部。上がボタンスイッチ、下が切り替えスイッチこのスピーカー部から音が出る

 テレビを操作できる機能を同社は「FNS」(FINGER NAVIGATION SYSTEM:指先指示機構)と呼んでおり、このほかにも玩具メーカーならではのユニークな機能を2つ搭載。一つは「FSS」(FINGER SKIP SYSTEM:擬似雑誌めくり機構)で、指先に付いたグリップゴムにより、雑誌などをめくることができるもの。また、「FLS」(FINGER LIGHT SYSTEM:擬似照明点灯機構)により、指先に内蔵されたLEDライトで、暗い場所でも照らすことができる。

 実用品としてだけでなく、家族の団らんや、友達とのパーティーなどでの利用も提案。同社が発売中の「ポテチの手」(2010年に発売したポテトチップス専用マジックハンド)と共に使うことにより、「『テレビの手』で快適テレビライフ、『ポテチの手』で快適ポテチライフ、ふたつの“手”を使って過ごすエンターテイメント性のある日常を提案する」としている。

 電源はボタン電池(LR-44)を2個使用し、連続使用時間は約90分。対象年齢は15歳以上。外形寸法は55×40×21mm(幅×奥行き×高さ)。

電池部はネジ留めされているので、子供が誤って開けたりするのを防げる指先を点灯させることも可能パッケージ(オレンジ)
指先がグリップゴムになっている同じくタカラトミーアーツから発売されている「ポテチの手」テレビの手(下)のほうが、ポテチの手よりもやや大きい


■ 「テレビの手」で操作してみた

ボタンを上にするのが正しい持ち方

 編集部や自宅にあるテレビを、「テレビの手」で操作してみた。編集部ではソニーのBRAVIA、自宅では東芝のREGZAを使って試している。

 本体のボタン類は、前述した通りメインとなる「ボタンスイッチ」と、チャンネル/音量の切り替えを行なう「切り替えスイッチ」の2つのみというシンプルな設計。複雑な初期設定も無いので、買ってからすぐに使える。持ち方としては、スイッチが上に来るようにすることが必要。こうしないと上下左右に振ったときに正しく認識されないためだ。

 前述したメーカーのデジタルテレビであれば、設定はとても簡単。電源がONになっているテレビのリモコン受光部に「テレビの手」を向けて、上側の「ボタンスイッチ」を押し続ける(長押しする)だけ。「ピッ」という音が繰り返し流れ、そのうちテレビが消えたらすぐに指を離せば、その時点で完了する。テレビに向けて上から正面に振り下ろしてみて、電源がON/OFFできれば成功だ。もしうまくいかなかった場合でも、先ほどの長押しをもう一度やり直せば良い。

 設定を終えたところで、まずはテレビのボリュームを上下してみた。「切り替えスイッチ」を下側にセットして、テレビの手を左から正面に振るとボリュームが上がり、右から正面に振るとボリュームが下がる。説明書のイラストによれば、テレビ画面に対して真横に向けた状態から正面へ90度ほど動かすようだ。テレビの受光部に向けたところでしっかりと止めることがポイントとのこと。

 何度か操作してみると、それほど大きく動かしたり止めたりと意識しなくても、失敗することは少ないのが分かったが、説明書通りにしっかりと動かしていると「ハリー・ポッター」のように魔法の杖を振っているような気分が味わえて楽しい。子供と一緒に使えば、普段の何気ない動作が面白い遊びに変わりそうだ。

 チャンネルの変更は、先ほどの切り替えスイッチを「VOL」にして、同じく左右に振る。左から正面に振るとチャンネルがアップ、右から正面だとダウンになる。筆者は普段、リモコンのチャンネル上下ボタンよりも直接数字ボタンを押す方が多いが、こうした面白い操作ならば、数字ボタンを押さずに左右に振って操作するのも悪くない。

 チャンネルが変わる順番は、テレビの純正リモコンの上下ボタンと同じ。地デジで011(NHK総合)を観ている時に左から正面へ振ると「021」、次は「031」となる。NHKのEテレや、TOKYO MXなどで番組がマルチ編成されている場合でも、目的のチャンネルがスキップされずに選局できる。地デジだけでなく、BSやCSでも同様にチャンネルが切り替えられた。

 操作時に音が出るのもこの製品ならではの特徴。サウンドモードは3種類あり、シンプルな電子音の「ベーシック」と、魔法使いの道具の音がするという「マジカル」、爽快感のある電子音の「スタイリッシュ」から選べる。ボタンスイッチを短押しすることで、サウンドモードを切り替えられる。3モードそれぞれにチャンネル切替用と音量切替用、電源ON/OFF用の音声が用意されているので、飽きずに楽しめそうだ。

【「テレビの手」での操作】

 「FLS」(疑似照明点灯機構)と「FSS」(疑似雑誌めくり機構)も試してみた。FLSは、ボタンスイッチを押すと、指先のライトが点灯する機能。“疑似照明”という通り、保安球のような小さな光だが、シアタールームなどで部屋を暗くしている場合は電気を付けなくても手元のリモコンのボタンを見るといったことができた。なお、ライト点灯中はテレビの操作はできない。

 FSSは、雑誌のページを手ではなく「テレビの手」の指先のグリップゴム部分でめくるというもの。「どうしてこんな機能を? 」という気もするが、グリップ力は結構しっかりしていて侮れない。週刊誌のような薄い紙だけでなく、ムックなど厚めの紙を使ったページも問題なくめくれた。「本当に必要なの? 」などと野暮なことは考えないのがこの「テレビの手」の楽しみ方。絶対に汚したくない本を読む場合などには良さそうだし、使い慣れていけば、これでページをめくる姿がエレガントな動作に見えてくるかもしれない。

「FLS」(疑似照明点灯機構)を点けたところ。ボタン1回で点灯、もう一回で点滅。もう一度押すと消える「FSS」でページをめくっているところ

 「テレビの手」の機能は、以上のようなシンプルなものだが、杖のように動かしたり、音を鳴らしたりと、随所に遊び心のあるところが最大のポイント。7月からのロンドンオリンピックやその予選など、これからは複数の人とテレビを観る機会も増えそうなので、そういった時に、おもむろに「テレビの手」を取り出してスマートな動作でチャンネルや音量を変えてみれば、ちょっとした盛り上がりも期待できるし、そこに子供がいればきっと喜んでくれるはず。もちろんリモコンとしての機能はしっかり果たしているので、普段のリモコンにプラスして遊べるアイテムとしてよさそうだ。



(2012年 5月 31日)

[AV Watch編集部 中林暁]