オーテク、DAC搭載BTLヘッドフォンアンプ参考展示

秋冬の新製品発表会開催。「SOLID BASS」充実


発表会の司会はSascha(サッシャ)氏が担当

 オーディオテクニカは16日、年末にかけて発売する新製品を一堂に紹介する発表会を開催。「ATH-AD2000X」など、オープンエアヘッドフォンのATH-ADシリーズの全モデルのリニューアルや、ハウジングに国産の鬼胡桃(ジャパニーズ・ウォールナット)を採用した限定モデル「ATH-ESW11LTD」、「SOLID BASS」シリーズのBluetoothヘッドセットなどを発表した。

 各モデルについての詳細は、個別の記事でレポートしている。





■BTL接続のUSB DAC内蔵ヘッドフォンアンプ

 会場にはこれらの新機種に加え、未発表の参考展示も用意。残念ながら撮影は禁止だったが、「AT-HA7000BTL」(仮)というヘッドフォンアンプが展示された。

 型番にもあるように、内部でBTL接続(ステレオアンプの出力をブリッジ接続してモノラルアンプとして使用)したヘッドフォンアンプで、バランス接続のヘッドフォンを接続して利用できるほか、アンバランス出力×2も備えている。

 内部でBTL接続する事で、ヘッドフォンの駆動力を高め、より高品位な再生をする事を目標に開発が進められているという。また、USB DACも内蔵。32bit DACを搭載しており、PCから最大で24bit/192kHzのハイレゾファイルを、アシンクロナス伝送し、「AT-HA7000BTL」でアナログ変換して再生できる。同軸と光デジタルの入力も備え、アナログRCA出力も用意。単体DACとして使う事もできる。

 さらに、ボリュームには32bitのデジタルボリュームを採用。歪の無い音量調節が可能だという。なお、DAC以降はアナログアンプとなっており、「デジタルアンプの採用も検討したが、音源がハイレゾになっていく事でアナログのサウンドに近づいており、それを増幅する回路もアナログにこだわって開発してみようというのがコンセプトになっている」という。

 製品化は未定で、価格や発売時期も未定だが、製品化する場合にも「数十万円の高価なモデルではなく、なるべく購入しやすい価格帯の製品を目指している」とのこと。価格を抑えるため、試作機は電源にACアダプタを使っていた。



■新製品も一堂に紹介

 16日に発表された製品は別記事でレポートしているが、会場にはそれ以外の新製品も展示。

 9月に発表されている、重低音再生の性能を強化した「SOLID BASS」シリーズのカナル型(耳栓型)イヤフォン「ATH-CKS1000」(25,200円)、同モデルの限定カラー版「ATH-CKS1000LTD」(25,200円)、「ATH-CKS99」(12,600円)、同モデルのiPod/iPhone用マイクリモコン付き「ATH-CKS99i」(13,650円)。

 さらに、「SOLID BASS」のヘッドフォンシリーズ上位2機種である「ATH-WS99」(25,200円)、「ATH-WS77」(12,600円)が注目を集めている。

ATH-CKS1000LTDATH-CKS99iATH-WS99

 カナル型「ATH-CKS99」と「ATH-CKS1000」は、いずれも「SOLID BASS」シリーズらしい、芯のある力強い低域描写が楽しめる。同時に、中高域のクリアさが維持され、ボワボワ、モコモコした感の無い、スッキリと抜けの良い描写も両立しているのが特徴。会場で試聴したところ、「CKS1000」は「CKS99」よりも低域がより強め。バランス重視か、低域の迫力重視かでチョイスが変わってくるだろう。

 ヘッドフォンも同様のバランスだが、特筆すべきは「ATH-WS99」の締りがあり、ハイスピードな低域描写。中高域のクリアさも合わせ、高い次元でバランスがとれており、“低音重視のヘッドフォン”という枠に収まらないクオリティに仕上がっている。

 11月16日に発売されるのが、女性向けの「BIJOUE」(ビジュエ)シリーズのイヤフォン「ATH-CKF505」。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は2千円前後、

 BK/BW/LBL/LPK/PK/WHの豊富なカラーを用意し、ケーブルの分岐部分にはスワロフスキーをあしらっている。イヤフォン部分はカナル型。ユニットは9.6mm径のダイナミック型。出力音圧レベルは102dB/mW、再生周波数帯域は16Hz~23kHz。

ATH-CKF505ケーブルの分岐部分にはスワロフスキーをあしらっている
PC用モノラルマイク「AT9931PC」は10月19日発倍。小型なのが特徴で、スイングアームが付属。タイピンマイクとして使う事もできる。プラグインパワー対応。価格は4,725円会議室用に、最大4台までカスケード接続できるモノラルマイク「AT9922PC」は、10月19日発売で7,875円。
デジタルワイヤレスのマイクシステム「ATW-1102」は11月20日発売で39,900円ギター用のデジタルワイヤレスシステム「ATW-1101/G」は11月20日発売で39,900円



■新製品も一堂に紹介

松下和雄社長

 松下和雄社長は、3月期の売上高が約238億円で、ここ数年はあまり売上が伸びていない事を報告。その理由として、同社が手掛けているCDのピックアップ部品が、PCや携帯端末の盛り上がりでCDの需要が減っている事、国内オーディオメーカーの不振があると分析。以前は売上の3割を占めていたが、現在は5%まで減っているという。一方で、ヘッドフォンがマーケット首位を獲得し続けるなど、自社ブランド製品は国内外で好調。2011年度の売上構成で、ヘッドフォンは41.5%を占めている。

 松下社長は創立から50年を超え、今後に必要な要素として、「時代に即した柔軟な経営体制と、新技術への対応、そして新たな分野の開拓が使命になる」と説明。その上で、新技術としてWi-FiやBluetooth、AirPlayを挙げ、新分野開拓としては、子供向けに、音量が大きくなりすぎないヘッドフォンとして展開している「iico」シリーズや、高齢者向けにテレビの音が近くで聴ける「SOUND ASSIST」シリーズなどを紹介。「本日発表した製品でも、そういった一面をご覧いただけると思う」と語った。


記念コンサートも盛況だったという3月期の売上高売上構成比
発表会ではダンサーが新製品のヘッドフォンやイヤフォンを装着。マイクなども使い、機能性や音質を体で表現した
発表会の一幕第二部ではアーティストも参加。新製品の体験会場を盛り上げた

(2012年 10月 16日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]