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「HI-END SHOW」開幕。DYNAUDIOが新スピーカー

球形スピーカーや簡単ケーブル自作キットも

東京交通会館
会場の入り口

 オーディオメーカーと輸入商社などが参加する展示・試聴イベント、秋の「HI-END SHOW TOKYO 2013」が11日、東京・有楽町の東京交通会館で開幕した。期間は10月11日~13日までの3日間。入場は無料。

 同イベントはこれまで春(5月)と秋(10月)の年2回開催されていたが、今年5月の「スプリング・サマー」は中止。そして、今回の秋のイベントは予定通り開幕した。交通会館12階のダイヤモンドホールに各社が試聴コーナーを設けており、各社ローテーションで再生デモを行なうのが特徴。

DYNAUDIO JAPAN

新しいExciteシリーズ。左からX14、X34、X38

 DYNAUDIOのエントリーモデルである「Excite」シリーズが一新され、ブックシェルフの「X14」、センターの「X24C」、フロア型の「X34」、「X38」の4機種が10月末頃から発売される予定。価格は「X14」がペア152,250円、「X24C」が105,000円、「X34」がペア336,000円、「X38」がペア451,500円。仕上げはウォルナット、ローズウッド、サテンブラック、サテンホワイトから選択可能。会場では新モデルが一挙に展示された。

 X14/X24C/X34はインピーダンスが8Ω設計になり、鳴らしやすいスピーカーになったという(X38は4Ω)。さらに、ウーファの改良やバスレフポートの見直し、クロスオーバーの改善などにより、低域の再生能力が向上したとする。

センタースピーカーのX24C
X14の背面

 デザイン面では全面が天然突き板仕上げになり高級感がアップ。サランネットの取り付けもマグネット式になり、フロントバッフルに凹凸の無いデザインになっている。脚部にはダイキャストを使用、X34/38はゴムとスパイクを内蔵している。

 また、カナダSIMAUDIOの新製品として、同社としてはリーズナブルな価格を実現したという「MOON Neo(ムーン・ニーオ)」シリーズが参考展示。今年の年末か、年明けの発売が予定されている。

 ラインナップは8機種で、いずれも最上位Evolutionシリーズの回路技術などを投入しているという。価格はプリメインの「220i」が210,000円、「250i」が273,000円、「340iD2PX」が619,500円。「340iD2PX」はDAC/フォノステージ/バランス入力のオプション機能を後付できるのが特徴で、増設した価格が619,500円、プリメインアンプのみの状態では525,000円となる。

 他にも、プリアンプの「350P」(420,000円)、ステレオパワーアンプ「330A」(493,500円)、モノラルパワー「400M」(493,500円)、32bit対応DAC「380D」(504,000円)、DAC兼CDトランスポート「260D」(341,250円)も発売予定。「260D」はトランスポート+32bit DACでの価格で、DACボードを外したCDトランスポートとして購入(241,500円)する事もできる。

左からCDトランスポート+32bit DAC増設可能な「260D」、プリメインの「250i」
上からプリアンプ「350P」、ステレオパワーアンプ「330A」
プリメインアンプの「340iD2PX」。DAC/フォノステージ/バランス入力を追加できる

光城精工

ソルダーレスケーブルキットで自作したケーブル

 ユニークな製品を揃えていたのは光城精工のブース。11月頃の発売を予定している「ソルダーレスケーブルキット」(予価10,499円)は、RCAケーブルの自作が簡単にできるというもの。3mのケーブルと8個のプラグが入っており、ケーブルを好きな長さにユーザーがカット。両端にプラグを取り付け、4本のケーブルが自作できる。

 大きな特徴はプラグの取り付け方法。通常はケーブルを剥いて、プラグとハンダ付けするなどの作業が必要だが、キットに付属するプラグには、内部に針のようなパーツが配置してあり、専用のケーブルをグッと突き刺すだけで接続が完了。後はケーブルが抜けないようにプラグの根元のパーツで締め付けるだけでケーブルが完成する。ユーザー宅のオーディオシステムの配置に合わせた、必要最低限の長さのケーブルが簡単に自作できるため、音にも有利だという。

このようにプラグの内部にある針を、ケーブルに突き刺す事で接続。根元を締めてケーブルが完成する

 他にも、電源関連の新製品として「Force bar 3.1」(予価15,645円)を参考展示。4個口のオーディオ用電源タップだが、電源プラグが筐体内部で浮いているような構造になっており、振動の影響を防げるのが特徴という。

 「Clavier」(クラヴィア)は、パワーサプライの新モデルで12月頃の発売を予定。予価は756,000円。プラグ部分が黒と白でピアノの鍵盤のようであるため、筐体自体もピアノのような形になっているのが特徴。

「Force bar 3.1」
パワーサプライの「Clavier」

インテク

 大阪にあるメーカー・インテクは、今後の製品化を予定している「コアダレン」というシリーズのステレオプリアンプ「CSCP-C10」(798,000円)、ステレオパワーアンプ「CSCP-275L」(892,500円)を参考展示している。

 過去のアナログ名機の魂と音色を現代の技術で再現する事を1つの目標としており、米国やロシアの真空管など、ビンテージ部品を多数採用している。275Lは5極管プッシュプル動作のABクラス管球パワーアンプで、KT88を4本、6141/5965を4本、ECC88/6922を2本使用。C10には5670/2C51を2本、5963を2本、5965を2本使っている。筐体にはアルミ切削加工の天板を使い、接続端子を上向きに備えているのも特徴となる。

ステレオプリアンプ「CSCP-C10」
接続端子を上向きに備えている
ステレオパワーアンプ「CSCP-275L」

エスカート

 エスカートのブースでは、PCオーディオでノートPCを使う際に、その電磁波対策ができるというボード「EVA」を参考展示。今月末か、11月上旬に発売を予定しており、価格は「EVA-Umini」(197×197mm)が27,300円、「EVA-U13」(340×242mm)が33,600円、「EVA-U15」(380×265mm)が36,750円。

 電波のエネルギーを磁気損失により熱エネルギーに変換して吸収するというボードで、周波数帯域は100MHz~10GHzをカバー。特殊な密着構造で、ボードのダンピング効果を高めており、ノートPCだけでなく、HDDを乗せたネットワークHDDなどを設置しても効果があるとする。

 また、ユニークなポイントとして、USB入力も装備。アーシングを行なうためで、シャーシのシールド効果を高め、SN比を向上させるとする。

PCオーディオ用電磁波対策ボード「EVA」
EVAを使っているところ
USB入力も備えている

 室内の音響環境を整えるための新製品として、PVC(プラスチック)を用いて軽量化した音響拡散パネルも参考展示。11月末頃の発売を予定しているもので、壁面の仕上げによっては、両面テープなどで固定する事も可能という。

PVCを使った音響拡散パネル

その他

 トライオードのブースでは、近日発売予定の真空管プリメイン「TRK-300」が注目を集めている。キット価格は157,500円、完成品は178,500円で発売予定。「トライオードの初心にもどりデビューした」というモデルで、上級機種TRV-A300SERのクオリティを維持しつつ、コストを抑えてキット化。バイアス回路は固定バイアスとし、幅広い300Bのセッティングができるという。

真空管プリメイン「TRK-300」
他にも新製品が一挙に展示されている

 オンキヨーブースでは、CDプレーヤー「C-7000R」やプリアンプ「P-3000R」、パワーアンプ「M-5000R」などの自社のハイエンドオーディオ機器を揃えているほか、資本業務提携をしているティアックのDAC「UD-501」や、エソテリックのタンノイ「Definition DC10A」と組み合わせた再生デモを実施。ティアックのコンポにオンキヨーのスピーカーを組み合わせるなど、両社がコラボしたサウンドが楽しめるようになっている。

ティアックのとオンキヨーの製品がコラボしたオンキヨーブース

 ポーカロ・ラインのブースでは、ROTELの新製品として、プリメイン・ヘッドフォンアンプ「RDA-06」を展示。12月発売予定で、予価80,000円。コンパクトなクラスDアンプで、4Ωスピーカーにも対応。前段に高音質オペアンプを採用している。

右がROTELの新製品「RDA-06」
独特な形状のスピーカーを多く手掛けるblancoの新製品は、球体。「BALLON」というモデル名で、MDFを積層したブロックを削って球体にしている。12月1日発売で価格は未定だが、ペア30万円程度を予定しているという
同じくblancoのスピーカー。上部にユニットを備えている
香川大学工学部のブースでは、世界初という“光アンプ”を展示。通常のアンプはトランジスタやIC、真空管などの増幅素子が使われるが、発光ダイオード(LED)とフォトダイオード(光センサー)から作られた増幅素子「ダイスター(distar)を発明・採用しているのが特徴。岡本研正教授の発明で、原理としては、LEDの光をフォトダイオードで受け、太陽電池のように発電。その電気を戻してLEDの発光をさらに強くし、その光で発電……というサイクルを繰り返して増幅するという。ブースでは光を遮ると音が出なくなるなど、試作アンプから実際に音を出して原理を説明している

(山崎健太郎)