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動画配信など「無料音楽で満足」が増加傾向、音楽への支出は1,500円/月。RIAJ調査

 日本レコード協会(RIAJ)は18日、2013年度の「音楽メディアユーザー実態調査」報告書を公開した。CD購入や配信を利用する層の減少が続いているほか、無料動画配信が購入のきっかけになる一方で、無料視聴だけで購入せず満足する層が増える傾向が表れている。

 同報告書は2013年8月に実施したインターネットアンケートの調査結果をまとめたもの。対象者は全国の12~69歳の男女で、サンプル数は1,545。CD購入/レンタルや、音楽配信の利用、オーディオプレーヤーやPCといった音楽を聴く機器の利用率などを調査している。

CD購入/有料音楽配信の利用は減少。配信のみの利用は3.1%

CD購入やレンタル、音楽配信の利用率
出典:日本レコード協会

 過去半年間に、CDを1作品以上購入した人は全体の30.7%(前年比1.3ポイント増)、CDレンタルは18.4%(同3.2ポイント減)。両方に該当するのは7.1%(同0.2ポイント減)だった。インターネット有料音楽配信(着うたフルを含む)で購入したのは10.9%(同1.2ポイント減)で、CD購入/レンタルをせず配信のみ利用したのは3.1%(同1.2%増)だった。新品CDの購入は前年に比べ回復傾向が見られたが、音楽配信は購入率/平均購入数ともに減少した。

 CDを購入した人を年代別で推計(CDの年間購入枚数を、それぞれ実際の人口を乗じて構成比を算出)すると、最も多いのが中学生~20代社会人で、全体の38.0%。前年比では30~40代の割合が減少。特に男性の30~40代が、前年の32.1%から'13年度は14.1%へ大幅に減少した。一方、有料音楽配信は、30~40代のシェアが半数を超える55.2%だった。配信のうち着うたフルは、中学生~20代社会人の割合が縮小し、30~40代、50~60代と同等になった。

 日常における音楽との接点に関する質問への回答からは、全体の9割強が何らかの接点を持っている中、10代が最も接点が多く、50代や30代は接点が少ないという結果になった。屋内で音楽を聴く機器は、PCでのCD/DVD再生(51.3%)が最も多く、2番目はPCでの音源ファイル再生(37.0%)。全体的な利用率が減少する中、スマホ/タブレットでの利用率が増加した。屋外は、ポータブルオーディオプレーヤーが最も多い33.5%で、2位はカーオーディオの21.1%だが、いずれも前年からは減少。スマホはiPhoneが12.3%(前年は9.4%)、Androidスマホが11.9%(同8.3%)、タブレットが3.2%(同2.2%)で増加した。

メディア別、性/年代別の推定マーケットシェア
出典:日本レコード協会
音楽を聴く機器
出典:日本レコード協会

無料聴取層が増加。音楽への支出は1,508円/月

楽曲の入手手段
出典:日本レコード協会

 楽曲の入手手段としては、「CD購入」(9.3%)や「視聴・入手しない」(33.2%)層の割合は前年と変わらなかった一方、「インターネット上の無料動画配信サービス」が29.7%で、前年の22.9%から増加している。

 未知だったアーティストのCDを購入するきっかけは、テレビCM(23.2%)やアーティストの公式サイト(21.4%)などの割合が高いが、楽曲ファイルを購入するきっかけとしては、最も多いのが無料動画配信サイト(23.7%)だった。音楽を購入しない層が新しい楽曲を認知するきっかけは、テレビの音楽番組が48.5%、テレビCM(楽曲販売ではなく一般商品)が36.4%。3番目は無料動画配信サイト(36.1%)で、前年3位だった楽曲販売のテレビCMを上回った。

 CDや配信楽曲を購入する有料聴取層は減少傾向が進んでおり、全体の44.5%。年代別では20~40代を中心に有料聴取層が減少。50代は無関心層が縮小している。有料購入の減少理由としては「現在保有している音楽で満足している」、「金銭的な余裕が減った」、「好きなアーティストが曲を出していない/出す曲が減った」が上位。「動画配信サイト・アプリで満足」という回答が14.6%で、前年(6.0%)に比べ増加した。

 無料聴取層が楽曲を購入しない理由は、「現在保有している音楽で満足」が39.0%で前年(27.0%)から増加。「(YouTube等を使って)購入しなくても好きな時に視聴できたため非購入」も34.2%となった。

 今後の音楽への平均支出意向額(CD/DVDや音楽配信、ライブ/コンサート、音楽関係グッズ購入など)は、一人当たり2,727円/月。現在の平均支出額である1,508円の1.8倍に相当し、年代別では、40代が約2.8倍、50代が約1.8%と高かった。

未知アーティスト購入のきっかけ
出典:日本レコード協会
新しい楽曲を認知するきっかけ(無料聴取層)
出典:日本レコード協会

(中林暁)