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LG、4K有機ELテレビを日本発売。55型は約63万円

WRGBで大型化。曲面&完全な“黒”。フルHDは40万円

 LGエレクトロニクス・ジャパンは、55型4Kで曲面型の有機ELテレビ「LG OLED TV 55EG9600」を5月より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は628,000円前後。

LG OLED TV 65EG9600

 2015年中に有機ELテレビのラインナップを拡充。4Kで65型の曲面型有機ELテレビ「65EG9500」を今秋に、フルHD解像度で55型の曲面型「55EC9310」を6月に発売する。店頭予想価格は4Kの65型が998,000円前後、フルHDの55型が398,000円前後。

55型4K有機ELテレビ「55EG9600」、65型も発売予定

 55EG9600は55型、65EG9600は65型の4K有機ELテレビで、解像度は3,840×2,160ドット。自発光の有機絵ELデバイスの利用による「無限大のコントラスト」、「色彩表現」、「映像応答速度」などが特徴となる。視野角は178度。パネルも湾曲した曲面型となっており、0.6mmと薄型となっている。

LG OLED TV 55EG9600
LG OLED TV 65EG9600
WRGBで4K解像度の有機ELを実現

 なお、EG9600シリーズの55型は5月に発売するが、65型は今秋発売予定。10月から予約販売を開始するとしている。

55EG9600は55型の4K有機ELテレビ。曲面型となっている

 1つ1つの素子が自ら発光するため、素子を完全にオフにして「完全な黒」を実現可能。これにより大幅なコントラスト向上を実現する。有機ELのRGBの画素に加え、白(W)のサブピクセルを加えた独自のWRGB方式を採用することで、有機ELで難しかった大画面化を実現しつつ、輝度の向上や低消費電力化も果たしている。応答速度は液晶の1,000倍以上という0.001ミリ秒以下。

完全な“黒”も有機ELの魅力
最薄部は0.6cmで湾曲している

 形状は、曲面型。「人間工学の観点から数多くの検証を重ね、映像の臨場感が最大化される曲面率を算出、視聴位置から目に届く映像情報が均等となり、深い没入感を実現する」としている。有機ELでは視聴角度による色調の変化がほとんど無いため、姿勢を崩したり、大人数で見る際も端の人まで鮮明に映像が楽しめるという。

 4Kへの高画質なアップコンバートが可能な映像エンジン「True 4K Engine」を搭載する。パッシブ方式のメガネを使った3D「CINEMA 3D」や、2D-3D変換機能などを搭載。専用メガネ「AG-F400DP」を使って、2人のプレーヤーが別々の画面でゲームを楽しめる「デュアルプレイ」にも対応する。2つの3Dメガネが付属する。

 次世代画質という点で、2015年に注目されるキーワードが、ハイダイナミックレンジ映像の「HDR」。今回の製品については、「自発光の有機ELにHDRは適している。LGでも技術を持っており、HDRについて自社のアルゴリズムを入れることを計画している」という。また、来年以降は映像エンジンなどのHDR対応も予定しているとした。

 また、EG9600シリーズのOSには「web OS 2.0」を採用し、直感的に使えるインターフェイスを採用。ネット系サービスとの連携も強化している。スマートホーム画面では、事前に楽しんだコンテンツを順に表示するなど、使いやすさにも配慮した。

 リモコンの[ホーム]ボタン一つで戻れるランチャー画面「スマートホーム」の右側には、インストールしたアプリを一覧表示できる「マイアプリ」、左側には楽しんだコンテンツ履歴を表示する「ヒストリー画面」を配置。様々なコンテンツをなめらかに切り替える感覚で楽しめる。

 よく見るチャンネルを、ランチャー上で登録する「お気に入りチャンネル」機能、テレビを見ながら「設定」を呼び出してモードやセッティングを変えられる「クイック設定」、テレビ画面はそのままに、外部機器のコンテンツを呼び出す「インプットアシスタント」、放送中の他の番組や録画番組をチェックできる「ライブメニュー」なども用意する。

 上下左右に動かして、目当てのコンテンツをポイント&クリックして選択・再生できる「マジックリモコン」も付属。画面を直接指さすような操作ができる。

webOS2.0採用
マジックリモコン

 20W×2chのスピーカーを搭載し、サラウンド機能「ウルトラサラウンド」も搭載している。チューナは地上/BS/110度CSデジタル×2系統で、別売のUSB HDDへの録画にも対応する。3D表示にも対応。HDMIは3系統で、4K/60p入力に対応する。

 無線LANを内蔵し、Wi-Fi Directに対応。YouTubeやTSUTAYA TVなどのVODサービスも利用できる。なお、Netflixには対応しない。

 55型のスタンドを含めた外形寸法と重量、122.6×21.3×76cm(幅×奥行き×高さ)で18.9kg、65型は144.7×23.7×88.4cm(同)で26.5kg。消費電力と年間消費電力量は、55型が390W(待機時0.3W)、266kWh/年。65型が500W(同0.3W)、298kWh/年。

フルHDの55型/有機EL「55EC9310」

55EC9310

 EC9310シリーズの55型「55EC9310」は、1,920×1.080ドットの湾曲フルHDパネルを採用。WRGBにより大画面化を実現しながら、広色域や高速応答性、高コントラストなどの有機ELならではの特徴は上位シリーズと共通となる。

 CINEMA 3Dや2D-3D変換、デュアルプレイなどの3D機能を装備。チューナは地上/BS/110度CSデジタル×2で、別売USB HDDへの番組録画に対応する。スピーカーはウーファ×2、ツィータ×2で、出力は10W+10W+10W+10Wの総合40W。

 HDMI×3やコンポーネント×1、コンポジットビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1などを装備。Ethernetや無線LANも内蔵する。なお、EC9600シリーズは最新のWebOS2.0を搭載しているが、EC9310シリーズは前バージョンのwebOSとなる。

55EC9310を3枚並べて展示

 消費電力や年間消費電力量は未定。外形寸法は122.5×20.3×75.4cm(幅×奥行き×高さ)、重量は15.8kg。マジックリモコンや標準リモコン、3Dメガネ×2などが付属する。

 そのほか、4Kの液晶テレビ「UF9500/UF8500/UF7710シリーズ」など、液晶テレビ6シリーズ14モデルも発表されている。詳細については別記事でレポートする。

「時代を変えるのは有機EL」

 LGエレクトロニクス専務で、ホーム・エンターテインメント事業本部 テレビ/モニター事業部 事業部長の李 仁奎氏は、「55型の有機ELテレビを日本で初めて紹介させていただけることになり、2015年はLGにとって意味のある年になる」とし、有機ELの魅力を「完璧なアングル(視野角)」、「完璧な黒」、「完璧な色」と紹介。日本市場は、「新製品に関心が高く、技術に興味があり、品質への意欲も高い難しい市場」としながらも、これまで手薄となっていた日本市場の大型/プレミアムテレビ市場でのシェア獲得を狙っていくという。

LGエレクトロニクス・ジャパン慶甲秀社長(左)と、LGエレクトロニクス李仁奎専務(右)
夢のテレビ「LG OLED TV」

 「ある会社が10年前に『液晶が時代を変える』と語って、液晶時代になった。これからは『有機ELが時代を変える』になる」と、大型テレビにおいて有機ELに注力する姿勢を強調した。

LGエレクトロニクス・ジャパン慶甲秀社長(左)と、LGエレクトロニクス李仁奎専務(右)

 日本参入から5年経過したが、現在のテレビ日本展開の評価について、LGエレクトロニクス・ジャパンの慶甲秀社長が言及。「ある時期に5%のシェアは確保し、また今も安定したシェアを取っている。ただし、サイズは中小型がメインとなっていた。今回の新製品の発売で、大型や4Kのプレミアムに集中していきたい。シェア目標は安定的に5%だが、製品の構成としては30インチ以上を増やしていきたい」と語った。

 また、有機ELの普及戦略について李専務は、「(パネルデバイスは)LGしか作っていないが、他社と協力する可能はある」と述べ、パネルの外販による有機ELテレビ市場の拡大にも含みをもたせた。さらに、日本のテレビメーカー各社が、海外市場展開を縮小していることについては、「確かにテレビ事業が難しくなっているのは事実。数は横ばいとなっている。ただ、液晶テレビの買い替え期間は7年ぐらいとすると、そろそろ買い替えが増えてくる。また大型のシフトも進めている」とした。

 日本での有機ELテレビ展開が遅れた理由については、「日本の皆さんの嗜好にチューニングできていなかったが、やっと100%の自信が持てる製品ができた。数年前の大型プラズマテレビの買い替え需要や、オリンピック開催前の商戦などのでタイミング的にはこれから日本市場は伸びると見ている。そこにあわせて4Kを含めて幅広いラインを揃えた」と説明した。

(臼田勤哉)