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カラオケ個室でワーナー最新映画を観る「シネカラ」。コート・ダジュール27店舗で

 ワーナー エンターテイメント ジャパンは、カラオケボックスで映画を観られる世界初の“プライベートシネマ”サービス「シネカラ」を本格稼働。1月20日よりカラオケ店「コート・ダジュール」の全国27店舗においてサービスを開始し、今後も拡大予定。室料3時間で映画1本に1ドリンクを加えたセット料金は大人1,500円から。

カラオケの個室で映画を観る「シネカラ」
ワーナー エンターテイメント ジャパンのミラード・エル・オゥクス社長(左)と、コート・ダジュールを運営するヴァリックの中林佑烝社長(右)

 「シネカラ」は、ワーナーの最新映画をカラオケルームで観られるサービス。映画館とは異なり完全個室で観られるため、家族や友人などと一緒に周りを気にせず食事などをしながら映画鑑賞ができる世界初のサービスとしている。'15年9月より藤沢六会店でスタートし、1月20日より対象店舗を拡大する。

 1月20日より利用できるのは、東京、神奈川、千葉、埼玉、静岡のコート・ダジュール27店舗。1月29日には金町駅北口店(東京)、2月19日よりつきみ野店(神奈川)、静岡両替町店(静岡)でも導入予定。詳細は店舗のサイトで案内している

 1月20日の発表時点での上映作品は、「マイ・インターン」と「マジック・マイクXXL」で、その後は「PAN ネバーランド、夢のはじまり」(1月30日~)、「コードネーム U.N.C.L.E.」(2月13日~)、「リトルプリンス 星の王子さまと私」(2月20日~)も上映する。受付で視聴作品を指定してから入室する。

 「シネカラパック」という専用のセットメニューで利用でき、映画を1本選び、個室で3時間鑑賞できる。1ドリンクのサービスも付く。店頭や、オンラインで予約可能。映画と合わせて楽しめる飲食メニューは200品以上(別料金)。

 料金は時間帯と部屋によって異なり、9時~18時の間は、基本料金は大人1,500円、大学生1,200円、小中高校生1,000円。「コンセプトルーム」の基本料金は、大人1,800円、大学生1,500円、小中高校生1,300円となる。18時~翌朝9時までは、大人は基本料金が2,000円、コンセプトルーム基本料金は2,300円となる。小中高校生や大学生は、前述した9時~18時の料金にプラス300円となる。1名での利用は324円(税込)の追加となる。

これまでの上映作品と、今後の予定
料金の例

 上映には、U-NEXTの配信プラットフォームを活用し、各部屋に備えたSTBとディスプレイで鑑賞する。配信するタイミングは劇場上映から3カ月後で、Blu-ray/DVDパッケージ販売やVOD配信よりも先行して行なう形となる。

劇場上映から3カ月後に提供開始
U-NEXTと協力
再生開始前の作品紹介画面

 部屋ではリモコンでSTBを操作して鑑賞する。再生中の一時停止や、早送り/巻戻し、観終わった後にもう一度観ることなども自由に行なえる。映画を一時停止して、作品に登場した歌をカラオケで歌うといったこともできるという。通常のカラオケルーム利用と同様に延長も可能。

 画質は作品によって異なるが、基本的にフルHD画質となる。画面サイズは部屋によって異なるが、ベーシックな部屋で40~50型前後、家族などで楽しめる広いスペースの「コンセプトルーム(ファミリールームやVIPルームなど)」の場合は60~65型前後。2面の100型ディスプレイと最新の音響で楽しめるという「デュアルモニタールーム」も用意する。スピーカーもカラオケ用のものを利用。防音仕様となっている部屋をそのまま活用し、隣室でカラオケを歌っていても、問題無く視聴できるという。字幕と吹替の選択も可能。作品によっては字幕のみのものもある。

リモコンで操作
様々な部屋で利用可能。写真はコンセプトルームの一例
家族やカップル、“おひとりさま”など様々な客層を想定

競合だった2つのレジャーが1つの場所で。'18年度に年間100万人利用へ

ワーナー エンターテイメント ジャパンのミラード・エル・オゥクス社長

 ワーナー エンターテイメント ジャパンのミラード・エル・オゥクス社長は、映画市場の動向について、近年では年間興行収入が約1,600億円規模で一定に推移しているものの、累計入場者数を日本の人口で割ると、映画館へ足を運ぶのは年に4回程度である点を指摘。「映画を見に行くということは、家族や友人で良いコメディを観て一緒に笑ったり、ドラマを一緒に笑ったり泣いたりできる交流、社交の場だと思っている。自宅で観たり、ポータブルデバイスで観るのとは大きく違う体験」と述べた。

 今回のシネカラは、「映画ファンのベースを拡大したい」というワーナーが、コート・ダジュールを運営するヴァリックに提案して始まったもの。カラオケ店を選んだ理由として、同じエンターテインメント産業であるという親和性と、「映画人口を増やすのに十分」という業界規模、ターゲット層のマッチ、映画館の無い場所にもあるというロケーション、誰もが知っている/利用したことがあるという知名度を挙げた。

 ターゲット層としては、映画館にもカラオケ店にもよく行く層という197万人、映画館には行くがカラオケ店には行かない層の643万人、映画館にはあまり行かないがカラオケ店にはよく行く層の395万人('14年の博報堂調査と総務省の統計から推計)を合わせた、延べ1,325万人を想定している。

映画興行の推移
ターゲット層
シネカラのメリット
ヴァリックの中林佑烝社長

 カラオケ店のコート・ダジュールは全国に175店舗あり、スーツなどのAOKIホールディングスでエンターテインメント事業を展開するヴァリックが運営。同社の中林佑烝社長はカラオケボックス市場について「'97年の6,000億円をピークに減少し、現在は4,000億円で横ばい傾向。各社が現状の打開に至っていない」と説明。「コンセプトルームや飲食などの強化を図ってきたが、カラオケという枠の中だけでは限界を感じているのも事実」と述べた。

 ワーナーからシネカラの提案を聞いた時には「これがカラオケの大きな打開策となると直感した。カラオケを歌わない人、嫌いな人も、周りを気にしない空間で、誰にも邪魔されない空間で楽しめる。これまで、カラオケと映画は競合してきたが、シネカラでは気の合う仲間と1つの場所で2つのレジャーが楽しめる。カラオケファンや映画ファンのみならず、新しいお客様を開拓すると強く確信している」とした。

 今後のスケジュールとしては、3月末までに利用できる場所を30店舗まで拡大予定で、'17年3月末には60店舗、3年後には150店舗以上へ展開予定。年間利用者数は、'18年度に100万人を目標としている。

店舗数や利用者数などの目標

(中林暁)