レビュー
スマートスピーカー最高の相棒。EchoとGoogle Home両対応リモコン「Nature Remo」
2018年1月26日 08:15
2017年後半から続々製品が登場し、話題となったスマートスピーカー。音声で操作できる多彩な機能を備えるスピーカーだが、スマートという名のとおり、便利なのが他の家電製品との連携だろう。スマートスピーカー“だけ”だと、できることに限界があるが、対応機器と組み合わせると、宅内の家電を自由にコントロールでき、世界が一気に広がる。
スマートスピーカーをより活用するための連携機器として筆者がお勧めするのが、「Nature Remo」だ。スマートスピーカーの代表的存在となりつつあるAmazon EchoとGoogle Homeの両方に対応し、設定次第で自分好みにカスタマイズできる。今回はスマートスピーカーとの連携を中心に、Nature Remoの設定や使用感をレビューしたい。
クラウドファンディング生まれ、手のひらサイズのリモコンデバイス
Nature Remoは、Nature Japanが開発した、無線LANと赤外線通信機能を備えた小型のリモコンデバイス。元々はNature Japanの大塚雅和CTOが個人で企画・開発した同様のデバイス「IRKit」の後継モデルという位置付けで、2016年5月にKickstarterでクラウドファンディングを実施、約1,000万円(約95,000ドル)もの支援を集めた。
その後日本国内でもmakuakeでクラウドファンディングを実施、こちらも約600万円の支援を集めてプロジェクトを成功させたのち、2016年10月から一般発売を開始。価格は13,000円で、1月25日現在、出荷は1月下旬から2月となっている。
本体サイズは74×74×20mmと成人男性の手のひらに収まる程度の小ささで、重量も約65gと非常に軽い。電源はmicro USB経由で給電し、2mのUSBケーブルが付属。本体上部には静電式のタッチセンサーを備えるほか、目には見えないが本体から複数の方向に赤外線が飛ぶような設計になっている。無線LANはIEEE 802.11b/g/n(2.4GHz)。
自宅のリモコンを登録してスマートフォンから家電をコントロール
初期設定はアプリの説明に沿って操作すればさほど難しい箇所はない。まずはメールアドレスを登録し、Nature Remoの電源を入れたらスマートフォンからNature Remoのアクセスポイントに接続。Nature Remoに設定したい無線LANのネットワークを指定してパスワードを入力し、本体上部のタッチセンサーをタッチすると設定がNature Remoに反映され、インターネットの接続が完了したらRemoに名前をつければ初期設定は完了だ。
続いてNature Remoでコントロールしたい家電を登録する。アプリの「+」ボタンを押すとNature Remoが登録状態となり、Remoに向けて登録したいリモコンのボタンを押すと、機器ごとに登録手順が表示される。
エアコンの場合はNature Remoが対応したエアコンであれば自動で認識され、動作確認後に名前をつけるだけで設定が完了する。エアコン以外の機器や、Nature Remoで認識できないエアコンなどは「新しい家電」として認識され、リモコンのボタンを1つ1つ登録する必要がある。例えばテレビの場合、チャンネルを切り替えたければチャンネルの分だけリモコンのボタン登録が必要だ。
なお、Nature Remoの設置場所は壁への貼り付けが推奨されているが、実際には壁よりもテーブルなどに置くことをお勧めしたい。というのも、Nature Remoは本体から四方八方に赤外線を発するため、部屋の中央に置いておけばエアコンやテレビなど周囲の機器ほとんどをコントロールできるのに対して、壁に貼り付けてしまうとどうしても赤外線の範囲が狭まってしまうからだ。
我が家の場合、我が家の場合は操作したい家電がエアコンとテレビのため、エアコンの真下でありテレビの正面であるテレビ台にNature Remoを置いて運用している。自宅に設置する場合は壁に貼り付ける前に、家のどの場所に置くと目的の家電をコントロールできるか確かめることをお勧めする。
スマートスピーカーとの連携で家電の音声操作が可能に
続いて今回の本題であるスマートスピーカーとの連携だ。Nature RemoはGoogle HomeシリーズとAmazon Echoシリーズのどちらにも対応。設定方法もGoogle HomeとAmazon Echoとの直接連携のほか、IFTTTというサービスを使ってインターネット経由でNature Remoを操作することもできる。
まずはGoogle Homeの直接連携の方法だ。Actions on Googleを利用してNature RemoとGoogle Homeを直接連携する場合、エアコン1台とテレビ1台をそれぞれコントロールできる。自宅内に複数のエアコンやテレビがある場合も、直接連携で操作できるのはそれぞれ1台のみだ。
設定はNature Remoのブログで丁寧に解説されているので詳細は割愛するが、まずはNature Remoアプリで操作したい家電の設定を済ませておく。テレビの場合は電源やチャンネルなども必要な分だけ割り当てておこう。
- Google Homeと直接連携して家電を操作する — Nature
- http://nature.global/new-blog/2017/12/15/actions-on-google
Nature Remoアプリの準備が済んだら、「OK Google ネイチャーリモにつないで」と発声し、その後Google HomeアプリからNature RemoのアカウントをGoogle Homeに連携する。あとは「OK Google ネイチャーリモにつないで」とNature Remoを呼び出してから「エアコン(テレビ)をつけて」と発声するか、連続で「ねぇ Google、ネイチャーリモを使ってエアコン(テレビ)をつけて」と発声すれば音声での操作が可能だ。
音声の操作はアイコンに準じており、例えば「OK Google、ネイチャーリモを使ってテレビのチャンネルを4にして」と発声すると、4のアイコンに割り当てたチャンネルに切り替わる。音量なら「音量を上げて/下げて」、電源なら「つけて/けして」でコントロールできる。
なお、Nature Remoのブログにもある通りこのままではフレーズが長すぎて発声するのも大変なため、Google Homeアプリからショートカットを登録すると便利。例えばテレビの電源をつける場合、「テレビをつけて」というショートカットに「ネイチャーリモを使ってテレビをつけて」と登録すれば、「OK Google テレビをつけて」でテレビの電源が入るようになる。
Amazon Echoとの直接連携もGoogle Homeと大きな違いはない。Alexaアプリのメニューから「スキル」を選び、「Nature Remo」を検索、手順に従ってNature RemoのアカウントとAmazon Echoを連携する。Amazon Echoの場合はテレビとリモコン、照明をそれぞれ1台コントロール可能だ。
- Amazon Echoとの直接連携で家電を操作 — Nature
- http://nature.global/new-blog/2017/12/8/amazon-alexa
Amazon EchoからNature Remoを操作する場合は「Alexa リモでテレビをつけて」というように「リモで」に続いて発声する。チャンネル変更の場合も「リモでチャンネルを4にして」といったように、アイコンに表示された機能を呼び出せばいい。Google Homeのようなショートカットは用意されていないが、「リモで」という3文字なのでそこまで不便ではないだろう。
IFTTTの組み合わせで自分の好きな設定を自由に作成
前述の通り、Nature Remoはスマートスピーカーとの直接連携に加えて、IFTTTを介して家電をコントロールすることもできる。直接連携とIFTTT連携の違いは自由度の高さだ。直接連携は家電をそれぞれ1台しかコントロールできないが、IFTTT経由なら複数台のコントロールも可能。また、直接連携で操作できる機能は電源やチャンネルなどに限定されているが、IFTTTならリモコンの好きなボタンを音声でコントロールできる。
IFTTTは「IF This Then That」の略で、2つのサービスや機器を連携する中継役を果たすサービス。例えば「スマートスピーカーに〇〇と話しかける」と「××のWebサービス(またはデバイス)が動作する」という連携を設定することができる。
今回は「テレビ局名で話しかけるとNature Remoがテレビのチャンネルを切り替える」という設定を、IFTTTを使ってGoogle HomeとAmazon Echoそれぞれで作成してみた。
まずはIFTTTにユーザー登録してログインした状態で、画面右上のプルダウンから「New Applet」(IFTTTで作成した設定は「アプレット」と呼ばれる)を選択。続いて「if this then that」の「this」と「that」にサービスを割り当てていく。
Google Homeの場合、「this」には「Google Assistant」の「Say a simple phrase」を選択、変更したいチャンネルの名前を入力する。「What do you want to say?」と、それに続く「What's another way to say it? (optional)」「And another way? (optional)」は、呼び方を複数設定するもの。略称を入れてもいいし、読み方が難しい漢字はひらがなやカタカナで入力しておけば誤認識を防ぐことができる。
どう発声してどのチャンネルに切り替えるかは自由に設定できるのだが、注意しておくべきはGoogle Homeの標準対応機能。Google Homeはラジオのストリーミング配信サービス「radiko」に標準で対応しており、「NHKをつけて」「TBSをつけて」と設定してしまうと標準機能が優先されて、NHKラジオやTBSラジオが再生されてしまう。いろいろ試行錯誤した上、我が家では「テレビで【チャンネル名】」と設定することで、誤認識もなく動作している。
Nature Remo側の設定はさほど難しくはなく、Nature Remoで登録したアカウントでログインしてIFTTTとの連携を許可すると、スマートフォン側で設定した操作をIFTTTに割り当てることが可能だ。機能はエアコンの電源オンオフの2種類のほか、エアコン以外の家電を操作できる「Control home appliances」が用意されており、今回はテレビ操作なので「Control home appliances」を選択、設定済みのチャンネルを割り当てれば設定は完了だ。
Nature Remoとの直接連携では、再生される音声が「はい、Nature Remoです」「テレビを○チャンネルにしました」と長いのに対し、IFTTTは音声を自由にカスタマイズできるので、設定次第で非常にシンプルにできるのも違いだ。
Amazon Echoの場合、IFTTTの「this」に「Amazon Alexa」から「Say a specific phrase」を選択し、変更したいチャンネル名を入力する。Google Homeと違って複数の候補を設定できないため、一番良く使う呼び方を設定するか、同じ機能で呼び方が違うアプレットを複数作ることも可能だ。「that」の設定はGoogle Homeと同様「Nature Remo」を検索し、「Control home appliances」から設定したいチャンネル名を選択する。
設定したアプレットをAmazon Echoで呼び出すときは「Alexa ○○をトリガーして」と発声する。チャンネルをフジテレビに切り替える設定を「フジテレビ」という名前で作成していれば、「Alexa フジテレビをトリガーして」と発声すればいい。Google Homeに比べて自由度は低く、再生される音声も「IFTTTに切り替えます」で、どのチャンネルに切り替えたかわからないのが難点ではあるが、そのぶん発声するフレーズをシンプルにできるのがメリットと言える。
直接連携は設定が簡単だが登録できる台数や機能に制限がある。IFTTTは設定の自由度が高い一方、チャンネル変更であればチャンネルの数だけアプレットを作成しなければならない。また、IFTTTで設定したキーワードがうまく認識されない場合は呼び方を変えるなど工夫も必要だ。どちらも一長一短だが、個人的には手間がかかるものの好きな機能を自由に作成できるIFTTT連携をお勧めしたい。
Google HomeとAmazon Echo、IFTTTと幅広い対応が魅力
発売当初はIFTTTを使ったGoogle連携のみだったNature Remoだが、その後IFTTT経由でのAlexa連携に加え、Google HomeとAmazon Echoの直接連携にも対応。ブログの更新も頻繁に行なわれており、今後のアップデートも期待できそうだ。我が家においてNature Remoは、スマートスピーカーをより便利に使うためには欠かせない存在になっている。
また、価格や対応機種などは異なるが、同様の製品はAmazon Echoに対応しているグラモの「iRemocon」、リンクジャパンの「eRemote RJ-3」「eRemote mini」、ラトックシステムの「スマート家電コントローラ RS-WFIREX2」といった製品も販売されている。これら製品と比較すると、Nature RemoはAmazon EchoとGoogle Homeの両方に直接対応していること、またIFTTTでのカスタマイズが可能な点が大きな違いだろう。
設定や音声操作も使いやすく、何よりGoogle HomeとAmazon Echoを導入した我が家ではNature Remo一択だった。課題は1月26日時点では、すぐに入手できないことだろうか。
スマートスピーカー単体も十分に便利だが、赤外線でコントロールできる機器が多い日本家庭では、Nature Remoで実現する音声での家電操作は役に立つ場面も多いだろう。1万円を超える価格はスマートスピーカーより高く付いてしまうかもしれないが、その真価を引き出す存在としてお勧めしたい。
Nature Remo |
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