ミニレビュー
“原理から再設計した”ゼンハイザーのモニターイヤフォン「IE 400/500 PRO」を聴く
2019年7月4日 08:30
ゼンハイザージャパンから7月11日に発売される、新イヤフォン「IE 400 PRO」と「IE 500 PRO」。プロ向けのモニターイヤフォンと位置づけられ、動作原理から再設計したというダイナミック型ドライバーを搭載した注目モデルだ。発売を前に短時間だが試聴したので音質をレポートする。
既報の通り、価格はどちらもオープンプライス。店頭予想価格はIE 400 PROが46,000円前後、IE 500 PROが78,000円前後。どちらのモデルもカラーはCLEARとSMOKY BLACKの2色を用意している。
原理から再設計したという新しいダイナミック型ドライバー搭載
「瞬時に繊細な違いを判断することが求められるプロフェッショナル向け」として開発。モニタリングイヤフォンに求められる高い性能を実現するため、原理から再設計したという新しいダイナミック型ドライバーを採用している。
サイズはどちらのモデルも7mm径。クリアモデルで透けて見えるユニットを比べてみると、色が違っており、サイズは同じだが、IE 400 PROとIE 500 PROでユニット自体は異なるようだ。
ちなみにCLEARモデルの筐体透明度を比べてみると、IE 40 PROよりもIE 400 PROの方がアップしていた。中のユニットも、よりハッキリ見える。
インピーダンスは16Ω。再生周波数帯域と感度はIE 400 PROが6Hz~19kHzで123dB、IE 500 PROが6Hz~20kHzで126dBとなっている。
新しい「TrueResponse」テクノロジーも投入。周波数帯域全体をカバーし、クロスオーバー調整や位相差を発生させないというのもので、歪みもないため音響のストレス要因を低減するという。この効果は後ほど聴いてみよう。
ケーブルは専用コネクター
ケーブルは着脱式で、専用コネクターを採用している。従来モデル、IE 40 PROで採用していた端子とも異なるもので、MMCX端子などとも違う。そのため、IE 40 PROのケーブルとは互換性が無いので注意が必要だ。
また、付属ケーブルはIE 400 PROとIE 500 PROで異なり、IE 500 PROのケーブルはツイストペアケーブルとなっている。この方式により、ノイズの発生を抑制している。
イヤーピースはどちらも、シリコン製を3サイズ、フォームタイプを3サイズ同梱する。
音を聴いてみる
まず、従来モデルのIE 40 PROを聴いてみる。非常にモニターイヤフォンらしい音質で、音色に色付けが無く、高解像度。全体のバランスも良好だが、低域がズンドコ出るタイプではなく、やや腰高寄りなバランスだ。逆にそれがモニターっぽさに繋がっており、中高域を中心に音の輪郭や、ピアノの手の動き、ボーカルの口の開閉などが良くわかる。
それでいて、描写は淡白過ぎないので、リスニング用途にに使えない事もない。高解像度のイヤフォンとして完成度の高さは健在だ。
次に、新モデルのIE 400 PROに切り替えると、音がさらにクリアになり、コントラストもアップ。陰影が豊かになり、音楽の感情表現がレベルアップする。
同時に低域の量感も増え、中低域の押し出しも強くなり、迫力が増す。「ダフト・パンク/Get Lucky」もキレが良く、さらに躍動的になる。
では音は派手に、大味になったかというと、その逆だ。分解能はIE 40 PRO譲りに高く、それどころか描写としてはさらに細かい。低域の中の動きもよく見えるようになった。
IE 500 PROに切り替えると、中低域のパワフルさがさらにアップ。“モニターイヤフォン”というイメージからはちょっと外れる、ワイルドなサウンドだ。
低域寄りの低重心バランス。押し出しも強くなるが、音場の空間が広いままなのは流石だ。全体的にゴージャスなサウンドで、キレの良さ、ソリッドさという面ではIE 400 PROの方が鋭さを感じる。どちらかというと、IE 500 PROの方が、よりリッチな気分でリスニングに使えるイヤフォンと言えるだろう。
どちらも魅力的だが、個人的には、音楽を楽しく聴かせる迫力と、モニターイヤフォンとしての描写力のバランスが絶妙なIE 400 PROの方が好みと感じた。
なお、IE 400 PRO/500 PROのどちらも、7月6日に東京・中野サンプラザで開催される、フジヤエービック主催「ポタ研」に出展予定。その翌週、7月13日、14日にベルサール秋葉原で開催される「ポタフェス(ポータブルオーディオフェスティバル) 2019 東京・秋葉原」にも出展予定だ。気になる読者はぜひ試聴してみて欲しい。