ミニレビュー
ソニー「Xperia 10 VII」はオーディオ面が進化。とくにイヤフォンジャックが高音質に
2025年9月23日 11:00
9月12日に発表された「Xperia 10 VII」。リアカメラのレイアウトが変更されたり、アスペクト比がXperia 1シリーズと同じ19.5:9に変わったり、側面に「即撮りボタン」が搭載されたりなど、外観でも大きくアップデートした。
使用面でも、Bluetooth送信電力2倍でとくに完全ワイヤレスイヤフォンが途切れにくくなるなど、嬉しい改良が行なわれたが、実はスピーカーや、Xperiaシリーズの特徴であるイヤフォンジャック部も進化を遂げている。
トップスピーカーにもエンクロージャーを搭載
Xperia 10シリーズでは、2世代前の「Xperia 10 V」から、本体前面に均等に配置される「フロントステレオスピーカー」を採用している。
iPhoneを始めとした他機種のスマートフォンの多くは、ボトムスピーカーが本体の下に向かって配置されているが、Xperiaシリーズはディスプレイ側に向かってスピーカーを配置することで、横持ちした際に左右からバランスよく拡がるステレオサウンドが楽しめるようになっている。
配置自体はXperia 10 VIIも変わっていないのだが、進化ポイントは、トップスピーカー部にもエンクロージャーを採用したこと。
このエンクロージャーも上位機種のXperia 1シリーズやXperia 5シリーズでも採用されている構造で、スピーカーユニットをエンクロージャー(箱)に入れることで、音を再生した際にスマホのボディが振動するのを防ぐことを目的としている。ボディの不要な振動が抑えられることで、とくに低域がクリアに聴こえるようになるのだが、その影響で音の拡がりがワイドかつ立体的に聴こえるようになる。
実際に前機種のXperia 10 VIと聴き比べてみると、一番違いを感じるのが低域の印象。Xperia 10 VIは本体を中心に周囲に分散しているような聴こえ方なのだが、Xperia 10 VIIでは、低域部分もしっかり前方に向かってきているように聴こえる。
Xperia 1シリーズやXperia 5シリーズでは、同じ構造が採用された際に、手持ちで再生してみると背面の振動が明確に抑えられていたのだが、Xperia 10 VIIでは抑えられてはいるものの、振動は感じられる。
これは、Xperia 10 VIIが上位機種とは異なり、ケースが樹脂製であることや、今回の構造の考え方は同じものの、エンクロージャーに使われている素材なども別の物が採用されていることが理由だそうだ。
イヤフォンジャックの音はワンランク上がったかのような進化
もはやXperiaシリーズ最大の特徴となっているイヤフォンジャックも進化している。
Xperia 1シリーズでは、パーツに使われている素材の部分からオーディオ向けの高音質部材を採用しているが、ミドルモデルのXperia 10シリーズでは流石にそこまでコストをかけられない。そこで、Xperia 10 VIIのヘッドフォンジャックでは、従来と使われている素材は変わっていないが、パーツの配置など、周辺構成が見直された。
それにより、LRクロストークが従来の約30%も低減。とくに音のクリアさと立体感、加えて低域の音圧が向上したという。
こちらも前機種のXperia 10 VIと聴き比べてみたのだが、こちらはスピーカーよりもさらに分かりやすく進化を感じることができた。
低域の沈み込みが深くなっただけでなく、押し出し感も力強くなっており、土台の安定感がグッと増したことで、ボーカルもより明瞭に感じられる。
低域の音圧が向上したという説明ではあったが、全体的に音圧が向上しているような印象で、同じ音量に設定しても、Xperia 10 VIIの方が大きな音量で聴いているときのような没入感が味わえる。大音量にしなくとも、音に包み込まれるような立体感をしっかり感じられるので、今までのXperia 10よりもワンランク上がっているように思える。
スピーカーやイヤフォンジャックの進化に加えて、Bluetoothの伝送電力が2倍となったことで、人が多いターミナル駅などでも完全ワイヤレスイヤフォンの音が途切れにくくなっている。
一足先に送信電力が2倍になったXperia 1 VIIでその効果を試してみているが、音質と引き換えに途切れやすいLDACコーデックで接続した場合でも、音の途切れがほぼない状態で品川駅港南口を通過できていた。Xperia 10 VIIもほぼ同等の性能であると考えると、注目のポイントだろう。
ディスプレイは比率が変わったことで、16:9のコンテンツを横持ちで観たときや、ショート動画などのコンテンツを観たときに、従来よりも表示面積が広く見えるようになった。従来通りのブラビア由来の色合いの調整はそのまま、リフレッシュレートが最大120Hz駆動となり、スクロール時の表示も滑らかになっている。コンテンツを楽しむのに十分な性能を持ったスマホに仕上がっている印象だ。