レビュー

デノンの次世代サウンドが10万円以下で。オーディオ入門“不動の定番”が超進化「600NE」を聴く

オーディオ趣味の最初の製品

昔からのオーディオファンにはお馴染みの話だが、“本格的なオーディオを始めたい”という人への“定番アンプ&プレーヤー”が存在する。デノンのアンプ「PMA-390」と、CDプレーヤー「DCD-755」シリーズだ。他社にもエントリークラスの製品は存在するが、この2モデルがあまりに定番なので、ある意味“オーディオ趣味全体の入り口”みたいな存在になっている。

今回紹介する、左からプリメインアンプ「PMA-600NE」、CDプレーヤー「DCD-600NE」

“不動の定番モデル”なので歴史も古い。初代のプリメインアンプ「PMA-390」が1991年発売、CDプレーヤー「DCD-755」は2000年。それ以降、ブラッシュアップを重ね、2012年に第7世代「PMA-390RE」、第5世代「DCD-755RE」が発売されている。“同じ型番でブラッシュアップを重ねたオーディオ機器”としては、なんと日本最長のシリーズだそうだ。

デノンのオーディオエントリー機、その歴史

そんな“不動のオーディオ入門機”が生まれ変わった。伝統の型番を捨て、プリメインアンプ「PMA-600NE」、CDプレーヤー「DCD-600NE」という「600NE」シリーズとして9月下旬に発売される。オーディオ業界における1つの事件と言えるが、実は、注目ポイントはもう1つある。

最近のデノン製品に詳しい人ならピンと来ると思うが、ミソは“600NE”という型番だ。デノンは、新たなサウンドマネージャーに山内慎一氏が就任して以降、大胆に音を進化させており、それを象徴する新時代(New Era)のHi-Fiコンポに「NE」と名付け、これまで「2500NE」、「1600NE」、「800NE」というNEシリーズを展開。高い評価を得ている。

今回の「600NE」も、そのNEシリーズの名がついている。つまり「新しいエントリークラスのアンプ&CDプレーヤーが発売」という話であると同時に、「あのNEシリーズのサウンドが、さらに低価格で聴けるヤバい製品が出る」という話なのだ。

プリメインアンプ「PMA-600NE」
CDプレーヤー「DCD-600NE」

気になる価格は、アンプの「PMA-600NE」が52,000円、CDの「DCD-600NE」が47,000円。安いけど音がメチャ良いと話題の800NEシリーズのアンプ「PMA-800NE」(7万円)、CD「DCD-800NE」(6万円)よりもさらに安く、2台買っても10万円以下だ。

安いのはユーザーにとっては嬉しい事だが、ぶっちゃけ「この値段でホントにNEシリーズのサウンドが出るの?」という不安もある。実際のところどうなのか、お馴染みの山内氏に話を聞きつつ、そのサウンドを体験した。結論から言うと、これが非常に驚くべき音だった。

800NEと共通部分が多い600NEシリーズ

音の前に、両モデルの特徴を簡単に紹介しよう。というのも、どちらも「安いからシンプルなアンプ&CDプレーヤーでしょ?」と思いきや、まったくそんな事はない。例えばアンプのPMA-600NEは、52,000円のアンプなのにハイレゾ対応DACや、Bluetooth受信機能まで搭載している。

つまり、このアンプとスピーカーさえあれば、スマホからワイヤレスで音楽を飛ばして聴くという、ちょっとしたオーディオシステムが完成してしまう。昔のシンプルな入門アンプ時代と比べると、機能面でもだいぶ進化しているのだ。

プリメインアンプ「PMA-600NE」

アンプの定格出力は45W×2ch(8Ω)、70W×2ch(4Ω)と、エントリーだがパワーは十分。対応するスピーカーのインピーダンスは4~16Ωだ。

増幅部に、一般的なトランジスターの3倍の電流供給能力を持つ「HCトランジスター」を使った「Advanced HCシングルプッシュプル回路」を搭載している。一般的なアンプでは、多数の素子を並列駆動して大電流を得る製品も多いが、その方式では搭載した素子の性能にバラツキがあると、それが音の濁りの原因になる。

そこで、1ペアという最小単位の素子による増幅をあえて選択。その素子自体に、高い電流供給能力を持たせた「HCトランジスター」を採用しているというわけだ。

「HCトランジスター」

また、増幅回路にはプリアンプでの増幅を行なわず、1段構成のハイゲインパワーアンプのみで増幅する「ハイゲインアンプ構成」を採用している。これは、信号が通過する回路と素子の数を減らす事で、信号経路をギリギリまで短く、純度の高いサウンドを実現するための工夫だ。上位機のPMA-2500NE、PMA-1600NE、PMA-800NEにも採用している“NEシリーズのこだわり”と言える。

HCシングルプッシュプル回路の能力を最大限に引き出すため、電源回路には大型のEIコアトランスと、PMA-800NEにも使用されているデノンカスタム仕様の8,200μFのブロック電解コンデンサー、大容量ショットキーバリアダイオードを採用している。

また、“NEシリーズと言えば”な要素として、上位モデルでも使用されてい高音質パーツも採用。山内氏がリスニングテストを繰り返して開発したカスタムパーツも多数投入されているのも見逃せない。

デノンカスタム仕様の大容量(8,200μF)のブロック電解コンデンサー
山内氏がリスニングテストを繰り返して開発したカスタムパーツも多数投入

前述のBluetooth受信機能、コーデックはSBCに加え、AACも対応。最大8台の機器とペアリングできる。

DACはPCM 192kHz/24bitまで対応。入力端子は光デジタル×2、同軸デジタル×1を搭載。この価格帯でCDトランスポートを接続する人は少ないだろうが、例えば、ポータブルオーディオプレーヤーの光デジタル出力と接続して、ポータブルで持ち歩いている曲を、家のスピーカーで楽しむといった使い方もアリだ。

アンプにDACが入っていると機能的には便利だが、アナログアンプにデジタル回路が入ると、音質的に問題になる事がある。そこで、デジタル入力基板はシールドケースに封入。デジタルオーディオ回路からの輻射ノイズによる悪影響を抑えている。また、ノイズがグラウンドを介してアナログオーディオ信号に影響を与えないよう、入念にグラウンドも設計。こうした細かな部分へのこだわりが、エントリーながら、本格的なオーディオ機器らしいところだ。

デジタル入力基板はシールドケースに封入

なお、MM型カートリッジに対応するフォノイコライザーまで搭載しているので、レコードプレーヤーとも気軽に接続可能だ。PhonoやCDなどのアナログ信号の入力時には、デジタル入力回路への給電を断つことによりデジタル入力回路を完全に停止させた「アナログモード」も用意している。このあたりもピュアっぽい。

CDプレーヤー「DCD-600NE」

CDプレーヤー「DCD-600NE」の特徴は、量子化により発生する歪を低減する、独自のアナログ波形再現技術「AL32 Processing」を搭載している事だ。デノンのプレーヤーの醍醐味と言ってもいいだろう。入力されたデジタルデータを手掛かりに、オリジナルのアナログ波形に近づくようにデジタルデータの補間を行ない、CDに記録された16bitの信号を32bitへ、ビット拡張して処理している。

そして32bit化されたデジタル信号は、192kHz/32bit対応のDACへと送られ、アナログに変換している。

CDプレーヤーで音質劣化の要因となるのは、ディスクの回転や電源トランスにより内部で発生する振動だ。さらに言えば、横で再生しているスピーカーの音圧による空気振動も、再生機器に伝わることで信号劣化の原因となる。

これらを防ぐために、振動抑止構造「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」を採用。自らが振動体でもある電源トランスをフットの間近に配置することで、振動を直接グラウンドへと逃がし、周辺回路への不要な振動の伝搬を防止。また、最も重いパーツであるドライブメカをシャーシ中央の、低い位置に堅牢なスチールブラケットを介してシッカリ固定。ディスクの回転による内部的な振動や外部から受ける振動にも強い構造としている。

振動抑止構造「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」

回路全体の「シンプル&ストレート化」も徹底したそうだ。基板上の信号の引き回しを最短化する事で、回路間の干渉や外来ノイズによる影響を抑えている。オーディオ基板、電源基板のレイアウトも全面的に変更しており、アナログオーディオ回路から出力端子までの距離を最短化している。

アナログオーディオ回路用の電源部には、オリジナルの大容量3,300μFのブロックコンデンサーを搭載。D/A変換回路以降のアナログオーディオ回路には、アンプと同様に高音質なカスタムパーツを多数投入している。

内部だけでなく、スチール製のトップカバーも進化。厚みを従来より14%アップさせ、剛性を飛躍的に向上させた。これも音に大きく効くところだという。

エントリー機の開発でこそ、蓄積したノウハウが活きる

PMA-600NEとDCD-600NEは、従来の入門機PMA-390RE、DCD-755REの後継機になるが、サウンドマネージャーの山内氏によれば、“PMA-390RE、DCD-755REに手を加えて開発した”のではなく、「800NEシリーズがベースになっている」という。

サウンドマネージャーの山内慎一氏

開発開始も、800NEの開発が終了した頃にスタートした。「800NEの開発過程で、価格を抑えながら音を良くするノウハウを蓄積してきました。それを活かして開発したのが600NEシリーズです。シャーシ構造も800NEと近く、800NEで使ったパーツや、高音質なカスタムパーツも多数投入しています」

デノン「800NE」シリーズ

核となる「Advanced HCシングルプッシュプル回路」や、その能力を引き出すために重要となる電源回路に使っているカスタム仕様の8,200μFのブロック電解コンデンサー、大容量ショットキーバリアダイオードなども、PMA-800NEと同じものを使用。“限りなくPMA-800NEに近い”のがPMA-600NEと特徴と言える。

逆に大きく違うところは、スピーカー出力だ。PMA-800NEは、AとB、2系統のスピーカー出力を備えているが、PMA-600NEは1系統となっている。コストダウンしたポイントと言えるが、スピーカーを2組使わない人にとっては、別に1系統で構わないだろう。山内氏によれば「A/B切り替えが無い分だけシンプルになっており、音質面では有利です」という。

PMA-600NEの背面。スピーカー出力は1系統に

山内氏が手掛ける製品の特徴と言えば、オリジナルで開発したコンデンサーなど、様々な高音質パーツだ。PMA-600NEの場合、その“使い方に”もミソがある。「エントリーですので、当然かけられるコストは決まっています。ですので、例えば1つの箇所の音質を向上させる際に、“抵抗にコストをかけるか、コンデンサーにかけるか”も考えました。高音質パーツ1つにしても、抵抗の方がコンデンサーと比べると単価は低い。抵抗にコストを使った方が、最終的な音質が良くなるのであれば、ここには高音質な抵抗を使おう、といった選択ですね」。

上級機であれば、音のいいパーツをそこかしこに投入できるが、エントリーではそうはいかない。要するに、一番音に“効く”、“ここぞ”という部分にコストを投入する。当然ながら、“どこに何を投入すれば一番効くのか”は、蓄積したノウハウが無ければわからない。上級機から続いてきたNEシリーズの開発で培ったノウハウ、そして直近の兄貴分であるPMA-800NEで培ったコストダウンのノウハウ、それらの集大成がPMA-600NEと言えるだろう。

DCD-600NEは、アンプよりもさらに上位機DCD-800NEとの共通部分が多い。大きく違うのは、DACチップが800NEはTIバーブラウンの「PCM1795」を使っているが、600NEは「PCM5142」を搭載しているという点くらいだという。

オリジナルの大容量ブロックコンデンサーを採用しているほか、音にとって重要な、D/A変換回路以降のアナログオーディオ回路には、山内氏のカスタムパーツも多数投入。具体的には、DACまわりのコンデンサーをセラミックコンデンサーから振動に強いフィルムコンデンサーに変更、入力の抵抗に高音質なAMRSを使うなど。これら高音質パーツの種類や個数は、従来のDCD-755REと比べて大幅に増加。「躍動的なサウンドと見通しの良い空間表現力に貢献しています」という。

DCD-600NEは「PCM5142」を搭載している
オーディオグレードのパーツをどれくらい使っているかの比較表
“セット全体を1つのブロック”と考えることで、信号のノイズや劣化を低減。具体的には、アナログ/デジタルを4層の1枚基板とし、コネクターやケーブルでのクロックなどの信号劣化を低減。不要輻射に対する改善で、対策部品による音質劣化軽減にも繋がっている

600NEのサウンドを聴いてみる

600NEシリーズの前に、その前モデルとなるPMA-390REと、DCD-755REのサウンドをおさらいしておこう。バランス的には低域がやや盛り上がり気味で、パワフルだ。ただ、ちょっと音と音がくっついた「モコッ」とした低域で、もう少し分解能が欲しいと感じる。しかし、全体として重心が低いため、ドッシリと安心感のある音で、決して“エントリーモデルで安っぽい音”という感じではない。

PMA-390RE
DCD-755RE

これが600NEシリーズになると、音が激変する。低音がどう違うとかいうレベルではなく、ボーカルやギターなど、音の1つ1つがググっと前に出てくる。さらに、それらの音像が躍動的に音楽を奏でている様子が鮮明にわかる。なんというか「CDを再生しています」という音から「ミュージシャンの実物が部屋の中に出現した」という音に変わる。

音の“出方”が鮮烈でパワフルになり、胸や腹に音圧がグッと迫ってくる。山内氏はNEシリーズに共通する特徴として「スピーカーに音がまとわりつかないのがNEシリーズ」と語るが、まさにその言葉通り。音がなにかに抑えられたり、閉じ込められたりせず、自由に、気持ちよさそうに飛び出して、立体的な空間を踊りながらこちらに近づいてくる。椅子に座って難しい顔で鑑賞するのではなく、ミュージシャンの輪の中に入り込んでしまったような感覚だ。

細かく聴くと、PMA-390RE+DCD-755REの組み合わせよりも、上下のレンジが広く、さら音場の奥行きも深い。空間のスケールが格段に広くなり、その空間に自由に音像が飛び出してくる。音と音の分離が良いだけでなく、音がズバッと出て、スッと消える、トランジェントの良さが大幅に進化した事も、こうしたサウンドクオリティの向上に大きく寄与している。

この開放感、音が前に出る“出方”、そして1つ1つの音の鮮烈さは、間違いなくNEシリーズの音だ。正直、2台で10万円以下のエントリーコンポで、NEシリーズの良さが出るか疑問だったが“お見事”と言うほかない。「こんな値段のコンポで、こんな音が出ちゃって大丈夫?」と変な心配をしてしまう。音のパワフルな“出方”やトランジェントの良さはアンプ「PMA-600NE」の良さ、前に出た音像の情報量の豊かさはCDプレーヤー「DCD-600NE」の良さだろう。

こうした音の特徴は、800NEを聴いた時の感覚に近い。「じゃあ800NE買わずに、600NEでいいじゃん」と思われそうだ。ただ、確かに方向性としては同じなのだが、音場の左右方向のワイド感や、踊りだして来る音像の分解能などは800NEの方が一枚上手。NEシリーズを聴くと感じる、ショックにも似た“鮮烈さ”は800NEの方が強いのは間違いない。

手前にあるのがPMA-800NE

ただ、600NEには別の方向の良さがある。それは低域だ。先程PMA-390RE+DCD-755REの試聴で「バランス的には低域がやや盛り上がり気味」と書いたが、これは600NEシリーズでも同じ。800NE以上のシリーズは非常にニュートラルなバランスのサウンドだが、600NEはエントリーという位置づけでもあり、少し低域が強めだ。

こう書くと「ああ、安いからドンシャリなのか」と思われるかもしれない。確かに600NEが“普通のエントリーコンポ”であれば、ドンシャリサウンドかもしれない。ただ、NEシリーズの音圧、スピード感を併せ持ったコンポであるため、この低音が超気持ち良い。低音にも勢いとキレがあり、まるでボクサーのボディーブローをドスドスと食らっているかのような本格さが凄い。そのため聴いていると、ドンシャリがどうこう以前に「いやぁコレはコレで最高じゃん」という気になる。

オーディオマニア的に聴き比べると「800NEの方が情報量も多くて上位機種って感じだね」という結論になるのだが、ぶっちゃけ多くの人に聴き比べてもらったら「600NEの方が気持ちよくて好きだ」と答える人もわりといるのではないかと思う。例えば、2ウェイのブックシェルフなど、コンパクトなスピーカーと組み合わせる時は、低域がやや強めくらいの600NEのバランスがハマるケースも多いだろう。

PMA-600NE

スピーカーで聴いて、“オーディオは楽しい”と感じてもらいたい

各メーカーのエントリーモデルは、未来のオーディオファンが、そのオーディオブランドに初めて触れる製品である事が多いため、“ブランドの顔”として気合を入れて作られるモデルが多く、それゆえ“お買い得”な製品も多い。その中でも、デノンの600NEシリーズは、800NEシリーズのエッセンスも感じさせながら、低価格でも満足度の高いサウンドに仕上がっており、価格から考えるとかなりの“大盤振る舞い”と感じる。

NEシリーズのサウンドを、ここまでリーズナブルな価格で提供するのは、ある種の挑戦とも言える。それでも開発した理由は「とにかく音楽を“スピーカーで聴いていただきたい”という想いから」と、国内営業本部 営業企画室でデノンブランドを担当する田中清崇氏は語る。

昨今のオーディオ業界では、ポータブルオーディオの人気に対して、据え置きのオーディオ機器にあまり元気がない。「我々オーディオファンには誰しも、“イヤフォンやヘッドフォンで聴いていて、何とも思わなかった曲が、スピーカーで聴くと良さがわかる”という経験があると思います。そういう経験が“オーディオは楽しい”という気持ちに繋がると信じています。音楽は好きだけど、あまり高価なコンポは買えないという学生さんや、もう一度オーディオを楽しみたいというお父さんにも使っていただきたいと600NEシリーズを作りました。Bluetoothレシーバーも搭載して、スマホの中の音楽を手軽に聴けるという機能もあり、子供達と一緒に楽しむ事もできます。そうやって、良い音をスピーカーで聴きながら成長して欲しい。そんな想いも込めています」(田中氏)。

国内営業本部 営業企画室でデノンブランドを担当する田中清崇氏

オーディオに限らず、趣味の世界では“気軽に入れるかどうか”が大切だ。マニアだけが楽しみ、先鋭化していく趣味世界は、純度が高まる反面、新しいファンが入らないと新たな楽しみ方が生まれなかったり、市場規模が縮小して新しい製品が登場しなくなったりと、いずれ趣味世界自体が廃れてしまう。

そういった面でも、“安いけどめっちゃ音が良いエントリーコンポ”はオーディオ業界全体にとって大切だ。伝統の型番が変わっても、求められている大役を、600NEシリーズは新たな次元で果たす能力を持っている。もちろん、「オーディオ趣味を始めよう!!」なんて身構えて買う必要はなく、シンプルに「あまりお金をかけずに、良い音のコンポが欲しい」という人には間違いなくオススメだ。

同時に、既にオーディオにある程度詳しい人が、「NEシリーズのサウンドが気になるので、ちょっと聴いてみたい」と選ぶ一台としても良い。NEシリーズとしてサウンドの方向性は揃っているため、「究極のデノンサウンド」が味わえる次世代フラッグシップ「SX1 LIMITED」という頂点まで、NEシリーズとしてステップアップはしやすいはずだ。

また、600NEシリーズで揃えなくても、例えば「アンプは800NEで、CDプレーヤーは600NEにしよう」なんて組み合わせもアリだ。グレードが違っても、NEシリーズであれば相性バッチリなのは山内氏の“お墨付き”でもある。どんな組み合わせにしようか? それで音はどう変わるのか? そんな事が気になり始めたらもう“オーディオの魅力”の虜と言っていいだろう。

左からプリメインアンプ「PMA-600NE」、CDプレーヤー「DCD-600NE」

(協力:デノン)

山崎健太郎