レビュー

アマプラやSwitchも大画面! popIn Aladdin機能が入って6万円を切るプロジェクタが面白い

天井に取り付けるシーリングライトにプロジェクターを内蔵したユニークな製品「popIn Aladdin」。そのプロジェクター機能を、コンパクトな本体に収めた「Z6 Polar Meets popIn Aladdin」が登場した。

Z6 Polar Meets popIn Aladdinの設置例(三脚は付属しない)

従来モデルのpopIn Aladdin(直販79,800円/税込)は、設置場所が不要というハードウェア面での利便性に加えて、オリジナルのOSを搭載しており、多彩なコンテンツが利用できるのが特徴。映像系のサービスに加えて、 独自の教育系アプリなどを数多く用意している。

今回新たに登場したのが、薄さ48mmのスリムボディを採用した「Z6 Polar Meets popIn Aladdin」。これはXGimi製のプロジェクター「Z6 Polar」にpopIn AladdinのOSを搭載したもので、直販価格は59,800円(税込)。

“照明との一体型”というpopIn Aladdin最大の特徴を持たない新モデルだが、単に機能を省いただけではない、いくつもの魅力がある。これをpopIn Aladdinユーザーでもある筆者が利用してみたので紹介したい。

以前レビューしたオリジナルのpopIn Aladdin

ハードウェア仕様は本家popIn Aladdin以上

まずはハードウェアを見ていこう。基本的にはベースモデルの「Z6 Polar」と同等で、DLP方式を採用しており、光源にはRGB LEDを使用。1,920×1,080ドットのフルHD表示に対応し、明るさは500~700 ANSIルーメン。

薄い四角形ボディの。使っていないときは本棚などにも収納できる

外形寸法は192×193×48mm(幅×奥行き×高さ)。本体質量は973gで、バッテリーを搭載しないものの軽量で様々な場所への持ち運びも可能な重さだ。

前面にレンズとスピーカーを配置

本体背面にはUSB 2.0端子とHDMI端子を搭載。ゲーム機やレコーダー類、またUSBメモリなどを接続して保存している映像や画像の表示ができる。

本家の照明一体型popIn Aladdinも同じDLP方式だが、解像度は1,280×800ドットのため、精細感はフルHD表示ができる今回の「Z6 Polar」の方が明らかに高い。 これは大画面で表示すればするほどに体感できた。

内蔵スピーカーの出力はpopIn AladdinのWebサイトには記載されていなかったが、XGimiのWebサイトには3W×2と記載されており、おそらく共通だろう。スピーカーには、オーディオブランドHarman/Kardonによるサウンドチューニングが施されているそうだ。

背面に外部入力用のHDMI端子とUSB端子
リモコンはpopIn Aladdinと共通

このように仕様だけを見ても、本家のpopIn Aladdinから照明を外したプロジェクター部分だけにした製品ではなく、フルHD表示に対応するなど“本家を超える”表示性能を搭載しているのがポイントだ。

非常にスムーズなセットアップが可能

「Z6 Polar Meets popIn Aladdin」のセッティングは非常に簡単。箱から取り出したあと、繋ぐのは電源ケーブルのみ。電源スイッチを入れたら、最初にリモコンのペアリングを行なう。あとは画面の指示に従い、 WiーFiの設定や画面の台形補正などを行なっていく。初回起動時にはシステムアップデートもあった。

電源を入れると最初にリモコンのペアリングを行なう。リモコンには単4電池2本が必要
リモコンの底にフォーカス調整用のスイッチがある
続いて台形補正。これらは後で設定メニューからも調整できる

セットアップが終わると、popIn Aladdin(OS)のメニュー画面が表示される。Amazon Prime Videoや、Netflix、AbemaTVなどの動画コンテンツのアイコンや、 popIn Aladdin(OS)オリジナルプログラムのアイコンが表示される。「がくしゅうポスター」や「等身大動物図鑑」、「せかいのえほん」など、子供向けコンテンツが多いのも特徴。しばらく使っていないと、壁時計や美風景のスクリーンセーバーのように投写されるのも既存のpopIn Aladdinと共通だ。

Wi-Fiを設定する
Aladdin IDの設定。これはアプリのダウンロードなどに必要
こちらがpopIn Aladdin(OS)のホーム画面

元々popIn Aladdinは天井に設置して、壁面に時計や風景、写真、絵本など様々なコンテンツを表示するのが面白い、ちょっと変わったプロジェクターだ。一般的なプロジェクターが映像コンテンツを見るため能動的に映像を投写するのに対して、popIn Aladdinは半分、受動的に利用できるコンテンツが多いのがポイント。

「美風景」アプリでは世界中の美しい風景を表示できる
画面サイズを設定することで動物の大きさがわかる「等身大動物図鑑」

このため、最初は純粋なプロジェクターである「Z6 Polar」にpopIn Aladdin(OS)が入ってもそれほど有効に使えるのか、使う前はちょっと疑問もあった。

しかし使ってみると納得。大画面で映像コンテンツを観たい場合は大きな壁に向かって大画面で投写する。通常のプロジェクターは、使っていないときは電源を落として終わりだが、「Z6 Polar Meets popIn Aladdin」はちょっと違う。邪魔にならないサイズで時計や風景スライドショーなどを壁の一部に投写し続けるという使い方ができるのだ。

これは「Z6 Polar Meets popIn Aladdin」が軽量コンパクトで自在に持ち運びできるからこそ。ベッドサイドや天井に風景や明かりなどの映像を投写するという使い方もできる。

底面に三脚穴があり、いろんな場所に固定できる

発色と解像感が良好。部屋を暗くすれば100型大画面も

壁からレンズ前面まで100㎝の位置に設置してみた。映像の縦サイズは約48㎝で、だいたい40インチ前後になった。この距離なら天井の照明がついていても明るく表示できる。さらに壁から離して、170cmの距離に置くとで65インチ相当の画面サイズになる。これぐらいから、大画面らしい迫力が感じられる。画面の明るさが弱くなり始めるが、発色の良さと解像感の高さでコンテンツを選ぶものの、まだ周辺が明るくても視聴できた。

壁から100cmの位置で投写したところ。非常にシャープで明るく、コントラストも高い

壁から280cmまで離れると約100インチサイズで投写できる。このサイズになると、さすがに輝度不足を感じるため、照明の消灯が必須だ。ただし、部屋を暗くしさえすれば、くっきりとした映像が映し出せる。

100インチサイズで投写したところ。天井照明を消すとくっきりした表示になる

画像モードは「明るい」、「標準」、「ソフト」、「ナチュラル」、「オフィス」、「ゲーム」、「カスタム」から選択でき、カスタムモードでは輝度、コントラスト、彩度、シャープネス、色温度を個別に設定できる。

画面モードの設定。ゲームやオフィスも用意されている

本体だけでアプリ利用可能。ゲームも大画面で楽しい!

個別のアプリの機能や挙動は、本家のpopIn Aladdinと共通だ。Fire TV Stickなどを装着しなくてもAmazon Prime Videoなどが観られるのは非常に便利だが、使い勝手には少し差があった。

というのもpopIn Aladdin(OS)でPrime VideoやYouTubeなどを起動すると画面にカーソルが表示されるのだ。このカーソルをリモコンの十字キーで動かして、コンテンツを選ぶという操作になる。同OSのホーム画面や、Fire TV Stickのようにメニューやアイコンをダイレクトに選択する操作ではないので、どうしても、もたもたしてしまう印象だ。

画面上部のカーソルを十字キーで操作する
Prime Videoの利用にはログインが必要だが、この入力も面倒だった

なお、YouTubeはプリインストールされておらず、「App Selection」からダウンロードする仕組み。 1月時点では、ゲームアプリが4本と、DVD視聴アプリなどが用意されていた。今後さらにアプリの追加を期待できそうだ。なお、アプリのダウンロードにはAladdin IDの登録が必要。

YouTube、キッズは手動インストールとなった
インストールできるアプリ。今後の充実を期待したい

今度はゲーム機を接続して実際にプレイしてみた。Nintendo Switchのマリオカートを問題なく遊べて、100インチ超の大画面でのゲームプレイは想像を超える大迫力だった。

Nintendo Switchを接続してマリオカート。大画面なので迫力満載だ

画質、使い勝手ともにバランスの良い優れたプロジェクター

「Z6 Polar Meets popIn Aladdin」はスリムで軽量、自由度の高い設置ができる。また、Bluetoothスピーカーモードも搭載しており、スマートフォンから音楽を再生することも可能。本体サイズが小さいこともあり、単体スピーカーのような高音質というわけではないが、クリアではっきりとしたサウンドが楽しめた。

画質、音質ともに納得できるレベルにありながら、直販価格は59,800円と非常にお手ごろだ。この価格帯でフルHD表示ができるプロジェクターの選択肢は決して多くはなく、有力な選択肢になることは間違いない。10万円以下でフルHD表示ができてコンパクトなのは非常に魅力的。初めてプロジェクターを購入するという世帯に向いている。

また、子供向けや教育用のコンテンツが多いこともあり、特にファミリー世帯におすすめしたいプロジェクターだ。

コヤマタカヒロ