ミニレビュー
照明なのにプロジェクター? 日常使える「popIn Aladdin」で映像&アプリ
2019年3月5日 08:00
昨年の秋ごろから、ちょっと変わったプロジェクターを使っている。それがLEDシーリングライトと一体化した「popIn Aladdin(ポップインアラジン)」だ。照明と同じように天井へ装着し、側面の壁などに映像を投写できるというユニークな製品。
筆者は元々エプソンのフルHDホームシアタープロジェクター「Dreamio EH-TW5350」(2015年発売)を使っており、壁にコンテンツを大画面で投写する習慣はあった。しかし、プロジェクターが日常で気軽に使えるかと言われると、消費電力も高くファンノイズもそれなりにあるため、映画などを見るときはいいが、軽い気持ちでバラエティ番組などを見るときにはオーバースペックだとも思っていた。
そんな筆者が出会ったのが「popIn Aladdin」。天井に取り付けるシーリングライトにプロジェクターが一体化した作りとなっており、設置は非常に簡単。配線なども不要で、電源ケーブルすら要らないのもうれしい。DLP方式を採用しており、パネルは0.45型で解像度は1,280×800ドット。明るさは700ルーメン。価格は79,800円(税込)。
画面のサイズは40~120型。これは設置位置と壁との距離で決まる。最短の1.03mの距離からだと40型で投写でき、最長の3.09mからだと120型で映し出せる。ズーム機能などは搭載せず、仕組み上、本体の移動はできないため、壁との距離で投写サイズは決まってしまうことは理解しておきたい。
取り付けは非常に簡単で、天井の吊り金具(引掛シーリング)に簡単に固定できた。一般的なシーリングライトの取り付けと基本的にすることは変わらず、工事などは不要。唯一異なるのは、投写する壁に向かってプロジェクターのレンズを正面に向けることだけ。ただしネジなどで固定しない仕組みなので、一度設置した後からでも簡単に調整できる。外形寸法は476×476×169mm(幅×奥行き×高さ)、重量は4.9kg。
プロジェクターの投写位置の調整機能としては、レンズの向きを最大約18度下げることが可能。これによって、壁の上部に梁がある場合なども下によけられる仕組みだ。
筆者宅ではこの映像の投写位置で最初は問題があった。壁からの距離によって投写サイズが変わる「popIn Aladdin」では、同時に投写位置も変わってくる。壁から離れれば離れるほど、映像の上辺が下がってくるのだ。映像の投写位置を下げることはできるものの、上げることができない。
投写を考えていた壁には、元々エプソンのプロジェクターで使っていたスクリーンを貼っている。そのスクリーンの上下にはブラックマスクがあるが、そのままpopIn Aladdinを投写すると、画面の一部がブラックマスクに重なってしまうのだ。スクリーンを下げる方法もあるのだが、そうすると今度はスクリーンの前に置いている、ゲーム用の小型テレビやAVアンプなどに重なってしまった。
結果的に、ちょっと強引な方法で解決した。popIn Aladdinのレンズとは反対側に本などを挟むことで、あえて本体を斜めにして、レンズからの投写角度を上に向けている。さらに台形補正機能(水平/垂直最大40度)を利用することで、映像を歪みなく映すことができている。
必ずスクリーンが要るというわけではなく、白壁などにも投写は可能。凹凸がある壁紙だと画質は落ちてしまうが、そこまでこだわらないコンテンツであれば表示自体はできる。
LEDシーリングライトとしての実力は?
まずはLEDシーリングライトとしての機能をチェックしていこう。リモコン操作では、3種類の調色が可能。ボタンを押すごとに昼光色、電球色、昼白色、常夜灯に切り替えられる。明るさと色味は、システム環境設定から調整が可能。8畳までの広さに対応する。
例えば「電球色は要らないが、薄明かりが欲しい」といった場合に、カスタマイズ設定ができる。その場合は明るさと色味をそれぞれ6種類から選択できる。
OSはAndroidで、起動しなくても照明だけ点けるのも可能。ただ、システム設定に入って登録しないと、色調整や明るさ調整ができないことは残念だ。システム調整は、起動中にしかできないため、ただLEDシーリングとして使っている時には、プリセットしか選べない。もう少しだけ明るく/暗くといった設定がリモコンだけでできるとさらに良かった。
なお、popIn Aladdinはリモコンの音声入力ボタンを押しながらマイクに話しかけることで、音声による照明の操作もできる。ただし、この機能も利用できるのはOSを起動している時のみだ。
起動した状態で、画面だけを消すことも可能。消費電力などが気になる人もいるとは思うが、筆者としてはプロジェクター映像はオフで、本体は起動している状態を標準にしてもよかったのではないかと感じた。
画質を追求しないジャンルなら十分な映像
続いて、肝心のプロジェクター機能について見ていこう。popIn Aladdin の解像度1,280×800ドット、700ルーメンという仕様は、いわばモバイルプロジェクター相当。筆者が使っているエプソンEH-TW5350の明るさが最大2,200ルーメンなので、明るさは単純計算で1/3以下ということになる。
実際、同じ環境下でTW5350と同じ写真を表示し比べてみても、明るさの差は歴然だった。フルHDのホームシアタープロジェクターと比べてしまうと、明るさや解像感などが下がるのは仕方がないところ。
しかし、popIn Aladdinの一番の魅力は画質ではない。Wi-Fi機能を内蔵しており、インターネットに接続すれば、単体でYoutubeやAbemaTV、Netflix、Amazonプライム・ビデオ、DAZNなどの動画コンテンツがプリインストールのアプリで視聴できるようになる。いちいち他の機器を接続する必要がない。なお、前述の通りOSはAndroidだが、ユーザーがアプリを追加することはできず、本体アップデートなどのタイミングで自動的に更新される。
ホーム画面上には様々な機能やアプリアイコンが並び、リモコンで操作できる。もともとpopIn Aladdinは幼児の教育・保育を目的の一つとして開発された経緯があるため、等身大で動物が表示できる図鑑や読み聞かせをしてくれる「世界の絵本」、そして、子供に関する質問ができる「小児科オンライン」など、標準搭載のアプリにはキッズ向けのコンテンツが多い。
筆者は仕事部屋に設置しているため日常的ではないが、たまに子供がこの部屋で過ごす時に、「世界の絵本」や「動く太陽系」などの子供向けのコンテンツを見せていることがあり、いつも面白そうに楽しんでいる。
高頻度で使っているアプリは、YouTubeとDLNAプレーヤーアプリ「DiXiM Player」の2つだ。YouTubeに関してはプレミアムに加入しているため、アーティストの公式サイトのプロモーションビデオなどを流しっぱなしにして、仕事の間にながら見している。大画面でのライブ映像などが迫力満点でおすすめだ。原稿に集中したくて音を消したい時は、季節や時間に合った、日本各地の美しい風景を楽しめる「美風景」などにしておくのもいいだろう。
「DiXiM Player」はBDレコーダーなどで録画したテレビ番組を視聴するために使っている。便利なのはNASとの組み合わせだ。筆者宅にはSynologyのNASがあり、DLNAサーバー機能を使っている。このため、NAS上に保存した家族の動画や、写真などをpopIn Aladdinで大画面に映し出すことができるのだ。
写真はスライドショー再生が可能。最短約2秒ごとに写真を切り替えられるので、夫婦でお酒を飲みながら、懐かしい写真を見るなんてことも楽しんでいる。なお、照明を点けたままでも、コントラストは低いが映像としては観られる。映画などで画質や細かな部分まで楽しむには、照明は消した方がいいだろう。
「DiXiM Player」の動画プレーヤーとして機能も十分。再生中に1ボタンで30秒スキップでき、連続で押すと60秒、90秒と伸びて最長150秒までジャンプできる。CMなど見ないシーンは手軽に飛ばせるので、視聴中にストレスはなかった。
本体にharman/kardon製のステレオスピーカーを内蔵し、Bluetoothスピーカーとしても利用可能なのも便利。スマートフォンから飛ばして天井から流れた音楽は部屋中に広がるため、視聴場所を問わないのがうれしい。
毎日使えるコンテンツで、気軽に楽しむプロジェクター
改めてpopIn Aladdinのメリットをまとめると、シーリングライトの中にWi-Fi対応のモバイルプロジェクターが内蔵されたようなもので、いちいちケーブルを接続することなく、主要な動画サービスが利用でき、さらに、レコーダーやNASと簡単に連携できるのも便利だ。
使い方のコツとしては、基本的にpopIn AladdinのOSは起動しておくのが良さそうだ。前述の「美風景」以外にも、大画面で時計を表示する「壁時計」などは生活の邪魔をせず、スクリーンを活かせるアプリはいくつもある。さらにそれらも不要なら画面だけ消すことも可能だ。一方、OSを起動していないと音声操作などが利用できないほか、スマートフォンアプリで操作できるのもOS起動中のみに制限されている。OSはなるべく起動したままの方がストレスなく使えそうだ。
日常的に使える機能として、例えば朝決まった時間にLEDライトを付けて、さらにスクリーンにニュースなどを表示してくれる目覚まし機能もある。それで起きたら、不在時以外はつけっぱなしにしておき、じっくり楽しむ映画だけでなく、テレビ録画番組なども大画面で楽しむという使い方をおすすめしたい。