レビュー

驚異の2,970円、でも実力派!? 激安TWS「SHO-U D1」を聴く

アユートのオリジナルブランド「SHO-U」第一弾製品

「イヤフォン」と言えば「完全ワイヤレスイヤフォン」を連想する人が多くなっている昨今。多様な製品が登場し、マニア向けの3万円、4万円、5万円といった高級機が登場する一方で、驚くほど低価格なモデルも登場。5,000円以下は当たり前、3,000円以下、凄いところでは1,000円以下の製品も存在する。ここまでくると、本当に利益が出ているのか心配になるほどだ。

製品数も膨大で、混沌としている“激安TWS市場”。TWS入門としては気軽に買えるので、「1個買ってみようかな」と思う人も多いかもしれないが、これだけ数があるとどれを選んでいいかわからない。そんな中、ちょっと気になる製品が登場した。「SHO-U」(ショー・ユー)ブランドのTWS「SHO-U D1」というモデルだ。価格はなんと2,970円。

TWS「SHO-U D1」

SHO-Uというブランド自体は初耳だ。それもそのはず、手掛けているのは、あの高級オーディオブランドのAstell&Kernなどを扱っているPC/オーディオ総合代理店であるアユートであり、アユートのオリジナルブランドが「SHO-U」だという。これが低価格でも注目の理由だ。

TWS「SHO-U D1」

TWS「SHO-U D1」ミント

ブランド第一弾のTWS「SHO-U D1」のスペックを見ていこう。8mm径のダイナミックドライバーを搭載しており、ハウジングは非常にコンパクト。小さいので、いろいろな人の耳にフィットしそうだ。

筐体はコンパクト

小さいだけでなく、片側約3.4gと軽量なのも特徴。TWSは落下が怖いという人もいるが、軽量だと、イヤフォンの自重で耳から抜け落ちにくいという利点がある。また、長時間装着してもストレスが少ないというのもポイントだろう。

「SHO-U D1」ブラック

低価格なTWSは、ブラックのみの製品も多いが、SHO-U D1はブラック、ミントと、2色のカラーバリエーションがある。イヤーピースはS/M/Lの3サイズ。ブラックモデルのイヤーピースは当然黒だが、凄いのはミントモデルのイヤーピースが、ちゃんと本体と同じミントカラーな事。激安TWSとして、こういう細かなところにもこだわっているのはエライ。

イヤーピースと本体カラーが同じ

3,000円を切るモデルだが、Bluetooth 5.2に準拠。プロファイルはHSP、HFP、A2DP、AVRCPをサポート。コーデックはSBCに加え、AACにも対応しているのも立派だ。IPX4相当の生活防水にも対応している。

バッテリーの持続時間は、イヤフォン本体で約4時間、充電ケース併用で最大12時間と、より高価なTWSと比較してもスペック面は充実している。こんなスペックのTWSが、3,000円以下で買えるというのは恐ろしい時代になったものだ。

マイクも搭載しているので、通話にも使える。片耳だけスマホと接続する事もできるので、リモートワーク中に片耳で使うといったスタイルも可能だ。

音を聴いてみる

耳穴にフィットしたサイズのイヤーピースを選び、装着してみると、筐体がコンパクトなので装着しやすい。大きなTWSだと、“耳穴手前の空間にミッチリ物体が詰まっている”感覚に襲われるものだが、このくらい筐体が小さいと、さほど圧迫感を感じない。前述のように片側約3.4gと軽量なのも手伝い、気軽に使える印象だ。

パッケージから出した直後は、やや“モコモコ”っとした音だったが、時折充電を交えながら2日ほど鳴らし続けていると、いい感じに音がクリアになり、落ち着いてきた。

2,970円という価格と、8mm径のユニットという事で、正直あまり期待していなかったのだが、音を出してみると驚く。まずビックリしたのは低音の“重さ”だ。「藤田恵美/camomile Best Audio」の「Best OF My Love」を再生し、1分過ぎからのアコースティックベースが「ズゴーン」と地鳴りのように沈む。

ぶっちゃけ、低価格なイヤフォンの低音は、“低音っぽく聴こえる膨らませた中低域”である事が多く、悪く言うと「ブオンブオン」と膨張して、音楽全体が不明瞭でこもった音になる事が多い。

しかし、SHO-U D1の低域はしっかり芯がある。“なんちゃって低音”ではなく、「ズン」という重さが感じられる低音なのだ。これは正直驚いた。8mmというユニットサイズや、小型筐体から想像できない迫力のあるサウンドだ。

「Vaundy/恋風邪にのせて」を聴くと、ベースラインやVaundyのセクシーな声の低音部分がグッと迫ってくる。低域の響きも豊かなので、スカスカした安っぽい音になっていないのもポイントが高い。

また、これだけ低域がパワフルだと、中高域がそれに負けてしまう事がよくあるが、SHO-U D1ではドライバー駆動のレスポンスが良いため、中高域が低域に埋もれず、明瞭さが維持されている。なかなか良く出来たTWSだ。

ミントの装着イメージ
ブラックの装着イメージ

確かに、数万円する高級TWSと比べると、音場がやや狭く、音が中央に集まりがちで、もう少し広がりが欲しい。低域に重さがあるのは良いが、その低音が生み出す響きがやや多めなので、そこをもう少し締めてタイトにしてくれると、重い低域の描写がより鮮明に聴こえるようになるのに……といったような、細かな注文をつけたくなる。

だが、「でもこれって2,970円だよな」と思い出すと、注文をつけるより、「この値段でこの音が出せれば十分では」という気持ちになる。細かい事を考えず、気軽に購入できる価格で、迫力のある美味しい音で音楽や映画が楽しめるTWSとしては、これはこれで“アリ”だ。例えば中高生が買う最初のTWSにも良いだろうし、既に有線イヤフォンを楽しんでいるポータブルオーディオファンのサブ機にも使える、意外にも本格的なTWSだ。

音質以外では、充電ケースのサイズが小さいところも良い。このサイズだと、ズボンのポケットだけでなく、ワイシャツの胸ポケットや、ジャケットの内ポケットにも入れやすい。前述のようにイヤフォン本体も小さいので、フィッティングも良く、遮音性も良好。耳が小さめな女性にも使いやすいだろう。

また、2,970円という価格が生む“気軽さ”も実感する。どんなに気をつけていても、TWSは小さいので床に落ちてしまったり、充電ケースも小さいので「あれ? どこに仕舞ったっけ?」と迷子になる事がある。

これが数万円のTWSだと、洒落にならないので「え、ひょっとして無くした!?」と、引き出しや上着のポケットを慌てて探し回る事になるのだが、この価格だと「まあ慌てなくてもいいかな」という精神的な余裕が生まれる。「安いから粗末に扱っていい」という話ではないのだが、高価なTWSだと、落としただけで精神的ダメージが大きいので、屋外で使う製品の場合“気軽に買い直せる価格である事”も、魅力の1つだと感じた。

高価過ぎないので、屋外で気軽に使える。これも1つの魅力だ

実はTWS以外にも製品がある

実はSHO-Uブランドの第一弾製品はイヤフォンだけではない。

USB充電器として、最大33W充電ができる「SHO-U33」(1,980円)、最大65Wの「SHO-U65」(3,960円)、さらにワイヤレス充電にも対応する5,000mAhのモバイルバッテリー「SHO-U PH2」(3,960円)もラインナップしている。

最大33W充電ができるUSB充電器「SHO-U33」
最大65W充電ができるUSB充電器「SHO-U65」
モバイルバッテリー「SHO-U PH2」

要するにSHO-Uは、ポータブルオーディオに限らず“スマホなどと組み合わせて使うと便利な製品”を集めた、トータルブランドというわけだ。

USB充電器のSHO-U33とSHO-U65は、どちらもエネルギー効率の優れる話題の化合物半導体GaN(窒化ガリウム)を採用しているので、高出力だが小型・軽量。ポートは、USB Power Delivery 3.0対応のUSB-Cポートと、Quick Charge 3.0/2.0対応USB-Aポートを用意。スマホやタブレットなどを充電できる。

最大33WのUSB充電器「SHO-U33」

より小さなSHO-U33は、2ポート同時使用の場合、合計20W出力であるため、スマホ2台同時充電はできるが、スマホとノートPCの同時充電はできない。SHO-U65は合計63W出力なので、その範囲で収まれば、スマホやノートPCの同時充電も可能だ。選び方としては、ノートPCの充電をするかどうかで決めても良いだろう。

なお、SHO-U65の電源プラグは折り畳めるので、例えば出張などに持っていく時も便利だ。

最大65WのUSB充電器「SHO-U65」
電源プラグは折り畳める

今回は、Astell&KernのDAP「A&ultima SP3000」をSHO-U65で充電してみた。SP3000の再生時間は約10時間(FLAC/44.1KHz/16bit/Vol.80/LCD Off時)だが、1日使ってバッテリー残量が65%の状態から、SHO-U65を使って充電開始。ちょうど1時間で99%まで充電できた。このスピードであれば、朝起きて「あ、DAP充電してなかった」という時でも、朝食や出かける支度をしているあいだに十分に充電できるだろう。

SP3000を充電しているところ

モバイルバッテリーの「SHO-U PH2」は、5,000mAhと大容量だが、薄さ10mmとコンパクトなのが特徴。さらに、上に乗せた対応スマホなどをワイヤレスで充電できるのも特徴。マグネットも搭載しているので、対応スマホであれば吸い付くようにピタッと固定され、そのまま充電できる。出先でいちいちケーブルを出して……とやらなくて良いのは便利だ。スマホのケースに貼り付けることで磁力の効果を高める、薄型の金属製リング「ユニバーサルリング」も同梱している。

モバイルバッテリー「SHO-U PH2」はマグネットを搭載し、対応スマホと固定できる。Lightningコネクターを搭載したiPhoneなどのスマートフォンをケーブル充電する場合は、USB-C to Lightningに対応する充電ケーブルがあれば充電可能だが、一部大型のカメラを搭載しているiPhone等はカメラ部分の干渉によりマグネットで吸着しないので注意が必要だ

スマホへのワイヤレス充電は最大15W。また、USB-Cコネクタも備えており、そこに付属のUSB-Cケーブルを接続して使えば、USB Power DeliveryやQuick Chargeでの最大20W出力でのデバイス充電も可能。気軽に充電する時はワイヤレスで、素早く充電したい時は有線でと使い分けができる。

便利なのは、背面にスタンド用のリングを備えている事。傾斜をつけた状態でバッテリーを固定でき、そこにスマホを設置できる。要するに、ワイヤレスモバイルバッテリー兼スマホスタンドとして使えるわけだ。旅先のホテルや、移動中の新幹線の中などでも重宝するだろう。側面にLEDのインジケーターを備えているので、バッテリー残量の確認も可能だ。

背面にスタンド用のリングを備えている
スマホを上に乗せたところ。ワイヤレス充電できている

また、最近話題の“スティック型USB DACアンプ”をスマホと接続して使う場合も、SHO-U PH2は便利だ。DACアンプをスマホのUSB-C端子に接続すると、多くの機種がUSBバスパワーで動作するため、スマホの内蔵バッテリーを消費してしまう。スマホの充電をしたいが、USB端子はUSB DACアンプで使われている……そんな時でも、ワイヤレス充電であれば、バッテリーの心配をせずに、スマホ + USB DACアンプで、ポータブルオーディオを楽しめるというわけだ。

スティック型USB DACアンプの「Astell&Kern AK HC3」を接続したスマホを、ワイヤレスで充電中。ワイヤレスであれば、USB端子が使われていても充電できる。

コスパの良さが光るSHO-U

「とりあえずTWSを使ってみたい」という人も、手に取りやすい2,970円のSHO-U D1は、TWS入門にピッタリだろう。音質もさることながら、ケーブルから解き放たれる開放感は、一度味わうと有線には戻れない便利さがある。

それにしても、この価格でちゃんとしたTWSが買えるというのは、消費者にとっては良い時代になったものだ。

他のUSB充電器やモバイルバッテリーも、TWSに負けず劣らずリーズナブルな価格だが、トレンドの機能はしっかり盛り込んでおり、特にワイヤレスモバイルバッテリーのSHO-U PH2は機能も豊富で満足度が高い。TWSも含め、SHO-Uはコストパフォーマンスの面で、注目のブランドと言えるだろう。

「SHO-U」第一弾製品

(協力:アユート)

山崎健太郎