レビュー
音楽CDをNASに直接録音! スマホ用CDドライブ「CDレコ」が進化
“PCレス”音楽ライフは完成形に?
(2015/4/14 10:00)
PCを使うことなく、Android/iOS端末で音楽CDをリッピングできるアイ・オー・データ機器のCDドライブ「CDレコ」シリーズ。
これまで、Android端末とのUSB接続で音楽CDを取り込めるようにした「CDレコ(CDRI-S24A)」と、USB接続とWi-Fi接続の両方でiOS/Android端末に取り込める「CDレコ Wi-Fi(CDRI-W24AI)」の2機種が発売されており、使い勝手の良さから人気を集めてきた。
直販価格はCDレコが8,640円(税込)、CDレコWi-Fiが10,778円(税込)だ。
そのCDレコ2機種が、専用アプリのアップデートにより、3月にはNASへの直接保存にも対応した。ハイレゾ音源がメジャーになってきた今、音楽CDを「できるだけ高音質なロスレスで」取り込んでおこうという人も増えてきていると思うが、スマートフォンやタブレットのストレージ容量を考えると、比較的ファイルサイズの大きいロスレスフォーマットはちょっと扱いにくい。しかしNASに直接保存できるのなら、スマートフォンなどの端末のストレージはほとんど気にしなくても良くなるだろう。
NAS対応によってCDレコは果たしてどれほど便利になったのだろうか。使い勝手を中心にレビューしてみたい。
ケーブル接続、Wi-Fi接続、NAS対応と、進化してきたCDレコ
CDレコをあまりご存じない方に、簡単にどういう製品なのか改めて紹介しておこう。
「CDレコ(CDRI-S24A)」は、Android端末とUSBケーブルで接続することで音楽CDをリッピングでき、FLACやAAC(320/256/128/96kbps)形式の楽曲ファイルとして端末に取り込めるCDドライブ。なによりPCを用意する必要がなく、USBケーブルでつないで専用アプリで操作するだけの手軽さが特徴で、逆に楽曲ファイルを音楽用CD-R/RWに書き出すことも可能になっている。
ところが、CDレコはAndroid端末にのみ対応し、iOS端末では利用できなかったことと、Androidでも外部USB機器を扱えない端末では利用できなかった。また、取り込んだ楽曲ファイルが増えた際には、別途外部ストレージなどに手動で移すなどして整理する必要もあった。
次に発売された「CDレコ Wi-Fi(CDRI-W24AI)」は、Wi-Fi経由でドライブの操作とデータ転送を可能にしたことで、ほぼ全てのAndroid端末とiOS端末にも対応した製品。ドライブ・端末間のケーブル接続が一切不要になり、使い勝手がさらに向上した。
ただ、こちらについても依然として取り込んだ楽曲ファイルの整理・バックアップは手動で行なう必要があり、しかもiOSアプリについては取り込んだ楽曲ファイルを端末から取り出す方法がなかったため、他の機器で楽曲を聞けないという点は、やや不便であった。
そんな中、今回「CDレコ」アプリ(Android/iOS)がバージョンアップ。ネットワーク上の大容量NASに直接取り込むことが可能になった。両方のCDドライブで共通の課題だった“楽曲ファイルが増えてきた時の対処”がしやすくなったのだ。
ロスレスは2種類のファイル形式で同時保存可能
CDレコで音楽CDをNASへ直接取り込むには、いくつか確認と準備が必要となる。まず、対応するNASは今のところアイ・オー・データ機器製のHLS-Cシリーズ、HDL2-ARシリーズ、HVL-Aシリーズなど7シリーズだ。動作確認済機種については同社ホームページで案内している。
対応NASをスマートフォンと同一のLANに接続したら、CDレコアプリの設定画面でLAN内のNASを検索して“登録”し、取り込んだ楽曲ファイルの保存先を“NAS”に切り替える。あとはNAS上の任意の保存先フォルダを選択して音楽CDを取り込めばOKだ。
音楽CDの取り込み処理後、NASへのファイル転送が自動的に行なわれ、しばらく待てばNASへの取り込みが完了する。取り込む音楽CDごとにNAS上にサブフォルダが自動で作成されるので、後でファイル整理をしたくなった時も都合が良いだろう。
ここでちょっと注意しておきたいのが、取り込み時のオプション設定。Androidの場合は「iOS(iPhone,iPad)互換」、iOSの場合は「Android互換」という設定があり、これがデフォルトでオンになっている。オンだと、ロスレスフォーマットで取り込んだ際、AndroidではFLAC形式に加えApple Lossless形式(ALAC/拡張子m4a)も同時に生成され、iOSで取り込んだ時はその逆のことが起こる。つまり、1度の取り込みで2重にファイルができあがるのだ。
FLAC形式とALAC形式の両方が生成されるのは、その端末以外のオーディオ機器で再生することも考えている人にとってはうれしいところ。しかし結果的にはファイル容量がほぼ2倍になるので、FLACとALACの2種類のファイルが必要ないのであれば、「互換」の設定をオフにしておきたい。
また、NASに直接取り込めるといっても、音楽CDを読み込んだ時のデータはスマホ端末のストレージに一時的に保存され、その後NASに転送される仕組みのようだ。したがって、スマホのストレージ残量にもある程度の余裕が必要なことも頭に入れておきたい。
なお、総再生時間62分(14曲)のアルバムCDを取り込み、NASへの転送が完了するまでにかかった時間は、ロスレスフォーマット1種類のみ生成時で約30分、2種類(FLACとALAC)生成時で約40分だった。Wi-Fiネットワークの状況にもよるだろうが、取り込みと転送にはそれなりに時間がかかることも覚えておこう。
これは便利と、筆者が所有する他のNAS(Apple AirMac Time Capsule、バッファローLinkStation、アイ・オー・データ機器/挑戦者のRockDiskNext)を試してみたが、いずれも、CDレコアプリ上で認識されなかった。他社製品は別として、RockDiskNextには対応していただけると嬉しいのだが……。
とはいえ、スマホのストレージを使う場合、16GBとしても、FLACやALACのロスレスを利用すると、約400曲、アルバムにして40枚程度しか取り込めない。しかし、NAS対応により、例えば2TBのNASであれば、約5万曲、アルバムにして5,000枚とほぼ無制限にライブラリを構築できる。後述するNAS用アプリ「Remote Link Files」などを使えば、必要なときに自宅のNASの楽曲にアクセスできるようになるので、手持ちの音楽CDはどんどん取り込んでおきたい。
ミュージックライブラリをシームレスに再生、管理
取り込んだ後は、CDレコアプリ上でNASに取り込んだものか、端末のストレージ(CDレコ)に取り込んだものか、アイコンで区別できる形で一覧し、LAN内であればどちらのファイルもシームレスに再生できる。iOS端末では、iTunesで管理している楽曲もCDレコアプリ上でまとめて再生可能だ。
また、NASに取り込んだ楽曲ファイルを端末のストレージにコピーしたり、逆に端末のストレージに取り込んだ楽曲ファイルをNASに転送したりといった、相互のファイル転送も後から行なえる。アルバムごと、あるいはファイル個別に選択して転送でき、もちろんファイルの削除もできるので、取り込み先を間違った場合でも問題ない。
一通りの機能を備えたCDレコアプリではあるけれど、再生可能なものは端末内のファイルかLAN内のNASに取り込んだファイル。
NASに保存した大量の音楽を自宅だけで楽しむのはもったいない。外出時も同じように聞きたい! と思った人に対しては、NAS用アプリ「Remote Link Files」が利用できる。
Remote Link Filesは、外出先などからNASにリモートアクセスできるようにするアプリ。初めにLANに接続した状態でNASの機器登録を行なっておくことで、外出先でもインターネット経由でNASにアクセスし、保管している楽曲ファイルなどを参照できる。
音楽ファイルは直接再生したり、端末にダウンロードするのもOK。CDレコのインターフェースとは異なるものの、いつでもどこでも好きな場面で、自分のライブラリにアクセスして聞ける環境ができあがる。
ただし、CDレコで取り込んだ楽曲については、CDレコアプリに最適化しているため
Remote Link Files上では楽曲タグがきちんと読み込めず、ファイル名がバラバラに
表示されてしまい使いづらい。この点は今後のアップデートに期待したい。
とはいえ、手持ちの楽曲を全てNASに貯めておけば、外出先でスマホに曲が入っていなくても再生/ダウンロードできるようになるので、ポケドラCloudユーザーは、こちらも設定しておきたいところだ。
「スマホだけ生活」の実現に一役買ってくれるアイテム
スマートフォンやタブレットといったモバイル端末のみで音楽CDを取り込んで、ミュージックライフを充実させられるCDレコは、NASへの直接取り込みが可能になったことで、ファイル管理用のPCすら必要なくなり、まさしく「スマホ(タブレット)だけ生活」を無理なく実現できるアイテムとなった。
改善を期待したい点を挙げれば、対応NASが同社製品に限られることだろうか。これからNASを購入する人には最適なソリューションだが、すでに所有しているNASでも使いたいという人も多いだろう。CDレコの便利さをより多くの人に体験してもらうためにも、対応製品拡大には期待したいところだ。
PCに全く触れずに、CDをどんどん録音できるこの手軽さ。これをアプリのアップデートだけで対応したのもすばらしいと思う。進化した「CDレコ」を多くの人に体験して欲しい。
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(協力:アイ・オー・データ機器)