大河原克行のデジタル家電 -最前線-

ソニーストア名古屋はなぜ、売り場面積の半分をデジカメにしたのか

 ソニーストア名古屋が、2015年2月27日、リニューアルオープンした。2010年3月にオープンして、ちょうど5周年を迎えたのを機に全面的な改装を行なったもので、リニューアルオープン当日は、ソニーストアの運営とともに、ソニー製品の国内販売を担当するソニーマーケティングの河野弘社長も駆けつけ、テープカットを行なった。

ソニーストア名古屋

 ソニーストアは、現在、東京・銀座のソニービルと、大阪・梅田のハービスエント、そして、路面店となる名古屋・栄の3カ所に出店している。そのなかでも、銀座のソニービルがショールームを中心として展開。梅田の店舗も当初はソニースタイルストアの名称で、やはりショールーム機能を前面に打ち出した運営でスタートしたのに対して、ソニーストア名古屋はオープン時点から、すべての製品に値札を付けるなど、初めて販売機能を軸にした店舗づくりに踏み出した経緯がある。

 そのソニーストア名古屋のリニューアルだけに、どんな内容の店舗になるのかが関係者の間から注目されていたが、同店のリニューアルには、やはり驚くべき内容が盛り込まれていた。それは、売り場面積の約半分を、デジタルイメージング(DI)製品、つまりデジタルカメラが占める売り場構成としたのだ。

 ソニーマーケティングの河野弘社長は、「ソニーのカメラをフルに体感できる日本初のストアになる」とする一方、「ソニーストアにとっても大きなチャレンジになる」と語る。

5周年を迎えリニューアル
ソニーマーケティングの河野弘社長

すべての製品が利用可能な体験型の店舗を目指す

 ソニーストア名古屋は、1階および2階の2フロアで構成される。1階入口を入ると正面に階段が見える店舗レイアウトとなるソニーストア名古屋の階段から左側すべてをデジタルカメラの売り場とした。1階フロアのほぼ3分の1強を占める。ここには、αシリーズやRXシリーズなどのほか、アクションカムやハンディカムといった同社のDI製品のすべて展示。どれもが手に取って、試すことができる。

ソニーストア名古屋のレイアウト

 リニューアルオープンにあわせて、3月8日まで実施した「ソニーストア名古屋 5周年記念イベント」では、機関車トーマスの鉄道模型ジオラマを展示。動いている機関車トーマスの鉄道模型を、αシリーズやハンディカムで撮影できるようにしている。

一番目立つ場所にジオラマを置いて、家族連れの集客も狙う
5周年イベントでは、機関車トーマスを活用したイベントも
ソニーストア名古屋の土谷壮一店長

 さらに、「動・暗・色・遠・マクロのすべてを撮影体験できる」(ソニーストア名古屋の土谷壮一店長)というように、ジオラマによる動体撮影に加えて、特設ブースによる暗所撮影およびポートレート/マクロ撮影、色彩豊かな花を撮影する色彩撮影、500mmの超望遠レンズによる望遠撮影が体験できるようにしている。

 また、レンズコンサルティングスペースを用意。専門アドバイザーが常駐し、ソニーが提供するAマウントおよびEマウントのすべてのレンズを試すことができるのが特徴だ。「専門アドバイザーに相談すれば、利用シーンや要望にあわせて最適なレンズを提案してもらえる」(土谷店長)という。

特設ブースによる暗所撮影およびポートレート/マクロ撮影
レンズコンサルティングスペースは専任スタッフが常駐する

 このように、撮影体験価値の最大化を1階フロアのコンセプトに掲げる。一方、2階フロアは、「アフターシューティングの深化」をキーワードに、「写真を語り、集う場所」と位置づけるオープンスペースのαコミュニティを設置。カメラマンが撮影した作品を4Kディスプレイで鑑賞できるようにするなど、「写真を楽しむユーザーが気軽に集まれる場所であること、写真を通してコミュニケーションが広がり、写真ファンが集う場となることを目指す」(土谷店長)する。

「写真を語り、集う場所」と位置づけるαコミュニティ

 また、ソニーストア各店舗で展開しているα Cafe体験会の開催スペースを常設。「撮る楽しさを学べる場所」として、無料の講座を中心に、3月だけで57講座を開講する予定だ。α Cafe体験会では、初心者から中・上級者までを対象に各種講座を用意。座学だけに留まらず、東山動物園や久屋大通庭園「フラリエ」、名古屋・栄の夜景スポットで写真を撮影するといったように、現場に飛び出した講座も実施。撮影の腕や知識を向上させたいαユーザーには、最適な講座内容になっている。一部には、αシリーズを所有していなくても参加できる講座もある。

 また、2階フロアには、120型の4Kプロジェクターを用いて、撮影した写真を鑑賞できるシアタールームも用意した。「今後は、紙焼きに印刷した写真、あるいはソニーストア名古屋のスタッフが撮影した写真も店内に掲示したい」と、河野社長は語る。このように売り場全体を、デジタルカメラを中心とした構成としているのだ。

ポストVAIOの位置づけを担うデジカメ

 では、なぜ、ソニーストア名古屋では、デジタルカメラを中心としたDI製品の展示に、ここまで力を注いだのか。それには、いくつかの理由がある。そして、それはソニーマーケティングが、今後目指すべき姿を表現したものだといえるのかもしれない。

 ひとつめは、ソニーストアにとって、一昨年までの主力であったVAIOを埋める商材として、デジカメにフォーカスを当てた点だ。もともとソニーストアでは、売上高の4割以上をVAIOが占める構成となっていた。だが、ソニーがVAIO事業を売却後、VAIOの販売構成比は大きく縮小。VAIO株式会社で事業は継続されているものの、製品ラインアップを絞り込んでいる現在の事業体制のなかでは、かつての販売規模にまで回復させるのは難しい。

 また、テレビのように、パソコンに比べて専門的知識が必要なく使える製品の場合、どうしても量販店での購入が中心となる傾向がある。ハイレゾオーディオについても、パソコンに比べると単価が低く、VAIOの収益を埋めきれない。

 そこで、ソニーマーケティングが、ポストVAIOとして白羽の矢を立てたのがデジタルカメラだった。ソニーマーケティングの河野社長は、「ソニーにとって、デジカメは儲かる製品のひとつ」と前置きし、「ソニーは、レンズ、イメージセンサー、画像処理エンジンのすべてのコアデバイスを内製している。他社と差異化できる製品を作ることができる。ここにソニーの強みがある」とする。

 そして、こうも語る。「ソニーは、これまでにも差異化した映像製品を投入してきた歴史がある。動画の領域では、プロ用カメラとしても高い評価を得ており、静止画にもその技術が生かされている。そして、それらに共通しているのは、その撮影する人をしっかりとサポートするという点。個人が撮影する場合、撮った人にしかわからない価値ということが多い。ただ、その価値を最大限にするのがソニーの役割。単に儲かるということだけでなく、プライスレスともいえる映像製品を活用したライフスタイルの提案や、それによって実現する価値にこだわってきた。ソニーストアという直営店だからこそ可能になる価値提案を行なっていきたい」。

 デジタル一眼カメラなどの高機能モデルの販売には、その人に最適な製品を提案する力が求められるほか、使いこなすための撮影知識を提供する購入後のケアも必要だ。その点では、パソコンに近い要素があり、専門スタッフを持ち、直営店ならではの安心感と購入後のサポート、スキル向上のための無料講座などを提供できるソニーストアにとっては、デジカメは絶好の製品となる。ポストVAIOとして、ソニーストアの力が発揮できるのがデジカメということになる。

ソニーが本気でデジカメに取り組む証に

 もうひとつは、ソニーマーケティングにとって、デジカメが3つの重点製品の柱のひとつを担っている点だ。ソニーでは、事業成長のポイントに「高付加価値戦略」を掲げ、「4K」、「ハイレゾオーディオ」、そして「一眼カメラ」の3つを、重点製品エリアと位置づけ、「カテゴリー内での変革による市場活性化」を図る姿勢を明らかにしている。

 そのなかで、デジカメは、プロカメラマンの間からも「究極のサブ機」とも評されるRXシリーズによる高級コンパクトデジカメと、デジタル一眼カメラのαシリーズに絞り込んだ、付加価値路線へとシフトした。

 先にも触れたように、ソニーのデジカメは、自社の独自技術による垂直統合型製品であり、そこが他社との差異化になっている。「技術的な面では他社との差異化ができているとの自負がある。だが、これまでの実績やブランド力という点では、キヤノン、ニコンといった上位2社とは、まだまだ大きな差がある。カメラ分野においては、ソニーはチャレンジャー。ソニーが本当のカメラメーカーになるためには、強い製品の投入や技術訴求だけでなく、デジカメに対するマーケティング投資の比重を高め、この分野に徹底的に取り組んでいく姿勢をみせなくてはならない。その姿勢を見せるためにも、売り場づくりやコミュニケーションにも投資をしていく」と河野社長。そして、「今回のソニーストア名古屋のリニューアルにおいて、デジカメの展示を一気に増やしたのは、ソニーがこの分野に積極的に展開していく姿勢を示したものだ」と位置づける。

ソニーストア名古屋ではすべての交換レンズを試すことができる

 河野社長によると、交換レンズ市場における販売台数シェアにおいて、2014年は、月間シェアで、3回ほど2位に食い込むことができたという。交換レンズの市場は本体の普及台数に左右されるのは当然のこと。これまでの本体の普及状況からいえば、キヤノン、ニコンとの差はあまりにも大きく、ソニーが2位に入るのは、考えられない結果ともいえる。

「それだけ、ソニーに対する交換レンズに対する需要が高まっていることの証であり、本体を購入した人に対して、ソニーが積極的な提案を行っている成果が出ていることの証明」と河野社長。ここにも、ソニーマーケティングがデジカメ事業への投資を加速する理由があるといえるだろう。

 ソニーは、先頃発表した事業方針説明のなかで、リカーリング型ビジネスを重視することを示した。ソニーの平井一夫社長は、デジカメ事業についても、カメラ本体のベースをもとに、交換レンズを販売する仕組みを、リカーリング型ビジネスのなかに含め、デジカメ本体の顧客基盤を生かして事業を拡大する姿勢を示した。こうした動きもデジカメ事業への積極的な投資理由につながる。

 また、河野社長はこんなことも語る。「長野県のある地域販売店では、αシリーズの購入者の4Kテレビ購入比率が高い。カメラファンの人たちが、自分たちが撮影した写真を見るために、4Kテレビの良さを評価して購入している。ソニーは、一眼カメラで撮影した画像を最もきれいに表示することができるフォトモードを4Kテレビに搭載している。これはカメラメーカーにはない、ソニーにしかできない提案のひとつになる」。これも大きな意味で、デジカメのリカーリング型ビジネスのひとつといえるかもしれない。

敷居の低いソニーストアの切り札に

 そして、ソニーストア名古屋を、デジカメ中心とした店舗構成にした背景には、こんな理由もある。ソニーストア名古屋の土谷壮一店長は、「過去5年の来店客を調査すると、ソニー直営店であるソニーストアは、敷居が高くて入りにくいという声があったのも事実。その敷居を下げるにはどうするか。デジカメを前面に打ち出すことで、家族やカップルが入りやすい店舗を目指した」とする。

 ソニーストア名古屋で狙っているのは、カメラファンだけでなく、「子供をかわいく撮りたい」、「季節の花を鮮やかに撮りたい」といったユーザーも含まれる。5周年イベントで、機関車トーマスの鉄道模型ジオラマを用意したのも、家族連れが気軽に入れる店舗を目指すための店舗づくりという意図もある。

ソニーマーケティング カスタマーマーケティング部門の浅山隆嗣部門長

「外から見ても、店舗内に入っても、一番目立つ場所にジオラマを置いたのは、店舗に入りやすい雰囲気を持たせたもの。そして、店舗の什器もフレキシブルに動かせるように設計を変え、その時々にあわせて、お客様が入りやすい店舗へと変えることができるようにしたのも今回のリニューアルのポイント。従来よりは、入りやすく、製品を触りやすい店舗になっている。あとは、来店した人たちに、どれだけ体験を促すことができるのかというスタッフの努力次第になる」と、ソニーマーケティング カスタマーマーケティング部門の浅山隆嗣部門長。

 いま、ソニーが家族連れにアプローチするには、デジカメやハンディカムなどのDI製品が、最も適した製品であるのは確かだ。デジカメを切り口に家族連れを集客するという売り場提案を横展開するという挑戦にもなりそうだ。

なぜ名古屋からデジカメ中心店舗を始めたのか?

 もうひとつ、気になるポイントが、なぜのこの取り組みを名古屋からはじめたのかという点だ。リニューアルオープン当日に行なわれた会見では、河野社長は、「愛知県には、製造拠点であるソニーEMCS幸田サイトがあり、1972年の設立以来、ベータマックスをはじめとするビデオレコーダー、8mmビデオカメラやハンディカムなどを生産している。現在でも、映像機器の拠点として、αシリーズ向けのレンズ生産を行なっている」と説明。ソニーのDI事業に縁がある土地柄であることを示した。

 また、「ソニーストア名古屋が5周年という節目を迎え、それをトリガーにして、新たな挑戦を始めやすいという環境があったこと、銀座、大阪の店舗は、広い売り場面積を持つことから、デジカメの提案に必要なスペースを確保しやすいのに対して、名古屋では、その提案に求められるスペースを確保するには、売り場の半分を占める必要があった」(河野社長)という要素も見逃せない。

 だが、最大の理由は、「ソニーストア名古屋は、ソニーストアのなかでもデジタルイメージング(DI)の販売比率が高いという点」(河野社長)にありそうだ。それを補足するようにソニーマーケティング カスタマーマーケティング部門の浅山隆嗣部門長は、「ソニーストア名古屋では、DI製品の売り上げ構成比がすでに4割に到達している。また、交換レンズの販売も多い。新たな店舗構成とすることで、DI製品については、売り場構成比と同じ、5割の売り上げ構成比を目指すことになる」とする。

 これは言い換えれば、ソニーストアの特徴を生かすことができる店舗構成を、名古屋モデルとして創出するという狙いがあるといえそうだ。「名古屋では、ソニーストアにくれば、新たな本体、レンズをいち早く体験したり、購入できるということが定着しはじめている。そうしたコアなユーザーに対して、さらに新たな気づきを与えること、知人を体験会に招待してもらい、来店する人たちや直接触れる機会を増やすことができれば、5割という構成比は、それほど高いハードルではない」とする。

 ポストVAIOをデジカメで実現するスタイルを、名古屋で確立するという狙いがあるともいえよう。実際、河野社長は、「この仕組みは、横展開していきたいと考えている」と語る。すでに、ソニービルでは、ステップフロア構成の2階部分の一部にあったイベント展示コーナーを、デジカメの展示へとリニューアル。階段をあがると、デジカメのフロアが続く構成としている。

 だが、この仕組みを本格的に横展開するためには、やはりソニーストア名古屋での成功が大きな意味を持つ。では、ソニーストア名古屋での成功には、どんな要件を求めているのだろうか。

 河野社長は、売り上げ構成比で5割を占めるということは、ひとつの目標であることを示しながらも、次のように語る。「いかに付加価値を提案できるかが鍵になる。目標としているのは、マーケティングのプロセスのひとつとして、ウェブとともに、ソニーストアというリアルの店舗が、ソニーファンの創造に貢献できる仕組みになること。ソニーストア名古屋で購入した人たちだけに留まらず、地元の大手量販店や地域販売店においても、ソニー製品を購入した方々が、買った後に製品を楽しんでもらえる店舗であることを目指したい。2階フロアに開設したαコミュニティにおいては、午前中はママ友たちが集まって子供の写真を見せ合う会、午後は学生サークルによるカメラを通じた勉強会など、スケジュール表がぎっしり埋まることを期待したい。これも、今回のリニューアルが合格点になるかどうかを判断する要素のひとつ」だとする。

4Kテレビ、ハイレゾオーディオにも力を注ぐ

 ソニーストア名古屋におけるDI製品の売り上げ構成比5割は、ひとつの目標であるが、これが将来のソニーマーケティング全体の売り上げ構成比になるのかというと、話は別だ。ソニーマーケティングでは、日本全国の家電量販店や地域販売店にも製品を流通。それらの店舗では、テレビなどの販売構成比がソニーストアよりも高いなどの理由があるからだ。

 また中期的にみれば、テレビ需要の回復が見込まれ、それによって構成比が大きく変わる可能性がある。「テレビ需要は依然として低迷しているが、2020年に向けては、テレビ需要のピークを迎えた2010年前後に購入されたテレビの買い換え需要が見込まれる。現時点でも、ソニーは、国内4Kテレビ市場において、96週間連続トップシェアを維持している。4Kテレビは、4Kの放送コンテンツが十分ではないなかでも、最もきれいに見られるテレビとして注目が集まっている。これまでのフルHD市場とは異なり、4Kテレビ市場では勢力図が変わると思っている。そのなかで、ソニーは、テレビをしっかりとやらなくてはいけない。これからもトップシェア維持にこだわる」と語る。

ハイレゾオーディオも重要な領域に

 また、ハイレゾオーディオも重要な領域のひとつに掲げる。浅山部門長は、「圧縮音源ばかりを聞いてきた人たちが、ハイレゾオーディオの音質の良さを体感して、ハイレゾ搭載ウォークマンを購入するといったことが、ソニーストア店頭でも数多く見られている」とする。

 同社によると、ハイレゾウォークマンの出荷台数は前年同期比15%増、ウォークマンの平均単価は27%増、ソニーのオーディオ関連機器の売上高に占めるハイレゾ関連製品の売上構成比は30%を突破。ヘッドフォンもハイレゾ化の効果で、販売金額で前年比10%増になっているという。また、moraにおけるハイレゾ楽曲は現時点では5,000曲を突破。moraの売上高に占めるハイレゾ比率は30%となり、前年比約3倍になっているという。

 「本体だけでなく、ヘッドフォンへの注目度も高い。これはソニーにとっても大事な製品。こうしたところもしっかりと訴求していきたい。ソニーは、音楽好きの人たちの期待に応える製品を出し続ける」と、河野社長は語る。

 ウォークマンは、日本では圧倒的なシェアを誇り、量販店店頭でも、ウォークマンの展示コーナーを広く取る量販店が多い。さらにヘッドフォンなどの製品展示にも力を入れている。「ウォークマンの展示コーナーの横には、ソニーのヘッドフォン以外にも、他社製品のヘッドフォンを展示している例も多い。ウォークマンの近くにヘッドフォンを置けば売れるという構図が確立しはじめている」という。

 だが、ウォークマンは海外では苦戦しているのも事実。ソニーマーケティングの河野社長は、「日本で成功しなければ、ウォークマンの事業は存続できない。それぐらいの気持ちで、ウォークマンには力を入れている」と、力強く語る。

 ソニーストア名古屋でも、入口右側には、ウォークマンをはじめとしたハイレゾオーディオ製品を展示している。そして、その奥には、4Kテレビを展示している。いま、ソニーが最重要しているのが、デジカメ事業。そして、その次がハイレゾオーディオ。それを体現しているのがソニーストア名古屋の店舗レイアウトである。そして、これからテレビの需要回復や、タブレット事業への取り組み、国内総販売権を持つVAIOのラインアップの広がりに向けて、ソニーストア名古屋のレイアウトも変更していくことになるだろう。

 そのために、今回のリニューアルでは、従来の固定式の什器から、可動式の什器に変更して、店内レイアウトの変更に自由度を持たせた。ソニーのいまの戦略を体現したのが、今回のソニーストア名古屋のリニューアルといえる。そして、これからのソニーストア名古屋のレイアウト変更によって、ソニーの戦略の行方が垣間みられるということになるのかもしれない。

大河原 克行

'65年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、20年以上に渡り、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。 現在、ビジネス誌、パソコン誌、ウェブ媒体などで活躍中。PC Watchの「パソコン業界東奔西走」をはじめ、クラウドWatch、家電Watch(以上、ImpressWatch)、日経トレンディネット(日経BP社)、ASCII.jp (アスキー・メディアワークス)、ZDNet(朝日インタラクティブ)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下からパナソニックへ」(アスキー・メディアワークス)など