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ファンはニヤケっぱなし!?「機動警察パトレイバー REBOOT」本編が期間限定で無料配信
2016年11月24日 18:00
2002年の劇場用アニメ「WXIII 機動警察パトレイバー」と短編「ミニパト」で、パトレイバーのアニメは終わりだと思っていた。しかし、今年の7月にまさかの再起動。「機動警察パトレイバー REBOOT」なる作品が発表され、小躍りしながら記事を書いた。
(c)HEADGEAR/バンダイビジュアル・カラー
(c)HEADGEAR/バンダイビジュアル・カラー
しかし、テレビアニメシリーズではない。映像制作の可能性の探求や、人材育成、自由な創作の場としてドワンゴとカラーが展開している、Webアニメ「日本アニメ(ーター)見本市」のエクストラ作品として作られた、わずか9分程度の作品だ。正直「なんだ、実験的な短編作品か」とちょっとガッカリしたが、公開されたPVを見て一気に血流がアップした。映像の中に「パトレイバー愛」が溢れていたからだ。
そんな「機動警察パトレイバー REBOOT」の本編が、11月23日から「日本アニメ(ーター)見本市」のWebページで公開された。2017年2月28日までの限定公開だ。既報の通り、一足先に、10月26日に特装限定版のBlu-ray(品番:BCXA-1191/5,000円)とDVD(BCBA-4805/3,000円)もバンダイビジュアルから発売されている。
懐かしくも新しいパトレイバーの世界
大きなマンションと、背の低い下町の商店街が混在する台東区の谷中から物語はスタートする。下町を破壊しながら進むのは黄色い土木作業用レイバー(ブルドック)。もうこの時点でファンはニヤニヤしてしまうだろう。劇場版第1作で、暴走した黄色いレイバー(タイラント2000)を特車二課が制圧するシチュエーションとソックリだ。ただ、今回暴れているのはOSの暴走ではなく、乗り込んだテロリストの意思だ。
暴走の模様はTwitterで拡散され、さらにテロリスト自信が操縦席からニコ生でその模様をリアルタイム配信し、自分の主張をアピールする。舞台はまさに現代であり、私がかつて楽しんでいたパトレイバーの世界より、やや未来の物語という印象を受ける。
暴走レイバーに対処するのは、懐かしくもちょっと新しいデザインになった98式パトロールレイバー“イングラム”。操縦する若い男性隊員(名前は不明)は、気弱だが、キレるとリボルバーカノンをぶっぱなそうとする、旧作の誰かと誰かを組み合わせたようなキャラクター。そんな彼を指揮車から叱咤する若い女性隊員は、可愛いが勝ち気そうな性格で、これまた誰かに似ている。
極めつけはレイバー小隊の隊長の中年女性。旧作の昼行灯な後藤隊長の性別が変わり、ふっくらしたようなキャラクターで、何が起きても動じない飄々とした態度がたまらない。事態を打開するため、必要なら部下をも騙す腹黒さも、後藤隊長譲りだ。
ただ、彼女によれば昔の隊長が「現場においては臨機応変」と言っていたそうで……、その口癖は後藤隊長のものではない。具体的な名前や姿を出さず、これだけ旧作との関係を意識させる描写も見事だが、これが未来の物語なら「あれ? どういう事?」と、ちょっと意外な関係性を考えはじめてしまうのも面白い。
その後も鉄道を使ったムニャムニャなど、ファンならニヤニヤさせられっぱなしだろう。短編とはいえ、パトレイバー愛を詰め込めるだけ詰め込んだような濃密な時間が楽しめる。
一方で、これまでのパトレイバーを知らない人も楽しめるはずだ。正義に燃える主人公が悪と戦う普通のロボットアニメとは異なる、公務員的なしがらみにとらわれ、やじ馬から「税金泥棒!!」と怒鳴られながらも、それでも人々を守ろうと奮闘する、妙に親近感の湧く“正義の味方”の斬新さは今なお色あせていない。
監督は、大のパトレイバーファンで、「イヴの時間」や「サカサマのパテマ」を手がける吉浦康裕。そして脚本・伊藤和典、キャラクター原案・ゆうきまさみ、メカニカルデザイン・監修に出渕裕、音楽に川井憲次と、今までのパトレイバーを作り上げてきた面々が並ぶ。アニメ制作は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」などのスタジオカラーだ。
個人的には、押井守監督による実写版「THE NEXT GENERATION -パトレイバー- 首都決戦」で描かれた、パトレイバーの“その後”も好きだが、今回の“今までのアニメっぽさ”を残しつつ、新しい空気に包まれたパトレイバーも大いに気に入った。短編だけと言わず、ぜひ映画やテレビで、再起動したパトレイバーの物語を楽しみたいものだ。
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