エンタメGO
8月公開「ラストマイル」と繋がる名作ドラマ。「アンナチュラル」「MIU404」の魅力
2024年8月16日 08:30
8月23日に満島ひかりと岡田将生が出演する映画「ラストマイル」が劇場公開される。流通業界最大のイベントのひとつ、「ブラックフライデー」の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボールが爆発する事件が発生、それが連続爆破事件に発展していく――というサスペンスエンタテインメント作品だ。
しかし、この作品にはもうひとつ大きな特長がある。それは2018年と2020年に放送された、まったく異なる題材を扱ったドラマと世界線がつながる“シェアード・ユニバース・ムービー”だということ。ここでは映画「ラストマイル」につながる2作品、「アンナチュラル」と「MIU404」という2作品の魅力を紹介したい。
ドラマは2作品ともNetflixやAmazon Prime Video、U-NEXT、TVerなどで配信中。特にU-NEXTではMIU404の「ディレクターズカット版」が配信されているので、U-NEXTに加入している場合は、こちらの視聴をおすすめしたい。
これら3作品に共通しているのは制作スタッフ陣。3作品とも脚本を手掛けたのは大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」も手掛けた野木亜紀子、またラストマイルでメガホンを執った塚原あゆ子監督は、アンナチュラルとMIU404の2作品で演出や監督を務めている。
さらに3作の主題歌は、いずれも米津玄師が担当。アンナチュラルでは大ヒットを記録した「Lemon」、MIU404では「感電」、そしてラストマイルでは「がらくた」を提供している。
“法医解剖医”が題材の石原さとみ主演「アンナチュラル」
アンナチュラルは、TBS系列で'18年に放送された石原さとみ主演の作品。石原が演じたのは“法医解剖医”の三澄ミコトで、ドラマの舞台は、日本に新設された死因究明専門のスペシャリストが集う「不自然死究明研究所(UDIラボ)」。そこに運び込まれる“不自然な死”を遂げた死体に、ミコトをはじめとする“クセの強いメンバー”たちが向き合い、死因を究明していく法医学ミステリーだ。
解剖医が事件を追っていくという、あまり馴染みのないストーリー展開が魅力。全10話を通して追いかけていくひとつの未解決事件があるものの、基本的には一話完結で、サクサクと視聴できるはず。
とは言いつつ、その未解決事件や、事件を追う主人公の同僚で極端に口の悪い法医解剖医・中堂系(演:井浦新)、アルバイトとしてUDIラボに勤務している久部六郎(演:窪田正孝)など、なにかを秘めているキャラクターも多く、気がつくと一気見していた……ということになるかもしれない。
筆者が初めてアンナチュラルを視聴したのは'21~22年ごろだったのだが、その時衝撃を受けたのが第1話「名前のない毒」。第1話は2018年1月12日に初回放送されたのだが「この時点で、それを題材にしていたの!?」と度肝を抜かれた。脚本を手掛けた野木をはじめとする制作陣の力を思い知らされたエピソードだった。
また、今作では米津の主題歌「Lemon」が流れるポイントが秀逸。とあるエピソードのクライマックスシーンで「夢ならばどれほどよかったでしょう」という歌詞が流れてきたときは、思わず大号泣してしまった。得田真裕が手掛ける劇伴も作品を盛り上げてくれる。
星野源×綾野剛の“バディもの”「MIU404」
そんなアンナチュラルに続いて塚原×野木×米津のコラボレーションが実現したのが'20年放送のTBS系ドラマ「MIU404」。星野源と綾野剛がW主演した作品で、こちらは警視庁の機動捜査隊(Mobile Investigative Unit)に創設された架空の臨時舞台「警視庁刑事部・第4機動捜査隊(4機捜)」が舞台。主演のふたりは、この4機捜の刑事・伊吹藍(演:星野)、志摩一未(演:綾野)を演じている。
法医解剖医を題材としていたアンナチュラルと違って、このMIU404はオーソドックスとも言える“バディ刑事モノ”。同じく4機捜の刑事である陣馬耕平(演:橋本じゅん)や九重世人役(演:岡田健史)、4機捜の隊長、桔梗ゆづる(演:麻生久美子)とともに、さまざまな事件を追いかけていく。
基本的には一話完結でありつつ、中盤からとあるひとつの事件/人物を追いかけていく。鍵を握る人物の予測できない行動の数々に、4機捜メンバーが翻弄され、時には分裂しかけながらも、真実を追っていく様子は、想像以上に引き込まれ、こちらも思わず一気見したくなる魅力を秘めている。エピソード数は全11。
今作は'20年放送の作品ながら、SNSやフェイクニュースなど現在も問題となることが多い「インターネット上の情報との関わり方」が物語に深く関わっており、今見直しても考えさせられる内容となっている。
こちらでも米津の主題歌「感電」が流れるポイントが巧みで、音楽がより作品を引き立ててくれる。劇伴もアンナチュラルと同じ得田が担当するが、ケルト音楽のようなテイストが強かったアンナチュラルに対し、より疾走感の強い楽曲が多く、こちらも作品の魅力となっている。
また、このMIU404ではアンナチュラルに登場していた刑事・毛利忠治(演:大倉孝二)や、松重豊演じるUDIラボの所長などが出演するエピソードがあるなど、世界線のつながりを思わせる仕掛けも施されていた。
映画「ラストマイル」にはドラマメインキャストも出演
そして、これらドラマ2作と世界線がつながる完全新作が映画「ラストマイル」。11月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(演:満島)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。
そして“シェアード・ユニバース・ムービー”と銘打たれた今作最大の特徴は、アンナチュラルやMIU404のキャラクターたちが、ドラマと同じ役柄で出演すること。例えば、エレナと孔が巻き込まれる連続爆破事件では、アンナチュラルでUDIラボに解剖依頼をしていた刑事・毛利忠治(演:大倉孝二)と、MIU404で“機捜”に対して厳しく接していた捜査一課の刑事・刈谷貴教(演:酒向芳)のふたりが捜査にあたる。
さらに、石原や星野、綾野など、ドラマのメインキャスト/キャラクターたちも同役で出演。アンナチュラルからはUDIラボの主要メンバーたちがそろい、連続爆破事件でラボに運ばれてきた遺体から、事件の真相を解明していく。MIU404からは“4機捜”主要メンバーたちが集結。限られた時間の中で連続爆破事件の犯人逮捕に奮闘する。
いわゆる“スピンオフ”ではない3つの作品が、こういった形でコラボレーションするのはあまり例のないこと。もちろん映画単体でも十分楽しめるはずだが、アンナチュラルとMIU404も観ていれば、より深く映画を楽しめるはずだ。
ちなみに、映画公開を記念した特番の放送も決定。満島と岡田による「撮影秘話プレミアトークSP」はTBSで8月17日16時~16時30分に、「アンナチュラル・MIU404と繋がる最強チーム大集結SP」はTBSで8月19日25時35分~26時5分に放送される。