西田宗千佳のRandomTracking
第599回
“オートフォーカス”アイウェアがバージョンアップ、「ViXion01S」の正体に迫る
2024年9月26日 10:00
昨年発売されたオートフォーカスアイウェア「ViXion01」がバージョンアップする。
名称は「ViXion01S」。レンズなどの光学系は大きく変わっていないため「01」のままだが、外観を含め大きな進化をしている。
9月26日から「Kibidango」と「GREEN FUNDING」でクラウドファンディングを開始し、価格は6万4,800円。200台までの超早期割引価格は5万9,800円で、200台までの早期割引は6万2,800円となる。
出荷は「2025年4月以降順次」。完成にはまだ少し時間がかかるのだが、試作品をいち早く試す機会を得られた。
「S」の進化がどのようなものか、早速説明してみたい。
オートフォーカスで視力を補正するViXion01
まずViXion01がどんな製品だったかおさらいしておこう。
ViXion01は「オートフォーカスアイウェア」と名付けられている。赤外線を使った距離計と、電気で焦点距離を変えられるポリマー充填型のレンズを組み合わせることで、「自分が見ている方向に合わせて自動的に焦点が変わる」機能を搭載したアイウェアになる。どんな動作イメージかは、以下のGIF画像をご覧いただきたい。
一般医療機器認定を得ておらず、運転などの用途にも使えないことから「メガネ」ではない。その仕組み上視野も狭くなるし、運転中などに安全性を確保できるほど万能なオートフォーカスではないからだ。
ただ、日常的に役に立つ存在であるのは間違いない。筆者も日常的に使っているが、手元の細かい作業をしつつ、そのまま距離の違うところを見るような場合にとても便利だ。
筆者の場合には老眼が入ってきたために便利だと感じているが、別に老眼専用というわけではなく、近視や遠視など、一般的な状況にも対応できるものだ。
見ているものが激しく動くと厳しいが、映画鑑賞や観劇には便利、という人も多い。
とはいうものの、ViXion01にも不満はいくつかあった。
自宅で使っているので派手な見た目はそれほど気にならない。それでも、もうちょい普通でいいのでは……と思う時はある。
それ以外にもデザイン面での課題はあった。
ViXion01はバッテリーが右側のツル(テンプル)に入っている関係から、左右非対称な形状をしている。その結果、かけているとアンバランスさを感じる。視野を広くするには鼻当てを広げ、目からレンズまでの距離を狭くするのがいいのだが、そうするとカーブしている本体が顔の横に当たって不快だった。
ツルを開くことで電源がオンになるので、「机の上にツルを開いて置いておく」ことでバッテリーが減ってしまうのも地味に気になった。
個人的にはそこまで大きな問題ではないのだが、「乱視の調整はできない」点も課題ではある。筆者は軽度の乱視 + 軽度の近視で、近視のみの補正でもなんとかなる。しかし乱視が強い人にとって、ViXion01は少し使いづらい製品だっただろう。
内部とデザインの見直しで使い勝手を大幅改善
ViXion01Sは、これらの課題を解決することから生まれた。
まず、デザインは「より普通のメガネ」っぽくなった。
といっても、レンズなどの光学系は大きく変わっていないから、かけた際の見え方も大きく変わったわけではない。
カバーが本体サイズに合わせた細い形状から、メガネに近い形状へと変わったのだ。今は試作品なので両面テープで止めているが、最終製品ではプラスチックの嵌合(要はツメ)で固定する。
このカバーは「アウターレンズ」の役目を果たし、アウターレンズ + ViXion01Sの補正機能で視力補正ができる。この仕組みで乱視やより強い度数への補正も可能になる。
アウターレンズはメガネチェーンなどとの協業で作れるようになる予定だというが、現状、パートナーシップなどは未公開。しかし、製品出荷までには発表されるという。
レンズ周りの機構・サイズは同じだが、本体は大幅に小さくなった。
内部基板などが徹底的に見直され、バッテリーの位置もツルから本体に移動。結果として、左右対称な形状になり、かけやすくなっている。
重量はアウターフレームなしで31g。アウターフレームありでも45gと軽量だ。Vixion01が55gだったので、最大40%の軽量化である。軽量化も含め、かけ心地の改善は大きい。
ユーザーインターフェースも少し変わった。
Vixion01は右側にホイールがあって、それを回転させて視度を調整していた。左目の調整をする際にはボタンを押して切り替える。
これはどうやら高齢者に少し難しかったということで、左右に小さな「レバー」をつける形にかわった。まず右側のレバーで両目を調整、左側の目だけを左側のレバーで調整する……という仕組みである。
距離センサーの位置も少し下に下がった。従来は「眉間の辺りで位置合わせをする」感じだったのだが、センサー位置がより目線に近い場所に変更になった結果、より自然に「見た方向に視度が調整される」感じになっている。
こうした変更は、単にデザインを変えたから実現できたわけではない。
前述のように、Vixion01Sでは内部基板の設計が一新されている。結果として小型化・軽量化が実現し、デザインも変更され、センサーやホイールの位置も変わった……ということになる。
電源のオンオフもツルの開閉ではなく近接センサーになったため、顔から外せばスリープモードになる。
これらのことから、「視野の広さ」を除いて、ViXion01で感じた不満のほとんどは解消された、といっていいだろう。
試してみた感じで言えば、「軽さ」「左右対象デザイン」の効果は大きく、かなり使いやすくなった印象だ。光学系は変わっていないのにピントが合わせやすく、下方視界が広くなったように感じられた。
アプリ連動にも秘密の仕掛けあり
基板の変更にはもう一つ大きな要素がある。
スマホアプリなどとの連携を大きく改善する狙いがあるのだ。
商品化段階では、従来通りスマホアプリと連動して設定が行なえるようになる。ただこの先では、Bluetoothを介してより複雑なコントロールを可能とすることを考えているという。
従来はファームウエアをアップデートしないと機能の追加・改良ができなかったのだが、ファームウエア自体とその上で動く設定や機能を切り離し、より細かく「できることを変えていく」構想があるという。さらには内蔵されたモーションセンサーのデータを取得し、それを機能に活かすことも想定されている。
まだ具体的な機能が示されていないので、文章だけではわかりづらいかもしれない。技術的にピンときた人だけがわかる世界だと思う。それだけで購入を決められるような要素ではない。
とはいえ、ViXion01Sは外見だけでなく中身も大幅に変更されているのは間違いない。その結果として、「将来的に、ソフトと連動して色々面白いことができる用意がされた」と考えればいいだろう。
そういう将来性もまた、ViXion01Sの特徴と言えるだろう。
実際に試してみたい人向けに、以下で実機展示も行なわれる。気になる方は足を運んでみてはいかがだろうか。
- 蔦屋家電+
営業時間 10:00〜20:00
〒158-0094 東京都世田谷区王川1丁目14−1 二子玉川ライズ・ショッピングセンター テラスマーケッ
ト 1F・2F
https://store.tsite.jp/tsutayaelectricsplus-futako/ - SHIBUYA TSUTAYA 4 階 「GREEN FUNDING タッチ&トライ」ブース
営業時間 8:00~22:00
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町 21-6 SHIBUYA TSUTAYA https://shibuyatsutaya.tsite.jp/
4 階 SHARE LOUNGE 内 - b8ta Tokyo ‒ Yurakucho
営業時間 11:00~19:30
〒100-0006 東京都千代田区有楽町1丁目7−1 有楽町電気ビルヂング南館 1階
https://b8ta.jp/store/yurakucho/ - b8ta Tokyo ‒ Shibuya
営業時間 11:00~19:30
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷 1丁目14−11 小林ビル 1 階
https://b8ta.jp/store/shibuya/ - b8ta Koshigaya Laketown
営業時間(営業時間は商業施設に準拠)
〒343-0828 埼玉県越谷市レイクタウン4丁目2−2 kaze 2階 C-205
https://b8ta.jp/store/koshigaya-laketown/ - b8ta Osaka ‒ Hankyu Umeda
営業時間(営業時間は商業施設に準拠)
〒530-8350 大阪府大阪市北区角田町8−7 阪急うめだ本店8階
https://b8ta.jp/store/hankyu-umeda/