小寺信良の週刊 Electric Zooma!

第1226回

Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語

シリーズも第2世代へ。2万円台のハイコスパスピーカー「EDIFIER MR4 MKII」はどんな音?

6月下旬より販売開始の「MR4 MKII」

シリーズ初のMarkII登場

PC向けスピーカーとして既に定番化し始めているEDIFIER。ポイントはなんといっても、コスパである。2万円台でかなりのバリエーションのスピーカーが揃っており、音質的にも間違いない高い水準を保っている。実は筆者も引っ越しを機にスピーカーを変更、現在は「EDIFIER M60」を愛用しているところだ。

EDIFIERのスピーカーは用途別にいくつかのシリーズに分かれているが、スタジオモニターであるMRシリーズは、2022年の「MR4」から始まった。2024年には小型化・Bluetooth対応化した「MR3」、2025年にはウーファを搭載した「MR5」が登場している。

そして今年は、MRシリーズの初代製品「MR4」が第2世代にアップグレード、「MR4 MKII」が登場した。価格は29,980円だ。

EDIFIERのスタジオモニター原型機は、第2世代でどういう方向になったのだろうか。早速聞いてみよう。

時代に合わせたアップデート

EDIFIER MR4 MKII(以下MR4M2)は、ブラックとホワイトの2色展開となっている。今回は私物のM60との比較のため、ホワイトモデルをお借りした。

MR4M2(左)とM60(右)の比較。微妙に色が違う

「白って200色あんねん」という話があるように、MR4M2とM60は微妙に違っており、MR4M2の方が若干オフホワイト寄りとなっている。

M60がいわゆるPCスピーカーであるのに対し、MR4M2はスタジオモニター向けの設計となっている。サイズも違うが、入力スタイルが全く違っている。M60は各種入力を切り替えるが、MR4M2は入力した音が全部同時に鳴るので、切り替えスイッチのようなものはない。またM60がUSBオーディオ対応なのに対し、MR4M2は対応しておらず、アナログ入力を重視している。

背面端子の比較。 MR4M2(左)のほうが圧倒的にアナログ端子が多い

気になるのは、初代MR4と何が違うのかというところであろう。表組みでまとめておく。

比較項目MR4M2MR4
出力80W42W
再生周波数帯域50Hz~40kHz60Hz~20kHz
中低音ドライバ4.5インチ4インチ
高音域ドライバ1インチ1インチ
信号処理バイアンプシングルアンプ
SN比89dB85dB
アナログ入力XLRバランス×
TRSバランスTRSバランス
RCARCA
3.5mm AUX3.5mm AUX
BluetoothSBC/LDAC×
音響調整背面High/Low背面High/Low
設置環境補正×
アプリ対応×
外形寸法(主)140×244×229mm140×228×197.5mm
外形寸法(副)140×244×208mm140×228×184mm
重量6.63kg4.5kg
中低音ドライバは若干サイズアップした

最大のポイントは、高域特性が伸びてハイレゾ対応になったことだろう。BluetoothコーデックもLDACに対応。出力はほぼ2倍になっているほか、中低域ドライバがサイズアップし、ツイーターとはバイアンプ接続になっている。

XLR接続は、MR5に続く搭載だ。音楽系では比較的抜き差しが楽なTRSが普及しているが、ビデオ系や固定設備の場合は圧倒的にXLRが多い。両対応なら用途は広がる。

EQは、「モニター」か「音楽」のいずれかに切り替えできる。「カスタマイズ」はこの2つのモードをベースに、9バンドのグラフィックEQで味付けを行なうという作りだ。またアプリでは「低音域周波数のカットオフ」、「音響空間」、「デスクトップ・コントロール」の3つが利用できる。

EQはモード+グライコという組み合わせ
音場補正機能も充実

「低音域周波数のカットオフ」は、余計な低域をカットするフィルターだ。設定周波数とカットオフのカーブが選択できる。「音響空間」は、スピーカーの設置位置による反射音を考慮して、低域のばたつきを抑える機能。「デスクトップコントロール」は、卓上に設置した場合の、机面からの反射音による音の濁りを減衰させる機能だ。

設置環境補正やアプリ対応など、できることはMR5と同等になった。一回り小さいMR5、という見方もできるが、さすがに初代MR4のままでは仕様としては古い。今どきの仕様に合わせたMR4、という立ち位置だろう。

モニターにもリスニングにも使えるサウンド

では早速音を聞いてみよう。最初は背面のEQはフラットで、「モニター」モードで試してみる。今回試聴したのは、Howard Jonesの久々のシングル「Stand Up」である。この曲はかつて80年代に愛用していたRolandのポリフォニックシンセサイザー「Jupiter-8」が修理から帰ってきたことがきっかけで生まれた曲で、ほぼ全編に渡ってJupiter-8のサウンドが使われている。

イントロのジョワーンというシンセブラスは80年代を象徴したサウンドだが、改めて現代のオーディオで聴くと、意外に荒く強引な音だったのに気付かされる。これもMR4M2の解像感の高さによるものだ。低音の張り出しは比較的抑えめで、ブックシェルフクラスのスピーカーとしては標準的である。

「音楽」モードに切り替えると、音が内側から開いたようなイメージで、サウンドが明るくなる。また低音の張りも良くなり、EDIFIERが得意とするリスニング向けのサウンドに変身する。音楽制作からリスニングまで、振り幅の広さがMRシリーズの魅力である。

ただモードの切り替えは、切り替えを行なって音が安定するまで5秒ぐらいかかる。瞬時に切り替わるわけではないので、モードの聴き比べの際にはご注意願いたい。

M60と聴き比べてみると、音の表現方法がかなり違っている。M60は音を前面に押し出してくる、わりと積極的なサウンドだが、MR4M2には耳障りのいい奥行き感があり、音が立体的である。このあたりはエンクロージャの大きさや、ツイーター周囲のディンプルといった工夫が効いてくるようだ。

高音域を拡散するディンプル

背面のハイ・ローのEQは、±6dBの可変が可能だ。目一杯回すとかなり違うなと感じるが、効き具合としては、いわゆるプリメインアンプのトーンコントロールの半分ぐらいという印象だ。

ノブが裏側で、アプリからは調整できないので、しょっちゅう動かすものではない。音を作るというよりは、ちょっとした補正に使うという考え方だろう。昨今のイヤフォン・ヘッドフォンのEQがかなり大きく効くのに比べれば、やはりモニタースピーカーらしく、基準から大きく外れない設計になっている。

デジタル入力をどうするか

ここからはちょっと余談である。

MRシリーズはコスパが高いので、パソコン用のリスニングスピーカーとして使いたいという人もいるだろう。今回はBluetoothのLDAC入力が追加されたが、USB入力がないので、パソコンとは繋ぎにくい。パソコンからXLRで繋ごうとするなら、これまでは数万円のDTM用オーディオインターフェースを用意する必要があった。

筆者もそのあたりの出費は痛いなと思っていたところだが、調べてみると昨今はDACもケーブル型の商品が多数存在するようだ。一例としてご紹介すると、筆者が購入したSinLoonというメーカーのUAB-C to XLRケーブルは、USC-Bケーブル端子内に32bit/384kHzのDACを内蔵している。

DACチップの小型化により、見た目ほぼケーブルだけの製品も存在する

ケーブルなのでレベル調整などの機能は一切ないが、パソコンのUSB-C端子からXLRへ直接入力できるので、手軽に使えるのが魅力だ。価格は2,000円ちょっとだったが、Amazon等では同様のケーブルがいくつもある。

おそらくはスマートフォン用に作られているのだと思うが、パソコンからスピーカー出力への新しい形として、こうしたものを試してみるのも面白いのではないだろうか。

総論

MR4M2はサイズ的には一般的なブックシェルフ型なので、比較的設置しやすいのがポイントだ。DTMなど音楽制作をやる人には、ちょうど使いやすいサイズだろう。

一方昨今はスペースパフォーマンス、いわゆるスペパが求められる時代でもあるので、 リスニング用途はブックシェルフでもデカいというご意見もある。特にPCのモニターサイドに置くなら、M60ぐらいの小型スピーカーの人気が高いところだ。

今回はM60とMR4M2を聴き比べてみたが、M60はリスニング向けの派手な音作りだ。小音量でも楽しめるのがポイントだが、大音量だと聴き疲れする傾向がある。

一方MR4M2はスタジオ向けということもあり、モニターモードでは音の派手さを抑えて端正なサウンドで、大音量でも聴き疲れしない。音楽モードにすれば音が派手になり、リスニングでも使えるという、2WAY設計が魅力だ。

入力切り替えもないので、多数のソースを繋いでおいて全部鳴るようにできる。その点ではまさに音モニターである。

用途の多彩さや、音の聞きやすさを求める方は、多少大きいがMシリーズよりもMRシリーズを選ぶのもいい選択だろう。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田のマンデーランチビュッフェ」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。