小寺信良の週刊 Electric Zooma!
第1226回

シリーズも第2世代へ。2万円台のハイコスパスピーカー「EDIFIER MR4 MKII」はどんな音?
2026年7月16日 08:00
シリーズ初のMarkII登場
PC向けスピーカーとして既に定番化し始めているEDIFIER。ポイントはなんといっても、コスパである。2万円台でかなりのバリエーションのスピーカーが揃っており、音質的にも間違いない高い水準を保っている。実は筆者も引っ越しを機にスピーカーを変更、現在は「EDIFIER M60」を愛用しているところだ。
EDIFIERのスピーカーは用途別にいくつかのシリーズに分かれているが、スタジオモニターであるMRシリーズは、2022年の「MR4」から始まった。2024年には小型化・Bluetooth対応化した「MR3」、2025年にはウーファを搭載した「MR5」が登場している。
そして今年は、MRシリーズの初代製品「MR4」が第2世代にアップグレード、「MR4 MKII」が登場した。価格は29,980円だ。
EDIFIERのスタジオモニター原型機は、第2世代でどういう方向になったのだろうか。早速聞いてみよう。
時代に合わせたアップデート
EDIFIER MR4 MKII(以下MR4M2)は、ブラックとホワイトの2色展開となっている。今回は私物のM60との比較のため、ホワイトモデルをお借りした。
「白って200色あんねん」という話があるように、MR4M2とM60は微妙に違っており、MR4M2の方が若干オフホワイト寄りとなっている。
M60がいわゆるPCスピーカーであるのに対し、MR4M2はスタジオモニター向けの設計となっている。サイズも違うが、入力スタイルが全く違っている。M60は各種入力を切り替えるが、MR4M2は入力した音が全部同時に鳴るので、切り替えスイッチのようなものはない。またM60がUSBオーディオ対応なのに対し、MR4M2は対応しておらず、アナログ入力を重視している。
気になるのは、初代MR4と何が違うのかというところであろう。表組みでまとめておく。
| 比較項目 | MR4M2 | MR4 |
| 出力 | 80W | 42W |
| 再生周波数帯域 | 50Hz~40kHz | 60Hz~20kHz |
| 中低音ドライバ | 4.5インチ | 4インチ |
| 高音域ドライバ | 1インチ | 1インチ |
| 信号処理 | バイアンプ | シングルアンプ |
| SN比 | 89dB | 85dB |
| アナログ入力 | XLRバランス | × |
| TRSバランス | TRSバランス | |
| RCA | RCA | |
| 3.5mm AUX | 3.5mm AUX | |
| Bluetooth | SBC/LDAC | × |
| 音響調整 | 背面High/Low | 背面High/Low |
| 設置環境補正 | ○ | × |
| アプリ対応 | ○ | × |
| 外形寸法(主) | 140×244×229mm | 140×228×197.5mm |
| 外形寸法(副) | 140×244×208mm | 140×228×184mm |
| 重量 | 6.63kg | 4.5kg |
最大のポイントは、高域特性が伸びてハイレゾ対応になったことだろう。BluetoothコーデックもLDACに対応。出力はほぼ2倍になっているほか、中低域ドライバがサイズアップし、ツイーターとはバイアンプ接続になっている。
XLR接続は、MR5に続く搭載だ。音楽系では比較的抜き差しが楽なTRSが普及しているが、ビデオ系や固定設備の場合は圧倒的にXLRが多い。両対応なら用途は広がる。
EQは、「モニター」か「音楽」のいずれかに切り替えできる。「カスタマイズ」はこの2つのモードをベースに、9バンドのグラフィックEQで味付けを行なうという作りだ。またアプリでは「低音域周波数のカットオフ」、「音響空間」、「デスクトップ・コントロール」の3つが利用できる。
「低音域周波数のカットオフ」は、余計な低域をカットするフィルターだ。設定周波数とカットオフのカーブが選択できる。「音響空間」は、スピーカーの設置位置による反射音を考慮して、低域のばたつきを抑える機能。「デスクトップコントロール」は、卓上に設置した場合の、机面からの反射音による音の濁りを減衰させる機能だ。
設置環境補正やアプリ対応など、できることはMR5と同等になった。一回り小さいMR5、という見方もできるが、さすがに初代MR4のままでは仕様としては古い。今どきの仕様に合わせたMR4、という立ち位置だろう。
モニターにもリスニングにも使えるサウンド
では早速音を聞いてみよう。最初は背面のEQはフラットで、「モニター」モードで試してみる。今回試聴したのは、Howard Jonesの久々のシングル「Stand Up」である。この曲はかつて80年代に愛用していたRolandのポリフォニックシンセサイザー「Jupiter-8」が修理から帰ってきたことがきっかけで生まれた曲で、ほぼ全編に渡ってJupiter-8のサウンドが使われている。
イントロのジョワーンというシンセブラスは80年代を象徴したサウンドだが、改めて現代のオーディオで聴くと、意外に荒く強引な音だったのに気付かされる。これもMR4M2の解像感の高さによるものだ。低音の張り出しは比較的抑えめで、ブックシェルフクラスのスピーカーとしては標準的である。
「音楽」モードに切り替えると、音が内側から開いたようなイメージで、サウンドが明るくなる。また低音の張りも良くなり、EDIFIERが得意とするリスニング向けのサウンドに変身する。音楽制作からリスニングまで、振り幅の広さがMRシリーズの魅力である。
ただモードの切り替えは、切り替えを行なって音が安定するまで5秒ぐらいかかる。瞬時に切り替わるわけではないので、モードの聴き比べの際にはご注意願いたい。
M60と聴き比べてみると、音の表現方法がかなり違っている。M60は音を前面に押し出してくる、わりと積極的なサウンドだが、MR4M2には耳障りのいい奥行き感があり、音が立体的である。このあたりはエンクロージャの大きさや、ツイーター周囲のディンプルといった工夫が効いてくるようだ。
背面のハイ・ローのEQは、±6dBの可変が可能だ。目一杯回すとかなり違うなと感じるが、効き具合としては、いわゆるプリメインアンプのトーンコントロールの半分ぐらいという印象だ。
ノブが裏側で、アプリからは調整できないので、しょっちゅう動かすものではない。音を作るというよりは、ちょっとした補正に使うという考え方だろう。昨今のイヤフォン・ヘッドフォンのEQがかなり大きく効くのに比べれば、やはりモニタースピーカーらしく、基準から大きく外れない設計になっている。
デジタル入力をどうするか
ここからはちょっと余談である。
MRシリーズはコスパが高いので、パソコン用のリスニングスピーカーとして使いたいという人もいるだろう。今回はBluetoothのLDAC入力が追加されたが、USB入力がないので、パソコンとは繋ぎにくい。パソコンからXLRで繋ごうとするなら、これまでは数万円のDTM用オーディオインターフェースを用意する必要があった。
筆者もそのあたりの出費は痛いなと思っていたところだが、調べてみると昨今はDACもケーブル型の商品が多数存在するようだ。一例としてご紹介すると、筆者が購入したSinLoonというメーカーのUAB-C to XLRケーブルは、USC-Bケーブル端子内に32bit/384kHzのDACを内蔵している。
ケーブルなのでレベル調整などの機能は一切ないが、パソコンのUSB-C端子からXLRへ直接入力できるので、手軽に使えるのが魅力だ。価格は2,000円ちょっとだったが、Amazon等では同様のケーブルがいくつもある。
おそらくはスマートフォン用に作られているのだと思うが、パソコンからスピーカー出力への新しい形として、こうしたものを試してみるのも面白いのではないだろうか。
総論
MR4M2はサイズ的には一般的なブックシェルフ型なので、比較的設置しやすいのがポイントだ。DTMなど音楽制作をやる人には、ちょうど使いやすいサイズだろう。
一方昨今はスペースパフォーマンス、いわゆるスペパが求められる時代でもあるので、 リスニング用途はブックシェルフでもデカいというご意見もある。特にPCのモニターサイドに置くなら、M60ぐらいの小型スピーカーの人気が高いところだ。
今回はM60とMR4M2を聴き比べてみたが、M60はリスニング向けの派手な音作りだ。小音量でも楽しめるのがポイントだが、大音量だと聴き疲れする傾向がある。
一方MR4M2はスタジオ向けということもあり、モニターモードでは音の派手さを抑えて端正なサウンドで、大音量でも聴き疲れしない。音楽モードにすれば音が派手になり、リスニングでも使えるという、2WAY設計が魅力だ。
入力切り替えもないので、多数のソースを繋いでおいて全部鳴るようにできる。その点ではまさに音モニターである。
用途の多彩さや、音の聞きやすさを求める方は、多少大きいがMシリーズよりもMRシリーズを選ぶのもいい選択だろう。










