いよいよ発売される「PSPgo」を触ってみた
-Bluetoothも体験。“気軽に持てる”が武器
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)から、11月1日に発売される新型PSP「プレイステーション・ポータブル」go(PSP-N1000/以下PSPgo)。大幅な小型化を実現すると同時に、PSPに搭載されていたUMDドライブを省き、代わりに16GBのフラッシュメモリを内蔵。ネットワークからゲームや動画をダウンロードする事をメインにした、新しいPSPの利用スタイルを提案するモデルだ。
SCEにて発売前に触ることができたので、その特徴を写真をメインに紹介したい。また、簡単ではあるがPSPgoの新機能であるBluetoothも体験してみた。
■ 小型筐体や液晶品質をチェック
まずパッケージから見ていこう。筐体の小型化に伴い、箱もコンパクトに仕上がっている。白地に青いラインを採用しており、9月に発売された新型「PlayStation 3」(CECH-2000A)の、白地に赤いラインと良く似たデザインを採用している。
大きく「16GB」と内蔵メモリ容量が記載されているのが特徴で、同時に赤文字で「本機ではUMD版のソフトウェア(ゲーム/ビデオ等)は再生できません」という注意書きが書かれている。
PSPgoのパッケージ。右下に赤文字でUMDが利用できない事が書かれている | 新型PS3のパッケージ。デザインの統一が行なわれている |
同梱品はACアダプタ、専用のUSBケーブル、そして転送・管理ソフトウェアのMedia Goが収録されたCD-ROMのみで非常にシンプル。大容量メモリを内蔵しているため、メモリースティックは付属していない。
カラーリングはピアノ・ブラックとパール・ホワイトの2色。最大の特徴はサイズだ。UMDドライブを排除し、液晶画面サイズを4.3型から3.8型に縮小することで体積比で約50%、重量比で約40%軽量化を実現。PSP-3000(PSP)が約71.4×169.4×18.6mm(縦×横×厚さ)、約189gだったのに対し、PSPgoは69×128×16.5mm(同)、重量は158gとなっている。
カラーはパール・ホワイト(左)とピアノブラック(右)の2種類 | PSP-3000とサイズ比較したところ | 外観からわかる新機能として、画面脇右上にBluetooth機能利用時に光るランプを備えている |
スライド式の操作ボタン部 |
ゲームショウなどで実際に手にした人も多いと思うが、写真で見ていたよりも“小さい”と感じるだろう。スライドさせて操作ボタンが配列されている側のプレートを出してもその印象は変わらず、PSPが両脇から掴んでホールドするのに対し、PSPgoは指先でつまんで持つような印象だ。
小型化した事で凝縮感が高まり、高級感はPSPよりも高い。スライドを閉じると、iPhone 3G/3GSよりも一回り大きい程度で、ワイシャツの胸ポケットに簡単に収められる。PSPはその長さゆえ、ポケットに仕舞うのは難しいが、PSPgoならば手ぶらの時も上着のポケットなどに簡単に収められる。この違いは大きい。
上からPSPgoとiPhone 3GSを並べたところ | iPhone 3GSを上に重ねたところ。PSPgoの方が一回り大きい | 薄さの違い。左がiPhone 3GS。右がPSPgo |
液晶ディスプレイのサイズは4.3型から3.8型に小さくなったが、解像度は480×272ドットで変わらない。そのため、同じ画像を表示すると凝縮感があり、PSPgoの方がより精細に見える。どちらも輝度を最大にして比べてみたが、PSPgoの方が明るく、比較した固体では発色もクリア。PSPはホワイト部分が若干赤味がかっているが、PSPgoのホワイトは純度が高い。より精細に見えるのはコントラストが高い事も関係しているだろう。
なお、JPEG画像を表示している際に気付いたのだが、PSPgoとPSP-3000で同時にボタンを押すと、画像が表示されるまでのスピードがPSPgoの方が一拍速い。0.5秒程度の違いだが、キビキビとした動作は好印象だ。
PSP-3000の液晶と表示品質を比較。若干輝度が高く、ホワイトの純度も高い |
操作ボタンの配置は液晶下部になったが、基本レイアウトはPSPと同じ。アナログパッドも装備している。液晶下部にあったスタートとセレクトボタンは、スライド筐体側に移動。液晶左下部にあったPSボタンは、液晶左側に移動した。大きく変わったのはボリュームや輝度調整、サウンドボタンで、全て天面に配置している。
ホールド機能を備えたスライド式の電源ボタンはPSPと同じ右側面。左側面には無線LAN(IEEE 802.11b)のスイッチと、メモリースティック マイクロ(M2)用スロットを備えている。メモリースティック PRO デュオからメモリースティック マイクロに変更されたのも大きなポイントだが、本体メモリが16GBあるため、利用する機会はPSPよりも減るかもしれない。左側面にはストラップホールも備えている。
天面。L/Rボタンだけでなく、ボリュームコントロールや輝度、サウンドボタンもここに配置している | 左側面には無線LANのスイッチとメモリースティック マイクロ(M2)用スロットを用意 | 右側面にはスライド式の電源ボタンを用意する |
底面。ステレオミニのヘッドフォン出力とUSB/AV兼用の端子を備えている |
スピーカーは液晶の両脇にステレオで装備。底面にはAV出力やUSBなどを兼用したマルチ端子とヘッドフォン出力を備えている。付属の専用USBケーブルをマルチ端子に接続し、PCとの接続が可能。本体をUSBモードにするのはPSPと同じで、PCからPSPの本体メモリと、メモリースティック マイクロスロットがドライブとして認識できる。USB経由での充電も可能だが、付属のACアダプタとUSB接続しての充電も可能。ACアダプタは細身で、電源プラグ部が着脱可能。取り外すとメガネ型インレットの電源ケーブルも接続できるようになっている。
付属の専用ケーブルでPCとUSB接続しているところ | 付属のACアダプタは細身のタイプ | 付属のUSBケーブルを使って充電できる |
基本機能はPSPとほぼ同じで、XMB(クロスメディアバー)で各種操作が行なえる。XMBはスライドボディを開くと表示され、閉じるとグラフィカルな時計が現れる。これはPSPgoオリジナルアプリケーションであり、カレンダー表示も備えている。充電スタンドなどに設置した際は重宝しそうだ。
また、ゲームプレイ中にスライドを閉じると、「ゲームスリープ」と呼ばれるPSPgo独自機能が利用できる。ゲームを一時中断する機能で、プレイしていたままの状態でスライドを閉じると「一時中断する」か「ゲームを終了する」が選べ、「中断」を選択すると、XMBにゲーム途中のデータがカプセルとして保持される。再開したい場合はこのカプセルを選ぶという流れだ。
ゲームスリープ機能も搭載。ゲームを一時中断することができる | 中断しているところ | 中断したデータはXMBから確認/起動できる |
■ Bluetooth機能を体験
Bluetoothスピーカーと接続してみる |
Bluetoothの設定はXMBの設定内に用意されており、「Bluetooth接続」を「入」にしてから、「Bluetooth機器管理」画面に移り、機器の登録や削除を行なう。接続相手としてA2DP/AVRCP/HFP/HSPに対応したリテールコムのBluetoothスピーカー「BIT-STB2825」を用意。スピーカーをペアリングモードにしてから、PSPgoで機器を検索。PINコードを入力すると無事接続できた。
XMBからBluetooth機器の検索機能を利用 | Bluetooth機器の登録画面。PS3のコントローラも活用できる | 検索してBIT-STB2825を登録しているところ |
再生音楽だけでなく、XMBの移動音やゲームのサウンドもBluetoothスピーカーから出力される。Bluetoothスピーカー側からの操作にも対応しており、一時停止や曲送りなどの制御も可能だった。屋外で利用する場合はBluetoothイヤフォンを組み合わせると、ワイヤレスで快適なゲームができるだろう。
スピーカー側から楽曲再生の制御が行なえる | スピーカーは液晶ディスプレイ脇に搭載 |
システムソフトウェア6.10にワンセグアイコンは用意されていた |
周辺機器としては今後も、Bluetoothステレオヘッドセットレシーバ「PSP-N270」(4,980円)や、コンバーターケーブルアダプタ「PSP-N440」(1,980円)、カーアダプタ「PSP-N380」(1,980円)などが12月23日に発売。コンバーターケーブルアダプタはPSP用に発売されたUSB接続の周辺機器をPSPgoで利用するためのもので、「ワンセグチューナ」、「GPSレシーバ」、「カメラ」(「ちょっとショット」に同梱)などが接続できる。なお、試用したPSPgoのシステムソフトウェアは6.10だが、ワンセグアイコンはXMB内に既に表示されていた。
左からAVケーブル(コンポジット)「PSP-N150」、D端子ケーブル「PSP-N170」、右はUSBケーブル「PSP-N430」 | 東京ゲームショウ2009で展示された、Bluetoothステレオヘッドセットレシーバ「PSP-N270」 | 同じくゲームショウで展示された、コンバーターケーブルアダプタ「PSP-N440」 |
クレードル「PSP-N340」も同時発売される |
■ 「気軽に持ち運べる」が最大の武器
現在、PlayStation Network(PSN)はPSPから直接アクセスできるようになっており、有料の動画配信やゲームなどを気軽に購入できるようになっている。大容量の本体メモリを活かし、多数のゲームをインストールし、動画や音楽も保存。本体のみを気軽に持ち歩く……というのがPSPgoの基本的な使い方になるだろう。
既報の通り、従来のPSPユーザーが既に所有しているUMDソフトをPSPgoで遊べるようにする施策の導入は残念ながら見送られたが、SCEではPSPgo購入者に対し、14タイトルのゲームの中から、好きなタイトルを1つ無料でダウンロードできる「PSPgoスタートキャンペーン」を実施。コミック配信や配信動画のジャンル増加と共に、今後もPSNのダウンロードゲームを充実させていく。
PSPgoでPSNのビデオ配信ページにアクセスしたところ | PSPgo単体でビデオやゲームなどがダウンロードできる |
ダウンロード先に本体メモリを指定しているところ | ダウンロード中の画面 |
PSPgoの最大の武器は“小型・軽量化”だが、ゲームソフトを複数持ち歩く場合、複数のUMDも持ち歩かなくて済むというのも見逃せないポイント。だが、気になるのは26,800円という価格。特にPSP-3000は10月1日から16,800円に値下げされており、価格差が拡大。9月に発売された低価格な新型PS3は29,980円で「あと3,000円足せばPS3が買える」というのも高価に感じる要因だろう。
PSP-3000に大容量メモリを追加すればPSPgoと同じような使い方は可能になるが、16GBのメモリースティック PRO デュオを追加購入する場合6,000円~8,000円程度はかかるので、PSPgoが必ずしも“高すぎる”とは言えない。そもそも、安かろうが高かろうが、使わなければ意味がない。個人的には実機に触れ、可搬性の良さを実感すると、“これもアリだな”と感じた。PSPのサイズゆえ「今日は持っていかなくていいや」と思った事がある人は、一度店頭で触ってみる価値があるだろう。
(2009年 10月 30日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]