プレイバック2016

配信からノートPCまで、急速に“2つのA社”依存度が高まった1年 by 小寺信良

 AV機器という点では例年通り今年も様々な商品が市場を賑わしたが、個人の生活を見渡してみると、以外に「モノ」は増えていない。だが、新しいサービスやソリューションで生活が大きく変わった1年だったように思う。

すっかりテレビに取って変わったAmazon FireTV

 以前からそういう傾向があったのだが、うちではほとんどテレビを見なくなった。ダイニングに置いてあるテレビは、とうとう1週間一度も電源を入れないという事も珍しくなくない。待機電力が勿体ないので、もう主電源からOFFでいいかもしれない。

 では映像コンテンツを見なくなったのかというと、その逆だ。うちではNetflix、Amazon プライム・ビデオ、Huluの3つを契約しており、それらがいつもフル稼働だ。

 PCモニタとして使っている4KテレビにAmazon FireTVを繋いでいるので、上記3サービスはすべてFireTV経由で視聴している。毎日の仕事終わりには、日本酒をちびちびやりながらAmazon Primeビデオで「GRIMM」を1本見てから寝るというのが習慣である。いよいよシーズン4も配信が開始され、この正月休みにじっくり取り組む所存である。

 お笑いでは歴代の「M-1グランプリ」が配信されているのも見逃せないところだ。いや毎回見逃してはいないのだが、その年の頂点とも言えるお笑いのパフォーマンスを振り返りつつ堪能できる時代が来ようとは。

 娘も自分のiPhoneやiPadで、「おそ松さん」をはじめとするアニメ作品を楽しんでおり、案の定腐女子化している。今や学校での話題も、テレビ由来のものは少なくなっており、それよりもYouTubeや配信サービスがそれに取って代わっている。そもそもテレビしか見てなければ、ピコ太郎のブームも知らないままだろう。

 考えてみれば4Kディスプレイも、テレビチューナなしで低価格大型モデルが登場し始めているし、FireTVが繋がれば十分だ。いっそのことうちのテレビは全部売り払って、NHKを解約してもいいだろう。もちろんNHKがネットでサイマル放送を始めれば、その際には喜んでネット配信料を払う所存だ。

 Amazonは買い物で活用しているのは、言うまでもない。ネコのトイレ砂やシートも定期便で届くので手間なしだし、加湿器やコタツ布団など、あっそういえばアレがいる! と思えば翌日には届くわけだから、ほぼ毎日何かしらの宅急便が届く生活である。

 加えて大きかったのは、Kindle Unlimitedのスタートだ。ちょこっとした空き時間にマンガを読みまくり、結果的にはKindleの有料書籍も躊躇なく買うようになった。まさに撒き餌に釣られた状態である。さらには自分らのメルマガまでもがKindle Unlimitedで売られ、まさかの販売者側としてAmazonと付き合うようになるとは思わなかった。

予想外のApple依存

 Amazonに加えてもう一つのA社とは、Appleである。今年9月にiPhone 7/7Plusが発売され、連載でもカメラ性能をレビューしたところだが、実によく撮れる。

 特に筆者はiPhone 6からの乗り換えであったため、光学手ぶれ補正の恩恵は大きかった。これまで展示会の写真は、デジカメで撮影していたのだが、後から見るとAFが外れていて困ったケースが少なくなった。深度があっていい写真ではあるのだが、展示会の記事写真としては、そこまで情緒は必要ない。

 取材写真撮影をiPhone 7 Plusに切り換えたら、これがまたAFを外すことなく、手ブレもなくものすごく安定して写る。時間がなくてパッと撮るという用途では、これ最強かよと舌を巻いた。

新しいカメラの性能に舌を巻く

 今年は動画レポートの依頼も増えたが、いろんなスタイルをテストしたものの、一番軽量で安定しているのは、iPhone 7 Plusでの撮影だった。DJIのOsmo Mobileも導入し、立ちレポや移動撮影の機材重量が半分ぐらいに減った。

 コンテンツ視聴面でも、防水機能が付いたのは大きい。お風呂の中で安心して、動画1本の消化が可能になった。

 また今年11月に発売された新MacBook Proに買い換えたことで、原稿書きのスタイルにも変化が出てきた。外部接続に変換コネクタが沢山必要として不評な面もあるが、USB-C端子経由でモバイルバッテリーから電源が供給できるようになった。ということは、かさばるACアダプタを持ち歩かなくても、モバイルでの稼働時間が大幅に伸びるということである。

安心のモバイル仕事を可能にしたMacBook Pro

 以前は午前中の取材から夕方の別取材まで時間があるときは、いったん家に帰っていたが、最近はネットカフェに長居して仕事をすることを覚えた。スタバのほうが格好いいのは承知だが、個室のリクライニング席のほうがゆっくりできる。ノートPCごときでライフスタイルは変わらないだろうと思っていたのだが、仕事のスタイルは変わりつつある。

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小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「金曜ランチビュッフェ」(http://yakan-hiko.com/kodera.html)も好評配信中。