レビュー

Amazon Musicで始める“聴く読書”。Audibleに最適なイヤフォンは密閉か、オープンか?

最近、Amazon Musicで「Audible」が聴けるようになったのを知っていますか?

6月26日から始まったこの新サービスでは、Amazon Music Unlimited会員なら、90万作品以上あるAudibleの対象作品から、毎月1冊を追加料金なしで楽しめるんです。

Audibleは、小説やビジネス書などを音声で読み上げてくれるオーディオブックサービス。日本では2015年にスタートし、“聴く読書” という新しい本との向き合い方として定着しています。

これまでずっと気になっていたものの、二の足を踏んでいた私。理由は、月額1,500円という料金です。普段から読書習慣があったわけじゃないし、すでに映像や音楽のサブスクも複数契約している中で、さらなる追加はちょっと……。

そんな時に舞い込んできたのが、今回の「毎月1冊聴き放題」というニュース。Audibleを試す絶好のチャンスがやってきました!

Audibleを試したいけど、二の足を踏んでいた人に朗報!毎月一冊って、ちょうどいい始め方ですよね

さっそく聴こうと思ったのですが、そこで一つ疑問が浮かびました。「Audibleを聴くのに “ベストなイヤフォン” ってなんだろう?」

“聴く読書”に最適なのはどっちだ?密閉型 vs オープンイヤー

「いや、普段のイヤフォンで聴けばいいのでは?」もちろん、それも正解です。でも、「音楽を聴く」と「本を聴く」って、目的がちょっと違う気がしませんか? そうなると、最適な “手段” も変わってくるかも……と思ったんです。

Amazon Musicのアプリを開くと、トップ画面に人気のオーディオブックコーナー。上部の「audible」ロゴをタップすれば、一覧ページに飛べます

Audibleの魅力は、何かを「しながら」本を楽しめるところ。テレビCMでも、運動や花の水やりをしながら、本を聴く様子が描かれていますよね。

そう考えると、「オープンイヤー型」イヤフォンは理想的かも。耳を塞がずに音が聴ける開放的な装着感は、“ながら聴き” にぴったりです。

でも、周囲の音が聞こえている環境って、読書に良いのでしょうか? 音楽はBGMのように楽しめるけれど、Audibleでは本の内容を知りたくて聴いているから、音声に集中したい。だとすれば、耳を塞ぐようにして装着する「密閉型」イヤフォンの方が良さそうに思います。

しかし、密閉型イヤフォンは耳が痛くなったり、蒸れたりしやすく、長時間使うと “耳カビ” のリスクも高まるとか。特に夏場は気になりますよね。

ああ、悩ましい!開放感のオープンイヤーか、集中力の密閉型か。悩んでないで、まず試してみようということで、ようやく聴き比べてみることにしました。

手持ちイヤフォンで比較。オープンイヤー代表は、Shokz「OpenDots ONE」

Shokz「OpenDots ONE」(写真左)と、Technics「EAH-AZ100」(写真右)で“聴く読書”してみた

今回、手持ちのイヤフォンの中から選んだのは、Shokzのオープンイヤー型ワイヤレスイヤフォン「OpenDots ONE」と、Technicsの密閉型完全ワイヤレスイヤフォン「EAH-AZ100」です。

まずは、今回新しく入手した、オープンイヤー型の「OpenDots ONE」から試してみました。

骨伝導で知られるShokzですが、「OpenDots ONE」は音が空気を伝って耳に届く(空気伝導)タイプのイヤフォン。ボール状のスピーカー部分を耳内に向け、挟むようにして装着するイヤーカフ式デザインを採用しています。

「OpenDots ONE」は耳にかけるタイプではなく、イヤーカフのように耳に挟むようにして装着するタイプのイヤフォン

実は私、オープンイヤーが少し苦手で……。特に耳かけタイプは、装着時の不安感がどうも拭えず、ヒヤヒヤするので使えなかったんです。だけど、イヤーカフ型はしっかり挟み込むことで、着けていて安心できそう。それが購入の決め手になりました。

着けてみると、約6.5gの本体はとても軽く、装着感は想像以上にふんわり。開放感は抜群で、本当に耳が楽!密閉型で耳を塞ぐのに、違和感やストレスを感じているなら、オープンイヤーの軽やかな着け心地は魅力です。

カーブした部分をクイッと開くようにして着けます。挟まれた感じはあるけれど、この時は特に痛みもなし

なお、挟まれている感覚はちゃんとあって、何も着けていないみたい!とまでは言えません。長時間使えばやはり多少疲れますね。

肝心の音質ですが、想像以上にめっちゃ聴こえる……!オープンイヤーは構造上、音が外に抜けやすいものですが、しっかり耳に音が届きます。独自のBassphereテクノロジーによって低音もバッチリ。音楽も聴いてみましたが、音の不足を感じることなく、いつも通り楽しめました。

今回選んだのは「秒で伝わる文章術」。文章力をアップさせたくて、学び系の本を選びました!

本題のAudibleで本を聴いてみると、これまた聴き取りやすくて、いい!音声がクリアに届き、音の密度感も十分。イコライザーモードは「スタンダード」のまま聴きましたが、より声を際立たせる、オーディオブック向きの「ボーカル」もあります。Shokzアプリから選べるので、集中力を高めたいときは「ボーカル」を選び、少し音量を上げるといい感じです。

特に良かったのは、家の中での “ながら聴き”。洗い物やストレッチ、メイクの時間まで、読書タイムに早変わりします。

特に「食事をしながら」は、オープンイヤー型が適しているシーンの一つ。密閉型の場合、食べ物を噛む音や、飲み物を飲み込む音などが耳に響いてきてしまうけれど、オープンイヤーではそれが一切なくて、音声に集中できます。家中以外に、カフェでも活躍しますね。

愛猫と遊びながら。まあこの場合は、あんまり音声に集中はできません

外でも試してみたところ、車通りの少ない路地やカフェで過ごしたりする時なら、問題なく音声が聴こえます。使う前に思っていた印象よりも、「ちゃんと聴こえる」ことに感動しました。

音漏れも、独自の「Shokz DirectPitchテクノロジー」のおかげで、かなり抑えられているよう。隣を歩いていたパートナー曰く「だいぶ近寄らないと聞こえないし、近寄っても風の音みたいな感じ。音声かどうかは全くわからん」とのこと。これなら安心できますね。

ただ、大通り沿いや駅のホームなど騒がしい環境では、たびたび音声がかき消され、「今聴こえなかったな……」と何度も戻って再生し直すことに。常に聴こえるようにと思ってスマホの音量を引き上げていくと、「音が大きすぎる」とアラートが出てしまって、「移動中」の聴く読書には、向いていないなと思いました。

それと、使っていて気になったのは、髪を耳にかけるとき。指がイヤフォンの後ろ側に触れてしまい、位置がズレるんです。そうすると、耳内のボール型部分の位置もズレて、聴こえ方のバランスが崩れることに……。耳かけタイプでもイヤーカフタイプでも、そこは気をつけたいところです。

耳の中に熱がこもるような感覚は、もちろん無し。開放感のある着け心地というのは、やっぱり楽です

とはいえ、蒸れにくさや着け外しのしやすさは、夏の今時期にも嬉しいポイント。仮に耳に汗が垂れてきても、するっと外して汗を拭き、すぐまたぱっと着けられる。そんな軽快な使い心地は、オープンイヤーのメリットだと感じました。

密閉型の代表は、Technics「EAH-AZ100」。我が最愛の一台は果たして……

一方で、Technicsの「EAH-AZ100」は、2025年至高の一台!と思っている愛用モデル。以前にもレビューさせてもらいましたが、これ、ほんと好きなんですよね~。

私史上No.1イヤフォン「EAH-AZ100」。はい、素敵。今日も好きです

最上位モデルとして、音も機能も一切妥協なく作られた「EAH-AZ100」。様々な技術が詰め込まれているのにコンパクトで、質感も高く、手に取るたびにうれしくなるデザインも魅力。購入から半年以上経ちましたが、変わらず推しのイヤフォンです。

特に「装着感の良さ」は一押しポイント。密閉型なので、もちろんオープンイヤーと比べたら「そこに在る」感は強いけれど、人間工学に基づいて工夫された形状のおかげで、フィット感は抜群。密着するけど圧迫感はない、ちょうど良さが魅力です。

ピッタリ装着できるから、「落としたら…」なんて不安やストレスとは無縁です

全く疲れないわけじゃないんだけれど、「長く着けていても案外いけちゃうんだよね〜」という感じ。オープンイヤーのふんわりした装着感が「楽」を超えて、「不安」になりやすい人には、やっぱり “自分の耳に合う密閉型イヤフォン” がおすすめかなと思います。

音質については、オーディオに詳しくない人だって、一度聴けば「明らかに音がいい」と分かる高音質っぷり。私は、この音がすごく好きです。

だから、多少ひいき目が入っているかもしれませんが、Audibleで本を聴いても、やっぱり変わらず、音がいい!中高域のクリアさは秀逸で、声の輪郭がはっきりとしつつも刺さる感じはなく、想像通り音声に集中できます。

やっぱり集中力が保たれるのは密閉型

密閉型のメリットは、その良い音を “余さず聴ける” ということ。耳穴が塞がれることで、情報量が削れることがほとんどなく、音量を上げなくても内容がしっかり入ってきます。最近のオープンイヤーも聴き応えがあるけれど、やっぱり音の密度と情報量は、密閉型が強いですね。

今回はノイズキャンセリング機能は使わず、外の音を取り込むヒアスルーの状態で聴いたのですが、周辺が多少うるさくても、聴き取りやすさは健在。交通量の多い大通り沿いや、地下鉄の中でも、外の音が聞こえていながら「ちゃんと内容がわかる」んです。オープンイヤーでは苦手だった「移動」のシーンも、余裕です。

車のロードノイズにも、強い風にも負けないのが密閉型。通り沿いを歩きながら、地下鉄に乗りながらでも、集中できるのが良かったです

というか、密閉型のイヤフォンで音声が聴き取りにくいシーンは、ほぼ無いに等しいのではないでしょうか。実際、家の中で使っても外で使っても、どんな場面でも集中して本を読む(聴く)ことができました。

唯一苦手なのは、やはり「食事しながら」。音声は聴こえているのに、食べる音&アゴの動く音が耳に響いてどうも気になってしまい、集中できないのがもどかしかったです。

また、夏の屋外使用は、やっぱり暑い!こればっかりはどうにもなりませんね。オープンイヤーのような風通しは皆無なので、炎天下での着けっぱなしは注意したいです。

結論、どちらもそれぞれ良さがある!こうしてイヤフォンは増えていく…

密閉型もオープンイヤー型も、どっちも良かったので、どっちも使いたいと思います

“聴く読書” に最適なイヤフォンは、オープンイヤー型か、密閉型か。正直なところ、私の結論は「どっちも良かった!」です。

ただ、いつでもどこでも “本に集中できる” のは、密閉型だと思います。その上で、オープンイヤー型の楽な着け心地も捨てがたい。最初こそこの開放感にソワソワしましたが、慣れてくるとやっぱり楽だと実感しました。

どちらも音声はクリアで聴き取りやすいので、本の内容もちゃんと頭に入ってくるし、これなら “聴く読書” を続けられそうです。

やっぱり「本を読む」って、読書習慣がない人にとっては、ちょっと構えちゃいますよね。本も時間もぞんざいには扱えないから、しっかり向き合わなきゃと思えば思うほど、つい先延ばしにしたり。

Audibleは、生活を大きく変えなくても自然に読書時間が増やせる。おかげで、「本を読む」ことに対する気持ちが、少し軽くなる気がします。

そうして読書が身近になったなら、読む(聴く)環境も、より快適にしたいもの。快適さは人それぞれですが、今回試してみて私は、密閉型とオープンイヤー型を、シーンに合わせて使い分けるのがベストだなと思いました。こうしてまた、イヤフォンは増えていくのです……。

三月旭

Web編集者、ときどきライター。昔からモノが好きで、気付いたらスマホ3台持ってました。ガジェットを使いこなすことなく、服と猫と共にただ愛でています。