ミニレビュー

東京ドームの爆音もストレスフリー。ライブ用耳栓、AZLA「POM1000 II」使ってみた

「POM1000 II」

8月に入り夏本番を迎え、フェスなどの音楽イベントも盛んな時期に突入した。筆者もライブにはよく足を運ぶが、その際必ず持っていくのがライブ用の耳栓だ。

これまでいくつか試してきたなかで、特に気に入って愛用してきたのがAZLAのライブ用イヤープラグ「POM1000」。その第2世代モデル「POM1000 II」が6月末に発売され、さっそく購入するほどこのシリーズを気に入っている。改めてライブ用耳栓の重要さを紹介したい。

ライブ後に耳鳴りがする貴方に

「大音量で盛り上がるライブ/フェスに耳栓?」と思われるかもしれないが、ライブやコンサートでは、スピーカーの音量や座席位置によっては、その音の大きさによって耳にダメージを負ってしまうことがある。筆者も学生時代、ライブに行ったあとに耳鳴りが止まらず、「音響外傷」と診断されたことがある。

幸いに後遺症もなく回復したが、症状がひどい場合は聴覚にダメージが残ってしまうこともあるという。そういったリスクを低減するためのアイテムがライブ用耳栓だ。

筆者が以前使っていたライブ用耳栓

現在、ライブ用耳栓にはさまざまな製品があり、価格も2,000円台からと比較的リーズナブルなものが多い。筆者もいくつか使ってきたが、2022年にPOM1000が登場したタイミングで借りて以降は、POM1000を愛用してきている。

「POM1000 II」はBlack、Military、Silverの3色展開。筆者はMilitaryを購入した

ちなみに初代POM1000発売当時の価格は6,580円で、第2世代POM1000 IIの直販価格は5,500円。筐体やケースがアルミ製で、付属品も充実しているため、ライブ用耳栓としては比較的高価な部類だが、コストパフォーマンスは高め。

新たに登場したこの第2世代では、「ライブの熱量と音質を可能な限り落とさない音質優先ライブ用イヤープラグ」という初代モデルの特長はそのままに、内部エアホールの設計を見直して再強化が図られている。

左は初代「POM1000」、右が「POM1000 II」

POM1000はAZLAイヤーピースなど付属品充実

「POM1000 II」には2種類のイヤーピースや携帯ケース、脱落防止用のイヤープラグストラップなどが付属する

筆者がPOM1000シリーズを気に入っているポイントは、付属するイヤーピースとシリーズ独自のモード切替機能のふたつ。

イヤーピースはフォームタイプの「SednaEarfit Foamax」(上)とTPE素材の「SednaEarfit XELASTEC II」(下)から選べる

POM1000シリーズに付属するイヤーピースは、オーディオファンにとってはおなじみのAZLA「SednaEarfit」シリーズ。しかも、TPE素材採用で体温に合わせて耳にフィットする「XELASTEC II」と、スポンジのようなフォーム素材で高い遮音性を発揮する「Foamax」の2タイプが同梱されている。サイズも前者がSS/MS/ML、後者がS/MS/Mの3サイズと豊富だ。

筆者は普段使いの完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods Pro 2」にもSednaEarfitシリーズを使うほど、その装着感の良さや遮音感を気に入っているので、そのSednaEarfitをライブ用耳栓でも使えるのは嬉しいポイント。

特に「XELASTEC II」は着けていると自然と耳に馴染んで、耳が圧迫されている感覚もほとんどなく、ライブに集中できる。

ハウジング部を回してモードを切り替えると、耳栓のノッチも連動して回転する

もうひとつのモード切替機能は、POM1000シリーズ独自の特許機構で、ハウジング部を回転させることで、「スピーカー近くの超高周波等の微小な音まで遮音する」という密閉モード、「強化されたエアホール設計によって空気循環を行ない、自然な遮音を行なう」という開放モードを切り替えられるもの。密閉モード時は最大35dBのノイズをカットでき、開放モードでは中~大規模のコンサートホールに対応できる。

密閉モード/開放モードは、耳栓に描かれているロゴで見分ける。ノッチが「◯」にあるときは開放モード

安価なライブ用耳栓のなかには、遮音性能によって製品が分かれているものがあるが、このモード切替機能により、POM1000は1台でライブハウスからコンサートホール、さらにはアリーナ/ドームクラスのイベントまで対応可能。大小問わずさまざまな“箱”のライブに足を運ぶ人には便利な機能だ。

ちなみに、初代のPOM1000は長期間使ってきたこともあってか、このモードの切り替え操作が少ししにくくなってきていた。「そろそろ新調しなくては」と思っていたところに第2世代となるPOM1000 IIが登場したので、さっそく購入した格好だ。

イヤープラグストラップはPOM1000 II本体の溝にはめるように装着する

東京ドームのライブで試してみた

先日も、購入したばかりのPOM1000 IIとともに、東京ドームでのライブを観覧してきた。足を運んだのは、7月24~26日に行なわれたアイドルグループ・櫻坂46のライブ「櫻坂46 5th TOUR 2025 “Addiction” in 東京ドーム」。女性アイドルグループのライブながら、重低音を聴かせた演出も多く、また観客の声援も大きくなりがち。Apple Watchの環境音ノイズでは、3日間とも最大111dBの大音量が記録されていた。

そんな公演に3日連続で通えば、耳への負担も相当なものになるはずだが、POM1000 IIのおかげで耳にストレスを感じることは一切なし。もちろんライブ用とは言え、耳栓であることに変わりはないので、耳に届くライブの音量は小さくなるし、低音の迫力もそれなりに薄まってしまうが、それでも十分にライブを満喫でき、終演後に耳鳴りなどに悩まされることもなかった。

ちなみに、会場が東京ドームだったため、公演中は基本的に密閉モードにしていたが、試しに開放モードにしてみたところ、耳に届く音量はそこまで変わらなかったものの、低音の迫力がややアップ。また密閉モードでは聴こえなかった曲と曲の間で観客がザワついている様子、本編終了後のアンコールの掛け声なども、より耳に届くようになった。ライブならではの臨場感、周囲の観客との一体感を味わいたいなら開放モードがオススメだ。

より長く音楽を楽しむためのアイテム

夏本番を迎え、野外フェスやライブイベントなどが続く時季に突入した。そういったイベントに参加する予定のある人は、より長く音楽、そしてライブを楽しむためにも、POM1000 IIに限らず、ライブ用耳栓をひとつ持っていても損はない。なかでも耳栓の装着感にこだわりたい人や、フェスだけでなく、着席のコンサートにもよく行くという人には、付属品が充実していて、モードも切り替えられるPOM1000 IIをオススメしたい。

携帯用アルミケースにカラビナを着けて持ち歩いている

ちなみに筆者は、携帯用のアルミ製ケースにNITEIZEの「エスビナー」というカラビナを着けて、ベルトループなどに引っ掛けられるようにしている。こうしておけば混雑している会場でもすんなりと耳栓の着脱が可能だ。

個人的な不満点を挙げるとすれば、慣れるまで手元のPOM1000がどちらのモードになっているのかを把握しにくいところ。

POM1000の筐体には密閉モードを意味する「|」、開放モードを意味する「◯」のマークがあしらわれており、本体のノッチがどちらのマークに近いかでモードを判別できるのだが、マークとモードの関係性をなかなか覚えられず、「どっちがどっちだっけ?」となることが多かった。慣れるまではお守り代わりに、製品ページのスクショをスマホに保存しておくと良いだろう。

酒井隆文