プレイバック2019

Apple Watchにすべきか、Garminにすべきか by 日沼諭史

fēnix 6S Sapphire Black DLC

なぜみんなApple Watchを選ぶのだろう。最近はそんな疑問が3日に1回くらい頭をよぎる。

2019年、筆者にとって一番の「買って良かったアイテム」は、間違いなくGarminのスマートウォッチ「fēnix 6S Sapphire Black DLC」だ。長い間迷いながらも、ついに購入する決断に至ったのは、自分の生活に必要になった(物欲が懐事情に勝った、とも言う)こともあるけれど、スマートウォッチ全般が主にバッテリーもちの面で日常使用に十分なレベルになったことが大きいと思う。最近では街中でも身に付けている人を普通に見かけるくらいだ。主にApple Watchを。

今のところ、仕事関係で出会った人のなかでGarminのスマートウォッチを使っている人は見たことがない。全員Apple Watchだ。右も左もApple Watch。気になるあのコもApple Watch。なぜApple Watchなのか。みんなGarminにしようぜGarminに!

と叫びたくなる気持ちをぐっとこらえて冷静に考えると、単純にiPhoneユーザーが多いんだろうなあと思う。MacユーザーならiPhoneとの相性がいいように、iPhoneユーザーならApple Watchとの相性がきっとベストだ。筆者はMacユーザーであり、iPhoneユーザーでもあるが。

しかし筆者の場合、iPhoneはサブもサブ(機種はiPhone 6である)。Androidスマートフォンがメイン端末なのでiPhoneとの相性を考える必要がなく、ただただ性能とデザインにこだわって選んだ。具体的には日々のランニングのお供に最適かどうか、日常的に身に付けていたくなるデザインか、というところ。

きっとみなさんもスマートウォッチを購入するときは、自分にとって必要な機能・性能を備えているか、デザインが気に入るか、の主に2点を気にしているのではないかと思う。そこにApple WatchがハマればApple Watchだし、GarminがいいならGarminだし、それ以外のスマートウォッチで間に合うならそれでいい。シンプルな話だ。

筆者にとっては、そもそもAndroidとの連携が想定されていないApple Watchを選ぶ意味はあまりないので、Garminしか視界に入っていなかったわけだけれども、実際のところこの2つの製品間でどれくらい違いがあるのだろう……。気になったので、改めて仕様を調べて比較してみることにした。スペック的に近しいモデルを表にまとめてみたのが以下だ。

fēnix 6SとApple Watchの比較

ここではGarmin側の仕様を、筆者が購入したモデルについてのみ表記した。実際にはfēnix 6Sはfēnix 6シリーズの小型版という位置付けなので、Apple Watchと同じように大小のモデルがきちんとラインナップされている。性能はバッテリーもち以外は基本的に変わらない。

で、この表を見ても、どちらを選ぶか判断するときの最大のポイントはやはり「対応スマートフォン」なんだなあ、ということがわかる。AndroidユーザーならApple Watchを選べない。逆にiPhoneユーザーはどちらも選べるので選択肢は広いと言える。

裏面

次に基準となるのは「LTE」と「通話」で、要するにスマートウォッチ単体で電話をしたいかどうか、というところ。このあたりはGarminのかなわない部分だろう。あとは「決済」の部分でもFeliCaを搭載するApple Payの方が、日本国内では圧倒的に利便性が高い。Garmin Payはまだあまりにも用途が狭すぎる(対応する電子マネーサービス、店舗が少ない)。

ちなみにGarmin Payについては、別のかなり長い記事でかなり長い距離を走って紹介している。

Garmin Pay知ってる? ペイするために16km先のIKEAまで走る

ただ、Garminは特にバッテリーもちに優れている。Apple Watch(Series 5)の場合、通常は「18時間」と表記される稼働時間だが、これはAppleが規定した特定条件下でのもの。両者が公表しているさまざまな条件での稼働時間のうち、最も近いのがこの「GPS+心拍計」がオンになっている状態で、GarminはApple Watchの4倍以上。つまりGarminは24時間ワークアウトしてもOKというわけだ(人間が可能かどうかは別として)。

ちなみに、Apple Watchでは画面の常時表示がデフォルトでオンになっていることも特徴だが、これは「fēnix 6S」も同様。なので、そのへんの前提条件はほぼ変わらない。「GPS+心拍計」のオン時に4倍の差、というのが、かなり純粋に両者のバッテリーもちの違いを表せている数値と思われる。

あと1つ、「ANT+」の有無がユーザーによっては重要になりそうだ。ANT+は主にスポーツ用アクセサリーで採用されている通信規格で、これに対応していることで他のアクセサリーやセンサーから得た情報をGarminの機能に統合したり、もしくはGarminで計測している心拍のリアルタイムデータを他のANT+機器(サイクルコンピューターなど)に表示したり、といった連携が可能になる。

さて、以上諸々のことを考慮したうえでどちらを選ぶべきか。結論としては、Androidユーザーなら何はどうあれGarminだし、毎日のように充電したくないならGarminで、スポーツをしたければGarminを選べば間違いない。スポーツしないという人でも、いつしたくなるかわからないのだからGarmin一択だ。

Garmin Payの対応が拡大して欲しい!

一方、iPhoneユーザーはその選択肢の広さを活かしてGarminを選べばいいし、通話したければスマートフォン(iPhone)を使えばいいんだからGarminで問題ない。唯一、代替がきかないのは決済回りだけれど、Garmin Payだってそのうち利用できる場所が広がっていくだろうから期待しよう! だからみんなGarminにしようぜGarminに! (仲間が少なくて寂しいので! )

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。AV機器、モバイル機器、IoT機器のほか、オンラインサービス、エンタープライズ向けソリューション、オートバイを含むオートモーティブ分野から旅行まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「できるGoProスタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS+Androidアプリ 完全大事典」シリーズ(技術評論社)など。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。