プレイバック2019
まんまとマンガビジネスに巻き取られた2019年。「鬼滅の刃」にもハマる by 小寺信良
2019年12月20日 08:15
激動のマンガ業界
今年3月末から、生まれ故郷である宮崎市に戻っている。昼間は会社勤めをしながら、夜はライター業という2足のワラジ状態も、破綻することなくここまで務めることができた。
これまでのフリーランス生活からガラリと変わり、毎日同じ時間に起きて出勤する毎日は、最初の頃はストレスでよく眠れなかったりしたものだが、夏ごろからはだんだん体もこの生活に馴染んできたようだ。
さてそんな生活の中で大きく変わった事と言えば、毎日スマホアプリでマンガを読むようになった事である。ご承知のようにマンガ業界は、昨年の漫画村事件をきっかけに、ネット上でのビジネスモデルの転換に迫られることとなった。同時に、静止画像のダウンロード違法化へ向けての議論も進んでいるところだ。ただし、昨年来与党から持ち上がってきている改正案は、マンガ業界がそんな形のものは望んでいないとして、逆に待ったをかける事態となっている。
筆者は成人してからこのかた、マンガを読むという習慣がなく過ごしてきた。したがって漫画村をはじめとする違法サイトが勃興している時期も、まったく自分ではマンガを読んでいなかったわけだが、マンガ村が閉鎖されて以降、FacebookやInstagramで合法のマンガサイトの出稿が増えてきたように思う。
SNSのマンガ公告は、“ちょい見せ”的に内容が読めるのだが、それがなかなか興味をそそる。そんなこんなでうっかり無料マンガを見に行ったところ、それ以降完全にハマってしまった。現在インストールしているマンガアプリは13。もちろんすべて合法のものである。
期間限定や毎日1話ずつといった制限はあるものの、無料で読める作品もかなりある。わざわざセキュリティ的にも問題の多い違法サイトに行ってまで読む必要は全然ない。
良質な課金ユーザー爆誕
そんなことから始まったマンガライフだが、気がつけばかなりの課金ユーザーとなっている。今人気の「鬼滅の刃」も、知ったのは偶然だ。最初はNetflixのおすすめで出てきたのでアニメから見始め、全部見終わったら続きが読みたくなってマンガへ移行して課金、さらにアニメと原作との差が知りたくて第1話に戻って最初からまた課金と、まんまとマンガ業界の思うつぼというか、されるがままにお金を払っている。
これではいかん(?)と思って無料マンガを読み始めるのだが、1日1話ではペースが遅すぎる。とくにサラリーマンともなると、限られた昼休みを有効に使う必要がある。動画コンテンツでは、どうしても視聴が途中になってしまう。だがマンガであれば、読むペースで時間をどのようにでも圧縮できる。加えて時間を金で買えるぐらいには大人なので、これまた即課金の毎日だ。マンガアプリでは、最初から10数話無料といったものが多いが、そこまで読めばどうしても続きを読みたくなるぐらいにはファンになっている。
現在の悩みは、マンガ配信アプリが乱立状態にあることである。同じマンガがあちこちで読めると、どのサービスでどこまで読んだかわからなくなる。さらに各アプリごとあちこちにチャージしているので、無駄が多い。チャージしたまますっかり忘れてしまっているサービスもある。
もしかしたらそこが狙いといえば狙いなのかもしれないが、電子マネーに力を入れている日本のサービスなら、こうしたマンガサイト共通の仮想通貨ができないものだろうか。海賊版に勝つためには、ちゃんと金を払っているカスタマーの声に耳を傾け、支払いに関する不便をなくしていくところからがスタートなのだろうと思う。