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“進化するイヤフォン”、Technics「AZ70W」の音質と便利さが凄い
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- Technics
2021年3月9日 07:00
イヤフォン製品において、現在はワイヤレスタイプが主流となってきているのは皆さんもご承知のとおり。なかでも完全ワイヤレスイヤフォンは、持ち前の扱い易さに加えて、幅広い価格帯へとラインナップが広がったこともあり、いまや話題の中心を担う製品カテゴリーとなっている。そんな人気カテゴリー、現在は数多くのラインナップが取り揃うようになった完全ワイヤレスイヤフォンのなかでも、2020年前半に発売されて以降、注目を集め続けている製品がある。それがテクニクスの「EAH-AZ70W」(オープンプライス)だ。
若い読者はご存じないかもしれないが、1965年に登場した「Technics 1」を皮切りとして、パナソニックのHi-Fiオーディオブランドとして人気を集めたのがテクニクスだ。2014年にブランドが復活し、主にハイエンドなスピーカー、アンプ、一体型オーディオなどを手掛け、アナログターンテーブルも人気を集めている。そんなテクニクスのサウンドを、一番手軽に体験できるのが、ブランド初にして、現在唯一の完全ワイヤレスイヤフォン「EAH-AZ70W」と言える。
この「EAH-AZ70W」、何を隠そう、筆者自身も発売後すぐに入手し、以来、現在まで使い続けていたりする。というのも、「EAH-AZ70W」は音質はもちろんのこと、ANC(アクティブノイズキャンセリング)機能やマイク性能、接続安定性など、ファーストモデルとは思えない完成度の高さを持ち合わせているからだ。
また、詳しくは後述するが、発売から既に4回もアップデートされ、先月25日には5回目のアップデートが実施されるなど、機能の追加や改良がガンガン行なわれている“進化し続けるイヤフォン”でもある。
本当に途切れにくいイヤフォン
先程“完成度の高さ”が魅力と書いたが、接続安定性に関しては、ここ5年で数100モデルの製品をテストさせてもらったなかでも、1、2を争うレベルのもの。住宅街の電波環境が比較的良好な場所であれば、見通しで30m近く離れても安定した接続を保ってくれる。隣の部屋に行っても当然のごとく繋がったままだし、間に木造家屋を挟んだ屋外でも距離が15m以下であればほぼ平気。全てのワイヤレスイヤフォンが切断してしまうほどの難ポイントではさすがに音切れを起こすことがあるが、復帰が素早いため、さほどストレスには感じない。驚異的ともいえる、接続安定性の高さだ。
これは、Bluetoothチップ選びからアンテナ設計まで、細部にわたる徹底した造り込みが功を奏した結果だろう。一般的な完全ワイヤレスは、片側のイヤフォン本体がスマートフォンと接続し、もう片側はイヤフォン本体同士で接続しているが、対して「EAH-AZ70W」は、左右ともに直接スマートフォンと接続する「左右独立受信方式」を採用。人体(頭)を間に挟むことでどうしても不利になりがちな接続安定性を巧みに解消している。
しかも、Qualcomm製SoCに採用されているTWS PlusやaptX adaptiveのような、対応スマートフォンがまだまだ少数派のリミテッドな規格ではなく、Bluetoothに対応していればこの接続が可能となっているのも嬉しいポイント。
さらに、このワイヤレス関連パートの開発については、パナソニック製コードレス電話の技術メンバーが関わっており、タッチセンサーの配線なども利用した独自のアンテナ回路「タッチセンサーアンテナ」を新規開発。この組み合わせによって、先ほどのような高い接続安定性を実現している。これぞテクニクスならでは、パナソニックならではのアドバンテージといえる。
騒音を抑えつつ、違和感が無い“絶妙なノイキャン”
もうひとつ、「EAH-AZ70W」で大きな魅力となっているのが、ANC機能の絶妙な効き具合やインテリジェントな機能性だ。「EAH-AZ70W」には、外側のマイクでノイズを集音する「フィードフォワード方式」とイヤフォン内側のマイクで集音する「フィードバック方式」を組み合わせた、4マイクを活用するシステムが採用されている。
4マイク、というのは他社製品でも存在しているが、「EAH-AZ70W」のそれはひと味もふた味も違っていたりする。というのも、フィードフォワードはデジタル方式、フィードバックはアナログ方式でノイズを処理する特殊なシステム「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」が「EAH-AZ70W」には採用されているからだ。
こういった複雑なシステムをわざわざ採用しているのには、ちゃんとした理由がある。というのも、フィードフォワードマイクとフィードバックマイクでは、それぞれが果たす役割が自然と異なってくるからだ。
まず、フィードフォワードマイクに関しては、外側の音、環境騒音をメインにキャンセルするため、複雑なフィルタが必要となり、小さな筐体のイヤフォンで実現するためにはデジタル処理の方が有利。対してフィードバックマイクは、ノイズと音楽を足したもののなかから騒音だけを取り除く処理を行なうため、デジタル方式では演算に時間がかかり過ぎてしまい遅延が生じる可能性があるのだという。
それを回避するため、「EAH-AZ70W」のANC機能では、フィードバックマイクに遅延を抑えられるアナログ制御をチョイス。デジタルとアナログを組み合わせた、イヤフォンにとって最適なノイズキャンセリングを作り上げているのだという。
その効果はてきめん。実際に試してみると、ANC機能にありがちな違和感が全くといっていいほどない。騒音がしっかりと押さえ込まれているうえに、音楽も自然な印象の音色を楽しませてくれる。また、ANC機能をオンオフ切り替えても、音色の違いや違和感をほとんど感じず、どんな場所であっても素直に音楽に集中することができる。なかなか絶妙なANCチューニングといえるだろう。
ちなみに、ANC機能には周囲の音を取り込むことができるアンビエント(外音取り込み)モードも用意されている。こちらは、ノイズキャンセリング機能のオンオフと同じく、右側イヤフォン本体のタッチセンサーを2秒以上長押しすることで簡単に切り替えすることができる。
さらに、専用のiOS/Android OS用アプリ「Technics Audio Connect」も用意されていて、こちらからノイズキャンセリングの効き具合、アンビエント機能オン時の周囲の音量取り込みバランスを好みに応じて調整する事もできる。
こういった微調整は実際の使用時に大いに役に立つ。なんやかんやで「EAH-AZ70W」を使い続けているのは、接続安定性がいちばんの理由であるものの、こういった融通の利き具合も重要なファクターとなっている。
加えて、「Technics Audio Connect」アプリはノイズキャンセリングやアンビエントレベル調整のほかにも、左右イヤフォン本体のバッテリー残量や接続コーデックの確認、音質のカスタマイズ、紛失したイヤフォンを探す機能なども備えている。この多機能さは、実際に使用しているといろいろ便利だったり楽しかったりする。
例えば、バッテリー残量や接続コーデックの確認などは、用もないのについつい確認してみたくなるし、いちどイヤフォン本体が見当たらなくなったときには、この機能のおかげで事なきを得た(実際は仕事場に置き忘れただけだったが無駄に探し回らなくて済んだ)。さすがパナソニックというべきか、分かりやすいメニューも含めて、ユーザーフレンドリーなアプリだ。
通話の品質も高い
完全ワイヤレスイヤフォンにおいて、もうひとつ気になるポイントといえるのがバッテリーの持続時間だろう。こちら、スペック的にはイヤフォン単体で約6.5時間(ANCオン/AAC時)~約7.5時間(ANCオフ/AAC時)、専用ケースからのチャージを含めると約19.5時間(ANCオン/AAC時)~約22.5時間(ANCオフ/AAC時)という数値になっている。
また、15分の充電で80分(ANCオフ/AAC時)使用できる急速充電機能に対応しているので、実際に使用していてもバッテリー切れで不満に思うことは全くなかった。このほか、BluetoothコーデックはSBCとAACに対応し、IPX4相当の防滴性能など、最新モデルとしての充分なスペックも有している。
近頃の情勢から注目が高まった通話性能に関しても、「EAH-AZ70W」はなかなかの実力を持ち合わせている。通話用として高性能なMEMSマイクを2つ搭載し、合わせてビームフォーミング技術を投入。送話の音声とそれ以外の音を区別してノイズを低減、音声をより聞きやすくしている。
さらに、マイクまでの空気の通り道を複雑化してマイクに直接風が当たりにくくする「ラビリンス構造」も採用。屋外でもクリアな音声通話の実現が追求されている。これらによって、良好な音声通話が可能となっている。
当然、ゲーミングヘッドフォンやインカムなどには敵わないが、完全ワイヤレスイヤフォンとしては優秀なレベルだし、何よりも普段は存分に音楽を楽しみつつ、いざというときには通話用デバイスとしてもなかなかの実力を発揮してくれる懐の深さがありがたい。
現在進行系の“進化し続けるイヤフォン”
接続安定性、充分な再生時間、アプリの便利さと、魅力の多い「EAH-AZ70W」だが、“現在も使い続けているもうひとつの理由”がある。それは、「EAH-AZ70W」が常に進化し続ける製品であることだ。
というのも、「EAH-AZ70W」はアプリを活用して本体のアップデートを行なう機能を持ち合わせていて、昨年のあいだに既に4回もアップデートが行なわれ、アンビエント時の声の聞こえ方が改善されたり、タッチセンサーのオンオフや操作性の改善(長押し時間の変更)、登録済みデバイスとの接続までの時間短縮など、使い勝手や音質の面で様々な改良が行なわれている。
そして、2月25日に行なわれたアップデートにより、タッチセンサーのカスタマイズまで可能になった。例えば、「右ハウジングのシングルタップ」した時の動作を、通常の「再生停止」ではなく、「曲戻し」「曲送り」「音量 大/小」「外音コントロールモード切り換え」、「ノイズキャンセリング」、「アンビエント」、「外音コントロールのオフ」などから、好きな機能を割り当てられるようになった。
誰しも「この機能はダブルタップがいいな」とか「トリプルタップしたらこう動いて欲しいな」とか、「右手がふさがってる時が多いからこの機能は左ハウジングのタップがいい」など、好みがあると思うが、そうしたこだわりを反映でき、ストレスフリーになるわけだ。なお、このカスタマイズ機能を使うには、イヤフォンのファームだけでなく、アプリ側も最新版に更新する必要がある。
さらに、通話時の送話音質も改善。ユニークなところでは、イヤフォンの“お手入れ”方法を解説したページへのリンクも新たに追加されている。
過去の完全ワイヤレスと一線を画す表現力
このように、魅力的でインテリジェントな機能性を持ち合わせている「EAH-AZ70W」だが、最大の魅力はなんといっても“サウンド”だろう。
特徴としては“アコースティック楽器が得意なオールラウンダー”といったイメージ。10mm口径という、完全ワイヤレスイヤフォンのなかではかなり大きなドライバーユニットを搭載しているだけあって、表現力豊かで音色も多彩。抑揚表現には余裕すら感じられる。
そして、サウンドキャラクターは存在感を強く主張する中域と、伸びやかだけど鋭すぎない高域が重なり、鮮度感の高いサウンドを実現。ピアノなどが顕著で、基音と倍音のバランスがよいためとても伸びやかな音色に感じられる。細部の表現もしっかり伝わってくるので、タッチや演奏ホールの広さなども感じられる、リアルさも持ち合わせている。
女性ヴォーカルの歌声も魅力的だ。アデル、宇多田ヒカル、MYTH & ROID、ReoNaなどがピッタリの相性を見せ、普段よりほんの少しハスキーで、声の揺れや息の強さなど細かいニュアンスがしっかりと伝わってくる、より感情のこもった歌声を楽しめる。ヴォーカルの立ち位置も変に前に出すぎることなく、演奏との一体感がある点も好ましい。また、低域は量感たっぷりながらフォーカスもしっかりしているため、ドラムは弾みのよい、リズミカルな演奏に感じられる点も好ましい。総じて、過去の完全ワイヤレスイヤフォンとは一線を画す表現力が豊かなサウンドだ。
今後も楽しみになるイヤフォン
完全ワイヤレスはいま急激に進化している製品であるため、かなりの頻度でアップデートされ常に最新モデルであり続けてくれる「EAH-AZ70W」は、ありがたかったり嬉しかったりで使い続けたい気持ちを更に高めてくれる。特に最新アップデートでは、操作系のカスタマイズが可能になったこと、通話音声の向上がかなり嬉しい。
筆者の場合は音量調整をよく使うため、これを右側シングル&ダブルタップに設定できるのはかなり重宝する。また、音声通話も確認してみたが、もともと評判のよかったマイク音声が更にグレードアップ、より細やかなニュアンスを伝えられる明瞭な音声となった。加えて、サウンドチューニングにもさらなる改善が行われているなど、サポートを含め全方位万全の製品となっているのは嬉しいかぎり。
オーディオ機器としての実力の高さ、完全ワイヤレスイヤフォンとしての便利さに加えて、進化するガジェットとしての魅力ももつ「EAH-AZ70W」。今後は、どういったグレードアップを続けてくれるのか、大いに期待し、見守りたいところだ。