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ワイヤレスで身近に高品質な音楽を楽しめる「Stellanova」に「Limited」が登場!
デスクトップで堪能できるハイエンドモデルの秘密に迫る
提供:パイオニア
2021/03/25
パイオニアが2014年から発売しているコンパクトなオーディオシステム「Stellanova(ステラノヴァ)」。横幅20cm足らずのコンパクトで薄型のボディを持ったそのモデルは、USB DACアンプとワイヤレスユニットで構成され、USB DACアンプ単体ではパソコンや薄型テレビと接続して高品質なオーディオ再生が可能。ワイヤレスユニットは、パソコンやスマホとWi-Fi接続するためのもの。ハイレゾ音源を圧縮することなくワイヤレスで再生できるほか、接続したUSB HDDやCDドライブなどの音楽データの保存や再生が可能。パソコンやスマホ用のアプリを使用して、CDからリッピングしたデータをパソコンやスマホに転送したり、USB HDDに保存して音楽データを管理することもできる。コンパクトなサイズながら、パソコンやスマホと組み合わせて手軽に音楽を楽しめる高機能なオーディオコンポなのだ。
そして、ハイエンドモデルとなる「Stellanova Limited」が発売となった。ここでは、設計・開発を担当したメンバーに「Stellanova Limited」誕生のいきさつや変更点、開発での苦労などを聞いた。
「Stellanova」から「Stellanova Limited」へ
まずは、「Stellanova Limited」の概要について、パイオニアのPDDM事業戦略統轄部の下田 吉隆さんにお聞きした。
「『Stellanova』は、デスクトップ上で楽しめるサイズや、Bluetoothではできないハイレゾ音源の非圧縮ワイヤレス再生ができることを大きな特長とし、本格的なオーディオコンポーネントはハードルが高いと感じている音楽ファンに向けた製品です。そのため、デザインも五角形をモチーフとした独特な形状で、カラーバリエーションも豊富。今までのオーディオコンポーネントとは違う新しいスタイルを提案しました」(下田さん)
しかし、実はオーディオ機器としての実力もかなり優秀だ。パイオニアで長年レーザーディスクやデジタルオーディオ機器の開発を行なってきたメンバーが設計・開発を担当し、コンパクトサイズとはいえ、本格的な高音質を目指して完成した。実際、発売以来ユーザーからも音質の満足度は高く、オーディオイベントなどでは見た目にそぐわない音の実力の高さで「Stellanova」を初めて聴く人にも好評だったようだ。
「そのため、本格的なシステムをお持ちのオーディオ好きの方から、サブシステムとして使えるさらに高音質を追求したモデルが欲しいと言われるようになりました。私どもとしましても、『Stellanova』のポテンシャルの高さに自信がありましたから、どこまで音質を高めることができるのかは興味もありました。そうして、オーディオに関心のあるユーザーも満足できるような高音質モデルとして『Stellanova Limited』の開発が始まりました」(下田さん)
「Stellanova Limited」は、USB DACアンプのAPS-DA201J-LMとワイヤレスユニットのAPS-WF202J-LMのセットとなる。独特な五角形の形状は同様だが、カラーはブラックのみ。ブラックでアルマイト塗装後に、エッジ部をダイヤモンドカットし、切削面をカッパー(銅色)でアルマイト塗装して仕上げている。ハイエンドモデルにふさわしい、高級感に溢れたデザインとなっている。
左がUSB DACアンプのAPS-DA201J-LM。右がワイヤレスユニットのAPS-WF202J-LM。どちらも高級感溢れるデザインとなっている
もちろん、最大の違いは内部。基本的な設計は「Stellanova」をベースにしているが、音質向上のため、USB DACユニットではメイン基板から101点もの部品を変更し、高音質部品としている。ワイヤレスユニットは、メイン基板の部品32点を変更。そして、製品の組み立てや検査などの生産は国内で行なわれている。
「音質改善のための内容は、まずはスピーカー出力とヘッドフォン出力の向上です。従来はデスクトップで使えるコンパクトなスピーカーを鳴らすことを想定して控えめの出力でしたが、『Stellanova Limited』では本格的な大型スピーカーを鳴らすことまで想定していますし、ヘッドフォンもダイナミックレンジの必要なハイインピーダンスモデルや負荷の大きい低インピーダンスモデルにも対応できるようにしています」(下田さん)
スピーカー出力の向上は、実機出力としてはACアダプタの電流容量の制限から連続16W+16Wとなるが、アンプICの能力としては15W+15Wから30W+30Wへ向上している。最小負荷インピーダンスも4Ωから3.2Ωとなり、駆動力も高めている。使用したLSIは「TPA3118D2DAP」(ベースモデルは「TPA3130D2DAP」)。ヘッドフォン出力は25mWから138mWに向上。全高調波歪み率は、Limitedモデルでは0.005%程度の実力となった。
「これに加えて、ノイズ低減を徹底しました。コンパクトサイズのためLSIを多用していますので、部品が発するノイズの影響を受けない回路構成にすることが必要です。このため、DAC回路の後段の出力回路構成を変更しています。このほか、電源回路などにオーディオ用パーツを使用するほか、スナバ回路やフィルターの追加、電源用LSI周辺の配線パターンを見直してノイズの影響をなくしつつ、安定した電源供給ができるようにするなど、全面的に回路を見直しています」(下田さん)
基本に忠実に、妥協なく良い音を追求した
ここからは、「Stellanova Limted」開発の苦労と合わせて、より詳しく改善したポイントを紹介していく。説明していただいたのは、パイオニアで長くレーザーディスクやオーディオ機器、光ディスクドライブの開発に関わってきたインダストリアル・ソリューションズ部の山下 力さん。入社以来40年以上、オーディオ機器や光ディスク関連に関わっているベテランだ。
「『Stellanova Limted』の開発には3年ほどかけていますが、まずはどうしたら良い音になるかを考えました。基本に忠実であること、妥協をしないこと。基本中の基本をきちんと行なうことを徹底しています。そして、光ディスクドライブの開発経験から、独自の設計なども採り入れています」(山下さん)
基本に忠実ということで、まずはノイズ低減の徹底。ワイヤレスユニットは回路のほとんどが電源部と言っていい構成なので、オーディオ用の専用開発されたコンデンサーなどのパーツを贅沢に使用。電源から流入するスパイクノイズやリップルノイズをなくすことが重要なのだという。電源ラインのノイズ対策も徹底した。USB DACアンプも電源部の改善は同様に行なったうえで、「Stellanova」の製品化での妥協点や弱点となる箇所を一つひとつ対策していったそうだ。
「ベースモデルはLSIやオペアンプを多用していますので、オペアンプの使いこなしは重要です。なるべく不要なオペアンプは使わずに回路をシンプルにしていくことが大事です」(山下さん)
DAC出力段の構成の変更では、後段にあったオペアンプを使うことをやめ、電子ボリューム用のLSIも基準電位をLSI内部のものを使用しない構成を採用。音圧レベルの変化で基準電位が動かないようになり、LSIが発するノイズの影響を受けないようにした。回路の配線パターンもすべて見直し、徹底的にグランドループを排除している。
ヘッドフォンアンプは、電源部は専用の電源LSIを追加し、シリーズレギュレーターから直接給電する構成とした。音質で評価の高いエルナー社のシルミック™コンデンサー(※)も使用。出力ラインは、低インピーダンス化を追求して回路構成を見直し、使用する部品も数多くの候補から効果の高いものを厳選して使用しているという。
※「シルミック/SILMIC」は日本におけるエルナー株式会社の登録商標です。
デジタルオーディオ機器で重要となるクロック系のジッター低減も徹底した。回路構成はすべて見直し、クロックの立ち上がり/立ち下がりを正確にキープし、ジッター発生の原因となるオーバーシュートの発生も抑えるチューニングが施されている。これは、光デジタル入力などでも配慮しているそうだ。
「できることはすべてやりました。長年の経験で得たノウハウや知識も総動員しました。使用するパーツの選定もすべて試聴や特性の測定などを行なって確かめ、パーツの特性を理解して選んでいます」(山下さん)
そして、なにより驚かされたのが、パーツの実装などの生産工程でも、いわゆる大量生産品の枠を超えた厳密な生産管理を徹底している。たとえば、オーディオ用部品のEMIフィルターは選別品を使用しているが、その性能を活かすために実装するときの半田ごての温度管理を厳しく行なっているという。
「メイン基板は50ミクロンの4層基板を採用していますが、部品を半田付けするときの温度が高いと劣化してしまいます。そのため、半田ごての温度管理をし、EMIフィルターは専用の部品に実装した後でメイン基板に実装する方式としています。生産品質を徹底し、製品のばらつきをなくすためです」(山下さん)
組み立ての工程でも、ネジの締め付け加減などを調整しているそうだ。製品化のプロセスや品質管理はパイオニアのBDドライブと同じレベルだという。
「月産1000万台クラスの生産管理よりも厳しい品質管理を実施しています。国内生産のメリットですね。また、光ディスクの生産を手がけているグループだからできたと言えます。一般的なオーディオ製品よりも厳しい品質管理を行なっていて、TAD(パイオニアから発売されている最高級スピーカーのブランド)に近い領域の製品だと思います」(山下さん)
回路設計の見直しやパーツの吟味による音質チューニングはよく耳にするが、生産工程まで徹底したというのは珍しい。いわゆるハイエンドメーカーの製品が熟練の職人によるハンドメイドで品質を高めているが、大量生産でありながらハンドメイドに近い生産をしているように感じた。
「大量生産とハンドメイドのいいとこ取りですね。デジタル機器を大量生産してきたメンバーだからこそできたことです」(山下さん)
なお、組み立て完了後の検査や試聴は山下さんが自ら行なっているという。音決めを行なった人自身が最終的な確認まで担当するのは大量生産品とは思えないレベルの品質管理だ。
「初めて見ると異様な形にも感じる五角形ですが、こうして音質を突き詰めていくと、剛性の高さなど音質にも効果のある形状であるとあらためて実感しました。行けるところまで行ってみたいという気持ちでやりきりました。オーディオのハイエンド製品に通じる音質、ライブ会場の一番良い席で聴く音を実現できたと思います。ぜひとも、「Stellanova Limited」の音を聴いてほしいです」(山下さん)
「Stellanova Limited」の実力を自宅の試聴室で試してみた!
取材でお話を伺って、筆者自身も俄然興味がわいてしまった。以前に聴いた「Stellanova」はコンパクトなサイズの製品としてはなかなかの実力ではあっただけに、それを徹底的に磨き上げるとどこまで音質が良くなるのかがとても気になる。そこで、量産試作での最終的なチューニングの完了したモデルをお借りして、自宅で聴かせていただいた。
まずは自宅で使っているB&Wの小型スピーカーの607を鳴らしてみた。「Stellanova Limited」は、オーディオ再生用のMac miniとワイヤレス接続し、Mac miniのHDD内に保存してある音楽データを「Pioneer Stellanova Player」で再生している。なお、ネットワーク接続用アプリ「Pioneer Wireless Connect」や「Pioneer Stellanova Player」(ともにWindows、Mac用)は、パイオニアの「Stellanova」のページからダウンロードできる。
まずは聴き慣れたクラシックのクルレンツィス指揮ムジカ・エテルナによる「チャイコフスキー/交響曲第6番」を聴いた。30W+30Wの出力では、普段聴いている音量だとほぼボリューム全開になってしまったが、一般的な環境ならば近所迷惑になりかねない音量なので、実用上は出力が足らずに十分な音量が得られないということはないだろう。音色はニュートラルで色づけのないストレートな音だ。印象的なのは、音数の多さ。ヴァイオリンやヴィオラ、チェロといった弦楽器、金管楽器や木管楽器の音色が粒立ちよく再現され、一つひとつの音をきめ細かに再現する。音像もしっかりと立つので、オーケストラの配置がわかるような奥行きと音場の広がりも見事に再現できていた。
音数の多さや各楽器の音色が質感豊かに再現できているのは、S/Nの良さだろう。弱音部でも音が痩せずに余韻の最後まで鮮やかに鳴るので、実にきめ細かな演奏になる。しかも、低音もかなりしっかりとしていて、ややタイトながら立ち上がりの反応もよく、弾むような低音の鳴り方になる。また、中低音域でも情報量はかなり出ていて、コントラバスの低音も弦を擦るような感触があり、太鼓の連打もドロドロともたついた音にならず、キレの良い連打になる。
ポップス曲は、レコード大賞の受賞や紅白歌合戦の出演も果たしたLisaの「紅蓮華」「炎」を聴いた。ロック調のハードな演奏となる「紅蓮華」では、ベースのパワフルでしっかりとビートの効いた鳴り方に感心した。ドラムもパワフルでスピード感のある再現だ。肝心のボーカルはきれいに伸びる高い声がエネルギー感たっぷり。きれいだが線の細い鳴り方にならず、芯の通った力強い声になる。バラード調の曲になる「炎」では、抑えた歌唱に情感がしっかりと感じられるし、独特な声の質感もよく出ている。非常に満足度の高い音で、価格的にみても同価格帯のフルサイズのアンプと同等かそれ以上に感じてしまう。
なお、大音量ではかなりの満足度だが、音量をボリュームの半分くらいまで絞ってもその良さが消えない。低音が痩せてしまって迫力不足になったりすると思いがちだが、ドラムやベースの力強いリズムはきちんとキープしている。もともと低音がタイトなので、スケール感はややこぢんまりとしてしまうが、その場合はバスブーストをONにするとスケール感も十分に感じられる。バスブーストは過剰に低音感を増すのではなく、タイトに感じる中低音をぐっと力強くする感じに変化するので、リッチな低音を好む人に向いている。聴き比べるとベースの再現がほんの少し甘くなるが、ベースの音階が曖昧になってしまうようなことはない。
絶対的な出力の大きさでは、フルサイズのアンプには及ばないが、先述したとおり実用上十分な音量は出る。音質的には情報量の豊かさと、音像と音場が高いバランスで整った再現など、フルサイズのアンプを圧倒しかねないと思った。コンパクトなサイズのアンプとは思えない再現だ。オペアンプやLSIを多用したアンプなのに、ここまでの音が出るというのは、筆者自身も驚いた。オペアンプの使いこなしや徹底したノイズ対策など、基本に忠実な作りを徹底するとここまで「化ける」ことに誰もが驚くと思う。
これに気を良くして、試聴室のメインスピーカーであるB&Wのマトリックス801 S3でも聴いてみた。ボリュームは完全にフルボリュームになってしまったが、801 S3を十分にしっかりと鳴らした。アンプの限界付近の音量だが、高音域が歪みっぽくなるようなこともない。実は取材時にフロアー型の大型スピーカーも鳴らしているという話を聞いていた。大型スピーカーを鳴らすための製品ではないが、実力的には十分な駆動力がある。持ち味である情報量の豊かさ、中低音域の力強さも十分。
30cm口径の大きなウーファーがしっかりと鳴るので、「紅蓮華」のハードなリズムも力強く刻まれるし、なにより、ギターやベース、ドラム、シンセサイザーの音が混濁せずにクリアに再現される。実体感のある音像と雄大な音場の広がりは見事なものだ。この情報量の豊かな再現は音数の多い楽曲にはぴったりで、聴き慣れた曲でも「こんな音まで入っていたのか」と新鮮に楽しめると思う。高域がスムーズでガチャガチャした音にならないので、アニメソングに多い音をいっぱい詰め込んだ曲もその持ち味を存分に楽しめるだろう。
最後はヘッドフォン再生。こちらもかなりの実力だ。まずはハイインピーダンスのゼンハイザーのHD800で試してみたが、低域までしっかりと鳴る。HD800の低音が軽い感触であることと、「Stellanova Limited」の低音がタイトであることもあり、低音感は音域はしっかりと伸びるし、情報量も豊かだが、やや力強さや雄大なスケール感が物足りないと感じた程度。これはヘッドフォンの音質との相性もあるだろう。
そこで、テクニクスのEAH-TZ700でも試してみた。こちらは口径10mmのダイナミック型ドライバー一発とは思えないほどに低音の伸びがよく、能率も極めて高い。こちらで聴くと、低音の再現は文句なし。「紅蓮華」でドラムとベースがパワフルにリズムを刻むところもそれぞれの音を力強い音で鳴らし分け、混濁してしまうようなことはない。声も質感豊かなことはもちろん、アンプ側の歪みやノイズ感が気になることもなく、実にスムーズかつクリアーだ。スピーカー再生でも感じたが、高音域の雑味が少なく耳が痛くならないので、どんどん音量を上げてしまいたくなる。スピーカー再生では過大な大音量は出せないので心配ないが、高能率なイヤホンでは健康上問題がある音量まで上げられるので、再生音量には注意したい。音量を控えても音が痩せないのはイヤホン出力でも同様なので、適度な音量でも十分に質の高い音を楽しめる。
これぞ小型・高品質オーディオの決定版。ぜひ一度聴いてみてほしい
試聴をしていて、本気で購入を検討するくらいに気に入った。デスクトップのスペースで実現できるオーディオコンポーネントとしては、他にライバルはいないのではないかと思うくらいの完成度だ。ヘッドフォン出力も十分なレベルなので、ヘッドフォンやイヤフォンをメインで使っている人が、サブシステムとしてコンパクトなスピーカー再生をするといった使い方にも合いそうだ。もちろん、メインの大型スピーカーとは別に、もう少し気軽に楽しめるコンパクトなサブシステムが欲しいという人にもいいだろう。コンパクトで音の良いオーディオが欲しいという人は、ぜひとも聴いてみてほしい。