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ボーズ初のノイズキャンセル+Bluetoothヘッドフォンは何がスゴい? QC35/30開発の背景
2016年6月21日 16:07
ボーズは、ノイズキャンセリング対応のBluetoothヘッドフォン「QuietComfort 35」など、6月7日に発表したヘッドフォン/イヤフォン新製品の説明会を開催。実機を披露するとともに、米国本社から来日したエンジニアが製品開発の背景や、技術の詳細などを説明した。
今回披露された新製品は、6月24日に発売されるアクティブノイズキャンセリング(NC)対応のBluetoothヘッドフォン「QuietComfort 35 wireless headphones(QC35)」(37,000円)や、NC/Bluetooth搭載イヤフォン「QuietControl 30 wireless headphones(QC30)」(9月下旬発売/価格未定)、スポーツ向けBluetoothイヤフォンの「SoundSport wireless headphones」(6月24日発売/18,000円)と、心拍数計測対応の「SoundSport Pulse wireless headphones」(9月下旬発売/価格未定)の4モデル。
なお、「SoundSport wireless headphones」は発表当初7月発売としていたが、好評を受けたとの理由で発売を前倒し、6月24日発売となった。
新製品のうち、ノイズキャンセリング搭載モデルの「QuietComfort 35」と「QuietControl 30」は、ボーズにとって初のBluetooth/NC両対応モデルであり、スマートフォンアプリと連携するなど興味深い点も多い。これらの技術を実現した背景などを、1980年以来ノイズキャンセリング技術の開発に携わっている、Headphone Lead Resertch Engineerのダン・ゲイジャー氏が説明した。
QC35/QC30の進化点。QC30が「業界最高のNC性能」の理由
QuietComfort 35は、耳を覆うアラウンドイヤー型のヘッドフォンで、QuietControl 30は、ネックバンド部分からケーブルが伸びたイヤフォン部で構成するモデル。
BluetoothはNFCをサポートし、対応スマートフォンとワンタッチでペアリングできる。なお、Bluetooth接続時のコーデックについて詳細は明らかにしていないが、aptXには非対応とのことで、ゲイジャー氏はその理由について「我々の製品のユースケースには大きな利点が無い。ソース機器もまだ十分に出そろっていない」としている。
現在、ボーズは有線のNC搭載モデルとして、ヘッドフォンの「QuietComfort 25」(32,000円)や、イヤフォンの「QuietComfort 20」を展開している。ゲイジャー氏によれば、今回の新モデルは、「ワイヤレスでも妥協せず、同等のNC機能を実現した。有線モデルと微妙な差はあるが、それは個人差よりも小さなものだと思う」と自信を見せる。
NCの基本的な考え方は、周囲の騒音をマイクで集め、それとは逆位相の信号を発することで打ち消し、音楽だけを楽しめるというもの。普段身の回りにある騒音は、ボーズのオフィスにも近い渋谷の繁華街で70dB、走行中電車内だと80dBで「救急車が間近にいるのと同じ」、地下鉄の駅構内では100dBで「スムーズな会話が困難」なレベルに達するという。
ゲイジャー氏は、'78年にアマー G.ボーズ博士が飛行機の中で、音楽が騒音にかき消される体験から、その場でNC技術の基本コンセプトと数学的根拠を導き出し、帰国後すぐに研究を開始したというエピソードを改めて紹介。合気道をたしなむというゲイジャー氏は、「(同社のNC機能に使われている)フィードバックテクノロジーは、ノイズに対して合気道を仕掛けたもの。相手の力/ノイズそのものを使って打ち消す」と表現している。
ヘッドフォン「QC35」の進化点については「単にQC25にワイヤレス機能を追加しただけではなく、内部のアーキテクチャそのものを全て見直した。ワイヤレスのメリットと、電池の持ち(連続使用20時間)も実現した。従来のQCの強みを、妥協することなく実現した」と述べた。
一方で、同氏は装着性の重要性にも触れ、「重くて圧迫感のあるヘッドフォンでは、その方が気になってしまって良くない。低周波ノイズはアクティブNCで低減し、高周波は(密閉性を活かした)パッシブでノイズを防ぐ。そのバランスの良さが真髄」と強調。同社が持つトライポートテクノロジーなども組み合わせて、ノイズ低減と高音質の両立を追求していることを説明した。
イヤフォンのQC30については「業界最高のNC性能」を謳っており、製品名が「Quiet Comfort」ではなく「Quiet Control」となっている。ゲイジャー氏はQC30において、「Control」が重要なポイントの一つであると強調する。
新開発の「コントローラブル・ノイズキャンセレーション(可変ノイズキャンセリング)」により、使用するシーンに合わせて周囲の音をどの程度取り込むかを任意で調節可能。交通量の多い路上では周囲の音をより聞こえやすくしたり、仕事に集中する時は一切の騒音を遮断するなどの選択ができるという。
これを実現するのは、無料アプリ「Bose Connect app」との連携。このアプリは、ヘッドフォンのQC30や、スポーツ向けのSoundSport/SoundSport Pulseと同じものだが、QC30と接続した場合は、他のモデルとは違った設定項目が表示されるという。QC30接続時には、アプリ画面にフェーダーのような画面が表示され、NCの効き具合をコントロール可能。初期設定では最高値の「Quiet」となっているが、このレベルを「Mezzo」、「Aware」へ12段階で下げることが可能。
「QC30で一番大きく変わったのは、両側のイヤフォンの外側のマイクで入力された信号処理の部分。信号レベルを上げ下げできるだけでなく、信号処理との複雑な形で調整している。一定の周波数において、別の周波数を足してノイズを調整するとことなどが可能」と説明。
アプリのNC調整で一番下の「Aware」を選ぶと、最も高い/低い周波数帯域をキャンセルして、環境音を比較的聴こえやすくするもの。中間の「Mezzo」では平均的な頭部の音響特性をベースにしたもので、フラットな音を再現。一番上の「Quiet」は広い周波数帯域に渡ってノイズ低減を行なうもので、飛行機など最も強いNC効果を得たい場合に選ぶモードとなる。
独自イヤーピース「StayHear+」などによる装着の快適さについては「寝るときまで、着けているのを忘れるくらい」と評価するゲイジャー氏。ユニークなNCの使い方としては、コンサート会場で音が大きすぎると感じる時に、心地よいレベルにまでNCで音を下げて聴くという楽しみ方も実践しているという。
同社が初めてインナーイヤーモデルを発売した'07年に、ゲイジャー氏はNC搭載の「QC3」とインナーイヤー型を両方バッグに入れて使い分けていたという。周囲の音を聴ける状態で、音楽をアクセントとして聴く場合はインナーイヤー、カフェなどで集中して考える場合などはQC3を使っていたとのこと。こうした考えに社内でも共感する人が多かったことから、1台のイヤフォンで状況に応じて使い分けられるコントローラブル・ノイズキャンセレーションが生まれたという。
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