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ソニー、4K制作機器でHDのHDR映像制作を可能にするアップデート。高感度4Kカメラも

 ソニーは、米ラスベガスにて24日に開幕した国際放送機器展「NAB 2017」に出展する製品群を発表。4K映像制作機器を使い、HDのHDR映像制作を可能にするアップデートや、民生用テレビのHDR対応の広がりを受けて、HDR映像制作の時間を短縮するソリューション「インスタント HDRワークフロー」を紹介。さらに、多地点からの同時撮影やVR映像制作など、多目的で利用できる高感度業務用4Kビデオカメラ「UMC-S3CA」も発表した。

HDC-4800

4K対応機器でHDのHDR映像を制作、「インスタントHDRワークフロー」も

 ソニーは昨秋以降、スポーツライブ中継などの映像制作領域で、4K HDRの映像を高効率に制作するソリューション「SR Live for HDR」を推進している。これは、制作用フォーマット「4K-HDR S-Log3/BT.2020」を使い、シンプルなシステム構成でカメラ性能を最大限に生かし、4K HDR映像とHD SDR映像の同時ライブ制作を可能にするもの。

 今年のNABでは、この4K HDR映像制作ソリューションに加え、HD画質でのHDR映像制作ソリューションを新たに導入する。

 スポーツ中継などのライブ制作分野向けには、カメラからサーバー、モニターまで、既発売の4K映像制作機器をアップデートする事で、HDによる HDR映像制作にも対応させる。アップデート時期は「今夏まで」としており、「主に、4K放送実用開始に時間がかかることが想定される地域に向けて提案する」という。

 主なアップデート対応機器は、Super 35mm単板CMOSを搭載した、4Kスーパースローモーションカメラ「HDC-4800」、「BPU-4800」、2/3インチの3板式4Kセンサーを搭載した、4Kマルチパーパスカメラ「HDC-P43」。

 4K映像記録・リプレイ対応のサーバー「PWS-4500」では、アップデートにより、HDR記録に最適化されたXAVC記録モードも追加する。

 有機ELマスターモニタ「BVM-E171」は、HDRに対応するオプションライセンス「BVML-HE171」により、ITU-R BT.2100(HLG)、SMPTE ST2084(HDR)、S-Log3(Live HDR)などのフォーマットに対応する。

 ネットコンテンツやプロモーション、イベント映像などの制作現場で、ポストプロダクションに時間をかけず、撮影した映像をすぐにHDR映像として活用したいというニーズに向けて提案する「インスタント HDRワークフロー」では、XDCAMメモリーカムコーダ「PXW-Z150」と「PXW-FS5」の無償ソフトウェアアップデートを7月に実施。新たにハイブリッドログガンマ(HLG)収録を実現する。

高感度業務用4K対応ビデオカメラ「UMC-S3CA」

 昨年から発売している、超高感度小型業務用4K対応ビデオカメラ「UMC-S3C」に、新たに複数台カメラの同時運用や外部同期機能を追加した新機種「UMC-S3CA」を発売する。

高感度業務用4K対応ビデオカメラ『UMC-S3CA』

 多地点からの同時撮影やライブ制作用システム等への組み込みが容易なのが特徴で、VR映像制作にも活用でき、多目的の用途で活用できるとする。ブースでは、撮影したVRコンテンツやマルチアングルの撮影実例も展示する。

その他の新製品

 映画・CM・ドラマなどの制作分野向けに、高い階調性を持つ16bitシーンリニアデータを効率的なデータサイズで制作、運用できるソリューションも用意。

 独自開発の記録フォーマット「X-OCN」(eXtended tonal range Original Camera Negative)を導入し、CineAlta 4Kカメラ「PMW-F55」での運用を提案している。NABでは、そのワークフローの効率化をサポートする周辺機器として、AXSメモリーカードリーダ「AXS-AR1」や、フルHD解像度の有機ELビューファインダー「DVF-EL200」を発表した。

AXSメモリーカードリーダ「AXS-AR1」
フルHD解像度の有機ELビューファインダー「DVF-EL200」