「iVDR EXPO 2011」開催。iVDRサーバーなど展示

-Verbatimが500GBメディアで参入。クラウド化も


 リムーバブルHDDの規格団体「iVDRコンソーシアム」は31日、「iVDR EXPO 2011」を開催。規格の現状や市場動向、応用事例などを説明した。

 日立マクセルが6月中旬に発売予定の3波デジタルチューナ搭載のiVDR/HDDレコーダ「VDR-R2000」を紹介したほか、アイ・オー・データ機器や三菱化学メディア(Verbatim)などが発売を目指して開発中の製品を展示した。

 


■ マクセルの3波レコーダなど新製品。VerbatimもiVDR参入

アイ・オーの「RECBOX R」

 会場では各社が新製品や参考展示品を紹介した。アイ・オー・データ機器は、REC-iN(SAFIA非対応のiVDRカートリッジ)対応のLAN HDD「RECBOX S(HVL-AVR)」を、SAFIA対応とし、Woooなどで録画したiVDRの再生や本体HDDへのムーブなどを可能にする新モデル「RECBOX R」を参考出展。秋の発売を予定しているという。

 SAFIA対応以外の主な仕様はRECBOX Sと共通で、RECBOX SもファームウェアアップデートによりSAFIAに対応可能にする計画。


RECBOX R。展示機では開発中のSAFIA対応のファームウェアを搭載PC向けのメディアエクステンダーなど新iVDR周辺機器も参考展示
マクセル「VDR-R2000」

 日立マクセルは、6月25日発売予定のiVDR-S/内蔵250GB HDD録画対応、地上/BS/110度CSデジタルレコーダ「iVハードディスクレコーダー(VDR-R2000)」を紹介した。豊富な機能を有しながら、実売4万円と低価格な点も特徴。

 地上/BS/110度CSデジタルチューナを各2基搭載し、2番組同時の録画やMPEG-4 AVC/H.264の長時間録画に対応。日立の薄型テレビ「Wooo XP07」シリーズと同等の番組表や検索機能などを搭載し、おすすめ番組検索やGガイドの注目番組情報など、豊富な番組検索機能が利用できる点も特徴。さらに、DTCP-IP/DLNAサーバー/クライアント機能も搭載している。


日立「L42-XP07」

 日立コンシューマエレクトロニクスは、薄型テレビ「Wooo XP07シリーズ」のiVDR録画機能を紹介。充実した録画機能や編集機能などを搭載しており、先着購入者3万名に容量250GBのiVDR-Sをプレゼントするキャンペーンも実施する。

 三菱化学メディアは、VerbatimブランドのiVDR-Sカートリッジを参考展示。6月中旬に市場参入を予定しており、容量は500GB。価格は未定だが、「他社のiVDRに比べて、かなり安価な設定を考えている」という。

 特徴はデザインで、ドイツのARMAN EMAMIとのコラボレーションにより、外装にアルミを採用。さらに、専用ケースとラベルが付属。ケースに収納できるだけでなく、VHSテープのようにケース横でラベルを確認可能とし、内容などが確認できるようにしている。

iVDR-SにVerbatimブランドの三菱化学メディアが参入アルミ製の筐体が特徴
ARMAN EMAMIによるデザインとケースが特徴。ビデオテープのようにラベルを確認できる点も特徴ケース部日立グローバルストレージテノクロジーズもiVDRに参入

 


■ クラウド活用も視野に。「BDはただの板」

iVDRコンソーシアム日置代表

 iVDRコンソーシアムの日置敏昭代表は、iVDRの特徴や今後について説明。国際規格となっていることや、著作権保護技術のSAFIAによる日本のデジタル放送との親和性をアピールした。

 BDやSDカードとの比較では、容量当たりのコストやスピードだけでなく、“インテリジェント”という観点の優位点を強調。「インテリジェントなメディアとしてはiVDRが一番。次がSD、Blu-rayははただのプラスチックの板。なぜ、インテリジェントか。iVDRの中には全ての部品CPUもメモリもスピンドルも入った、一つのイクイップメント(装置)。このインテリジェント性を活かしていくのが、今後の課題」とした。

 また、録画テレビが増えていることや、マクセルの3波チューナ/レコーダ「VDR-R2000」、アイ・オーが発売予定のiVDR-S対応ホームサーバーなどの事例を紹介。さらに、これからのiVDRのインテリジェント活用例として、クラウドサービスとの連携というアイデアを披露した。iVDRに蓄積したデータをクラウドサーバーのデータと同期、自動車やスマートフォンなどでiVDR内のデータの閲覧や操作するなど、さまざまな場所でiVDRのコンテンツを利用可能にするスキームを提案していくという。

インテリジェントメディアとしてのiVDRiVDRの累計出荷数は750万台にクラウド連携も検討
日立マクセル 商品開発本部 松岡本部長

 日立マクセル 商品開発本部 本部長の松岡建志氏は、新製品のVDR-R2000や同社のiVDRへの取り組みを紹介。様々なメディアを手掛けてきた同社だが、Webからのダウンロードなどの“記録”の仕方が変わってきた現状を紹介。

 その中でも耐久性や、容量、速度などの利点から「iVDRは皆がほしかったメディア」と説明。全50話のドラマを1本に収納できるほか、友人の事例として「奥さんが日本で番組を大量にiVDRに録画し、赴任先の南アフリカでさみしさを紛らわしている」という使い方も紹介した。

 VDR-R2000については、2番組同時録画や検索性の高さ、DLNA/DTCP-IPなどのネットワーク機能をアピール。さらに、容量や検索性を活かし「こどもの成長を1本にまとめるなど、自分たち、その家にしかないコンテンツを作れる。そんな次世代のメディアとしてiVDRを育てたい。そのためにレコーダやプレーヤーを作っていく」と訴えた。

 また、VDR-R200の価格については、「Wチューナと検索、DLNAなどを搭載した高機能なレコーダ。7~8万円でもおかしくないと思うが、iVDRを普及させたいという思いで、実売4万円にした」と説明した。

VDR-R2000の特徴iVDR製品を通じて伝えたいことiVDRでこれから目指すこと
日立グローバルストレージテクノロジーズ 山本氏

 日立グローバルストレージテクノロジーズ CE/PSビジネスマネージメント部長の山本慎一氏は、iVDRメディアに日立ブランドで参入したことを発表。複数の企業が参入することで、市場の拡大を図れるとしており、日立ブランドのHDDでのシェア向上を狙うという。



(2011年 5月 31日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]