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オーテク、クアッドBAで約6万円のカナル型モニター

着脱ケーブル採用「IM04」。約4万円で3基「IM03」も

ATH-IM04

 オーディオテクニカは、バランスド・アーマチュア(BA)型ドライバ4基を内蔵したカナル型(耳栓型)イヤフォンのハイエンドモデル「ATH-IM04」など4製品を11月15日に発売する。

 価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、4ドライバ搭載の「ATH-IM04」が6万円前後、3ドライバの「ATH-IM03」が4万円前後、2ドライバの「ATH-IM02」が2万円前後、シングルドライバの「ATH-IM01」が15,000円前後。

 “インナーイヤーモニター”の新製品。新開発のBAドライバを搭載するほか、新たな専用端子による着脱式ケーブルを採用したことも特徴。

ATH-IM04
ATH-IM03
ATH-IM02
ATH-IM01
左がATH-IM03、右がATH-IM04
左がATH-IM01、右がATH-IM02

ATH-IM04

ケーブルを耳に掛けて装着する

 低域用×2、中域用×1、高域用×1の計4基の新開発BAドライバを搭載したシリーズ最上位モデル。専用設計のクアッド・ネットワークにより正確なレスポンスを追求している。ケーブルは着脱可能で、信頼性の高い接続とメンテナンス性を両立したという。なお、この端子は2ピンで、既発売モデル「ATH-CK100PRO」とは形状が異なる。ケーブル内部にワイヤーを備え、耳に掛けて装着できる。

 再生周波数帯域は15Hz~20kHz、出力音圧レベルは101dB/mW、最大入力は3mW、インピーダンスは14Ω。プラグはステレオミニ/L型。ケーブルはY型で、長さは1.2m。ケーブルを除く重量は約8g。イヤーピースはシリコン製(S/M/Lサイズ)に加え、コンプライフォームイヤーピース(Mサイズ)も同梱。ケースも付属する。

本体内側
ケーブルは着脱式

ATH-IM03

ATH-IM03

 低域/中域/高域用に各1基の新開発BAドライバを搭載したモデル。専用設計の3ウェイネットワークにより、3基のドライバをバランス良く駆動するという。ケーブルは着脱式で、ワイヤー入りの専用ケーブルを採用する。「快適な装着感と高い密閉性を兼ねたデザイン」としている。

 再生周波数帯域は18Hz~18kHz、出力音圧レベルは108dB/mW、インピーダンスは34Ω。プラグはステレオミニ/L型。ケーブルはY型/長さ1.2m。イヤーピースはシリコンのS/M/Lサイズと、コンプライフォームのMサイズを同梱する。ケースも付属する。

ハウジングの内部が見える構造
ケーブル接続部

ATH-IM02

ATH-IM02

 低域用と中高域用に各1基の新開発デュアルBAドライバを搭載。アコースティックホーンにより高域の減衰を抑え、音の伝搬効率を向上させている。ケーブルは着脱式でワイヤー入り。ハウジングは「密閉性の確保に必要な最小サイズを追求した」という。

 再生周波数帯域は20Hz~16kHz、出力音圧レベルは113dB/mW、インピーダンスは36Ω。プラグはステレオミニ/L型、ケーブルはY型で、長さは1.2m。ケーブルを除く重量は約5g。シリコンイヤーピースのS/M/Lサイズと、コンプライフォームのMサイズ、ケースを同梱する。

ATH-IM01

ATH-IM01

 フルレンジのシングルBAドライバ搭載モデル。アコースティックホーンにより、高域の減衰を抑えている。ケーブルは着脱式でワイヤー入り。ハウジングは密閉性の確保に必要な最小サイズを追求したという。

 再生周波数帯域は20Hz~15kHz、出力音圧レベルは106dB/mW、インピーダンスは47Ω。プラグはステレオミニ/L型、ケーブルはY型で、長さは1.2m。ケーブルを除く重量は約5g。シリコンイヤーピースのS/M/Lサイズと、コンプライフォームのMサイズ、ケースが付属する。

音を聴いてみた(編集部:山崎)

 4機種を短時間ではあるが試聴したので印象をお伝えしたい。再生はハイレゾプレーヤーの「AK120」を使っている。

 4基のBAを搭載した「IM04」は、ゴージャスな仕様そのままのリッチなサウンド。低域に迫力があり、中低域も肉厚。高域の伸びも素直で、ワイドレンジだ。どちらかと言うと低域の力強さが印象に残るバランスで、モニター系とはやや異なる。ただし、高域の付帯音は少なくクリアで情報量はキッチリ聴きとれる。迫力と高解像度の同居を求める人にマッチしそうだ。

 3基の「IM03」は、半透明の落ち着いたカラーの筐体を採用。実売4万円前後の価格も含め、Shureの3基BAモデル「SE535」のライバルになりそうだ。音を聴くと、非常に完成度が高く、低域の厚みや迫力は上位モデル「IM04」より一歩下がるが、それによって逆に全体のバランスはフラットに近づき、モニターライクで万人好まれるであろうウェルバランスになる。

 BAイヤフォンだが、高域の質感が豊かで、ヴォーカルも生々しい。音場も広く、閉塞感も感じられない。価格と音質のバランスがとれた、要注目モデルだ。

 デュアルBAの「IM02」は、爽やかで、どちらかと言うと高域寄りのバランス。中低域に覆われるシーンが少ないので、高解像度で細かな音を得意とするBAの良さが味わえる。逆に、迫力ある低域や、肉厚なサウンドを求める人は別のモデルを選んだ方が良いだろう。

 フルレンジ・シングルの「IM01」も完成度の高いモデルだ。フルレンジらしく、高域から低域まで繋がりの良い、自然なサウンドで、各帯域に誇張が少ない。シングルドライバではあるが、低域はシッカリ出ており、迫力も十分。上位のマルチウェイモデルと比べると、全体のレンジはやや狭く、こじんまりとした面もあるが、その中でバランスのとれたニュートラルなサウンドを実現している。

(山崎健太郎/中林暁)