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アユート、ハイレゾ対応の小型USBアンプ「AK10」

スマホやPCとデジタル接続。AK120と同じDAC搭載

iPhone 5sと接続したところ

 アユートは、Astell&Kernの新製品として、iPhoneやPCなどと接続できるコンパクトなDAC兼ヘッドフォンアンプ「AK10」を11月8日に発売する。直販価格は29,980円。10月26日、27日に開催される「ヘッドフォン祭」のiriverブースで先行試聴できるという。

 外形寸法54×54×13.2mm(縦×横×厚さ)、重量約51gの小型・軽量なDAC内蔵ヘッドフォンアンプ。筐体のほとんどを占めている大きなアルミ製のボリュームキーが外観的な特徴で、指でクルクルと回す事でボリューム増減ができる。側面には再生/一時停止、早送り/巻き戻しボタン、スライド式の電源キーにはロック機構も備えている。

手のひらサイズのコンパクトなUSB DAC搭載ヘッドフォンアンプ
このように大きなアルミのボリュームを回して音量調整ができる
側面に操作系の制御ボタン
AK10

 付属のケーブルを利用し、iPhone 5や第5世代iPod touchのLightning端子と接続。最大24bit/48kHzのデータを転送・再生できる。デジタルで伝送し、AK10側のDACでアナログ変換し、アンプで増幅する事で、高音質な再生ができるとする。

 Android端末とのデジタル接続も可能。AK10専用の別売USBマイクロケーブルを用いて接続する。動作確認が行なわれているAndroid端末は、GALAXY S3/Note2(最大16bit/44.1kHz)、Note3(最大24bit/96kHz)。ただし、Android製品との接続は、全ての接続機器の動作を保証はしていない。

 付属のケーブルでPCとUSB接続し、USB DAC兼ヘッドフォンアンプとして利用する事も可能。最大24bit/96kHzまでのデータに対応する。対応OSはWindows XP/Vista/7/8(32/64bit)、Mac OS X 10.6.5以降。

天面にスライド電源スイッチとイヤフォン出力
背面にはUSBマイクロ端子
バンド付きのレザーケースを同梱
付属のAK10専用Lightningケーブル

 搭載DACはAK100やAK120でも採用されているWolfsonの「WM8740」(AK120はL/R用個別にDACを搭載)。DACだけでなく、AK100/AK120で培ったアナログ回路技術やアンプ技術も投入していると言う。

 イヤフォン出力はステレオミニ×1系統。出力レベルは1.7Vrms×2ch(負荷無し)。出力インピーダンスは1.1Ω。1,100mAhのリチウムポリマーバッテリを内蔵し、約11時間の再生が可能。充電はUSB経由で、所要時間は約3時間半。接続用ケーブルとして、専用のLightningショートケーブル(約10cm)、専用USBケーブルを同梱。バンド付きのレザーケースも付属する。

レザーケースは装着した状態でも各種ボタンや機能にアクセスできる
操作ボタンもケースの上から押せる
ケースの背面にはバンドを装備。バッグの紐やベルトなどに固定する事ができる

試聴してみた

iPhone 5sとAK10を重ねたところ。この小ささならば、スマホと一緒にアンプを片手でホールドできる

 右の写真のように、iPhone 5sと組み合わせて片手で持ってみると、手のひらの中にアンプがスッポリ収まる小ささなので、難なく片手でアンプ+スマホをホールドできる。そのまま、親指でスマホのディスプレイを操作する事も可能だ。ポータブルヘッドフォンアンプには、スマホと同程度のサイズや、それを上回る大きさのモデルも多いため、それらの機種と比べると、取り回しは格段に容易だ。

 付属のAK10専用Lightningケーブルを使い、iPhone 5sとのデジタル接続してみる。iPhoneのイヤフォンジャックに直接接続した音を聴いた後、AK10とのデジタル接続に切り替えると、アンプがパワフルになった事で低域がグッと肉厚になり、同時に音場が拡大。奥行きも出て、立体的なステージに音楽が展開する。

 音場が広くなったので音像は遠ざかるかと思いきや、ヴォーカルはグッと前にせり出して生々しさがアップ。口の開閉もリアルに聴き取れるようになる。情報量、そしてアンプのドライブ能力共に、ワンランクアップしたと感じる。iPhone 5s自体の音質も悪くはないのだが、聴き比べてしまうと、音場がこじんまりとし、低域の馬力不足に聴こえてしまう。音質の差は大きく、聴き比べればすぐにわかるレベルだ。

PCと接続したところ

 Windows 7のPCとも接続。再生ソフトにfoobar2000を使い、WASAPIモードで再生してみた。

 iPhoneと接続した時と同じ、スッキリと見通しの良い音だ。同じメーカーの製品で、DACも同じなので当たり前ではあるが、AK100やAK120を彷彿とさせるサウンドで面白い。傾向としては、ソースの余計な手を加えず、素直にそのまま出すタイプで、広い音場にシャープな音像が描かれる。カリカリにエッジを立たせるような輪郭強調してはおらず、弦楽器の質感も伝わりやすい。SNも良好で、余韻の音が消える様子も美麗だ。

 聴き比べると、ブーストモードをONにしたAK100の音と似ている。「山下達郎/希望という名の光」も、量感のある低域がしっかりと出ており、バランスも良好だ。

 据置型のUSBヘッドフォンアンプや、大型のポータブルアンプと比べると、アンプのパワーや分解能がもう一声欲しいと感じるシーンもあるが、このサイズを考えると健闘していると感じる。サイズも含め、スマートフォン内蔵アンプや、ノートPCのイヤフォン出力からの手軽なクオリティアップとして注目したい製品だ。

 なお、PCと接続した状態でも、本体側面の再生/一時停止や曲送り/戻しボタンを押すと、キチンとfoobar2000が操作できた。寝転がって音楽を楽しんでいると、いちいちマウスのところに戻るのが面倒なので、便利な機能だ。

(山崎健太郎)