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地デジ開始10周年式典。難視対策で“完全デジタル化”、東京五輪の4K/8K本格放送実現へ

左から、Dpaの福田理事長、IPTVフォーラムの伊藤事務局長、CATV連盟の松本専務理事、JEITAの佐々木会長、NHKの松本会長、総務省の福岡局長、民放連の井上会長、NexTV-Fの須藤理事長、衛星放送協会の和崎会長、東京大学の稲田特任教授

 地上デジタル放送の開始から10年を迎えた12月1日、デジタル放送推進協会(Dpa)は、NHKや日本民間放送連盟(民放連)、電子情報技術産業協会(JEITA)らとともに「デジタル放送の日」の記念式典を都内で行なった。

 また、同日に東京・表参道ヒルズにおいて、4K/8Kテレビやハイブリッドキャスト(Hybridcast)などの次世代テレビ展示会「未来を見よう 進化するテレビ」を開催した。

「新たな難視」地域は10月末時点で3.9万世帯。'15年3月末までに完全移行へ

記念式典が行なわれた東京・港区のホテルフロラシオン青山

 2003年に東京・名古屋・大阪の3都市圏でスタートした地上デジタル放送波、3年後の2006年12月には全国の県庁所在地に拡大。その後も対応世帯を増やし、東日本大震災による東北三県における停波延期はあったものの、ほぼ当初の目標通りに2011年7月24日のアナログ停波、デジタル放送への移行を迎えた(東北3県は2012年3月31日)。

 Dpaは、2020年の東京五輪を見据えた取り組みとして「未来を見よう 進化するテレビ」というテーマを掲げ、4K/8Kなどの次世代テレビを一般向けに訴求する展示会を開催するとともに、地デジ視聴が困難な世帯などに向けたセーフティネットである2つの暫定措置「難視対策衛星放送」と「CATVデジアナ変換」の終了が控えることを周知。最終的な「完全デジタル化」への決意を確認する式典を、関係団体らとともに開催した。

 東北3県のデジタル放送移行により、全国的に地デジ化は完了を迎えたが、現在も地デジを自宅のアンテナなどを使って受信できない「新たな難視」の対象地域が存在する。現在の暫定措置である「難視対策衛星放送」や、CATVなどの「デジアナ変換」が終了する2015年3月末までに、恒久的な対策が必要となる。

 「難視対策衛星放送」は、BSデジタルの291〜298チャンネルを利用し、地デジの難視地区に居住している人を対象に、暫定的に衛星放送を利用して地デジの番組を放送するもの。スクランブルをかけているため対象地区以外は視聴不可となっている。NHKおよび地域民放と同系列の東京キー局番組の放送を2015年3月末を期限として実施している。

 現在、デジサポ(総務省テレビ受信者支援センター)らによる、高性能アンテナの設置や放送/共聴施設の整備といった活動で、対策が必要な世帯は2012年度末の約7.3万世帯から、2013年10月末時点では約3.9万世帯まで減少したが、今後の新たな取り組みとしては、難視対策衛星放送の画面において「EMM(Entitlement Management Message)方式」の告知スーパーを実施。これは利用者ごとにメッセージを表示することができる方式で、こうした告知により、対象世帯に対して難視対策衛星放送センターへの連絡などを促す。

難視聴世帯へのデジサポの取り組み
「新たな難視」対策の概要
難視対策衛星放送に告知スーパーを表示する

 「デジアナ変換」は地アナ終了後も、2015年3月15日まではアナログテレビを使った視聴が可能なサービス。CATVや、スカパー!の「プレミアムサービス光」、NTTの「フレッツ・テレビ」などで暫定措置として実施されている。

 日本ケーブルテレビ連盟の推計値では、現状のデジアナ変換視聴可能世帯の約2,530万世帯(総務省調査)のうち、家庭の「1台目のテレビ」でデジアナ変換視聴している世帯は、全体の6.4%(162万世帯)と見ており、多くの世帯が2台目、3台目のテレビをデジアナ変換で視聴しているという。

 デジタルテレビへの買い替えを促進する対策としては、9月からは告知テロップの強化(1時間に1回から4回に増やす)や、コミュニティチャンネルでのスポットCMの開始、該当エリア/世帯へのチラシ配布などを行なっている。

 これに加え、12月からは自治体所有の公営住宅や量販店、電気店などにチラシ・ポスター配布場所を拡大。さらに、重点地区/重点施設での説明会も実施する。

デジアナ変換サービス終了のチラシを配布中
デジアナ変換視聴世帯の現状
デジアナ変換終了への対策
BSデジタルパラボラアンテナプレゼントキャンペーンの概要

 地デジ移行に合わせて、BSデジタル放送の一層の拡大にも注力。その一環として、現在実施中のBSデジタルパラボラアンテナプレゼントキャンペーンも紹介した。

 これは、Dpaのサイト上で受け付けているプレゼントキャンペーンで、BSパラボラアンテナ1台と設置サービスが、抽選で合計500名に当たるというもの。2回にわたる抽選のうち、第1回抽選の1名には、アイドルグループ「SUPER☆GiRLS」によるBSパラボラアンテナの設置取付けとCM出演権がプレゼントされるというもの。

 期間は11月25日〜2014年2月21日で、第1次応募は2014年1月7日まで、第2次応募は2014年1月8日〜2014年2月21日。Webサイトや電話、FAX、郵送で応募可能。詳細はDpaのキャンペーンサイトで案内している。

2020年の東京五輪までに4K/8K本格放送を目指す

総務省情報流通行政局の福岡徹局長

 式典に登壇した総務省情報流通行政局の福岡徹局長は、日本におけるテレビ放送開始が1953年から60周年の“還暦”を迎えることに言及。2000年のBSデジタル放送開始、2003年の東名阪での地デジ開始に立ち会ったことを振り返り「デジタル放送開始の瞬間を体験する緊張感、熱気を思い起こしている」と述べた。

 一方で、「やむを得ず難視対策衛星放送を受信している人が約5万人ほどいると聞いており、デジアナ変換の世帯も多数残っている。'15年3月末の終了に向け、総務省としても、地デジ視聴できない、取り残される方が生じないよう、今後も関係者と一丸となってと取り組んでいく」とした。

 今後のデジタル放送の進化については、4K/8K放送や、ハイブリッドキャストを含む放送通信連携のスマートテレビの実現に意欲を見せ、「これまで、放送のデジタル化に向けて舵を切るときにはいろいろな議論があったが、今となってはデジタル化が必然であったことに異を唱える人はいないだろう。日本は、これからも高い技術を活かして最先端のサービス/製品を提供しないと成長できない」とした。

 テレビの機器/サービスの進化を促す契機としてとらえられているのが2020年の東京オリンピック。福岡氏は「日本の技術力などを世界に向けた格好のショールームとなるのが東京オリンピック/パラリンピック。4K/8Kテレビ放送やスマートテレビについては、総務省としてもロードマップを出しており、2020年を大きなターゲットとして、具体的な取り組みを進めて行きたい」と述べた。

NexTV-Fの須藤修理事長

 また、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)の須藤修理事長は、「デジタル放送移行が完遂されたことは、まさに日本文化の細やかな“おもてなし”精神によるもの。NexTV-Fはこれまでのデジタル放送を発展させ、4K/8K/スマートテレビを早期に普及させ、できれば来年のサッカーW杯もCSとBSで試験放送をしたい。2020年までには完璧な圧縮技術を完成させ、世界最高水準の4K/8K/スマートテレビを普及させたい」と述べた。

NHKの松本正之会長「放送技術の発展は、これまでオリンピックと同時進行してきた。昨年のロンドン五輪の4K/8Kパブリックビューイングに続き、2020年に向けて、8K/SHV本格放送の開始を目指す」
民放連の井上弘会長「地デジがここまでの普及したのは、視聴者の皆さんが、テレビを買っていただいたことが最大の理由。2020年はテレビ局にとっても千載一遇のチャンス。BSデジタルは開始当初苦労も多かったが、今後は地上波とも協力して、テレビという媒体の強さを図っていく」
JEITAの佐々木則夫会長「4K/8Kや放送連携を一過性に終わらせないために、テレビの機能を活かした魅力的なコンテンツが必要。JEITAも設備や受信機など、使いやすい機器の開発にまい進する。アジアをはじめとする世界の方々にも楽しんでいただきたい」
Dpaの福田俊男理事長「デジアナ変換と難視対策衛生放送の終了までに1年4カ月あるが、Dpaの最大の使命は“完全地デジ化”。これに向けて、総務省、メーカー、NHK、民放、CATVと一緒に頑張っており、現在は最終コーナーをほぼ回ってきたと思っている」
東京大学特任教授の稲田修一氏

 式典に続いて、東京大学特任教授の稲田修一氏が「ネット連携による新しい放送ビジネスの流れ〜鍵はビッグデータ活用」というテーマで記念講演も開催。

 現在、各放送局が取り組んでいる放送通信連携の例を紹介したほか、今後テレビ局などが放送ビジネスを拡大させる一つの手がかりとして、ビッグデータの活用を提案。CATVの操作やVOD視聴の履歴などで得られる視聴者の行動に加え、SNSに投稿されるキーワードなどをビッグデータとして活用したイノベーションにより、視聴者にとって有益なサービスを実現することの必要性などについて説明した。

放送通信連携の活用例や、今後のテレビが進む方向性、ビッグデータの活用などについて講演した

4KテレビやHybridcastなど「進化するテレビ」を参道ヒルズに展示

東京・表参道ヒルズ

 同日には、東京・表参道ヒルズの地下3F・スペースO(オー)において、「未来を見よう 進化するテレビ」というテーマの展示会を実施。テレビメーカーが4K対応テレビを出展したほか、地上波/BSのテレビ局が、放送通信連携のハイブリッドキャスト(Hybridcast)を活かした現在/将来のサービスなどを紹介した。

 NHKは、2012年に発表した、シャープと共同開発の8K/スーパーハイビジョン対応85型液晶テレビを展示。昨年の紅白歌合戦や、リオのカーニバル、サッカーのコンフェデレーションズカップ、NHK杯フィギュアの浅田真央、高橋大輔選手の演技などを上映していた。また、4K対応テレビのコーナーでは、ソニー、東芝、パナソニック、シャープの各メーカーが最新モデルを展示した。

地下3FのスペースOに展示会場を用意
NHKの85型8K液晶テレビ
ソニー、東芝、パナソニック、シャープが4K対応テレビを展示

 テレビ局によるハイブリッドキャストのコーナーでは、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビが出展。スマホ/タブレットとの連携や、インターネット経由で取得した情報をテレビ番組と連動して表示するといったハイブリッドキャストの活用例を紹介していた。

NHKと民放各局がハイブリッドキャストの活用例などを提案していた
マルチスクリーン型放送研究会のブース

 さらに、大阪の民放を中心に全国のローカル局が連携してテレビとスマホが連携する視聴スタイルを提案する「マルチスクリーン型放送研究会」も出展。

 同研究会は、「広告モデルとして成り立つ近未来のテレビ」実現に向けて、スマホ/タブレットを使ったセカンドスクリーンサービスを目指すもの。2011年12月に在阪民放局らが中心となって立ち上げ、現在は全国の放送局37社や、東芝、パナソニック、シャープ、富士通、NECなどテレビ/放送機器メーカー、電通、博報堂DYメディアパートナーズといった広告代理店などを含め67社が会員となっている。

 既存のハイブリッドキャストと違うのは、テレビ画面にオーバーレイで表示するのではなく、通信による情報は全てスマホなどのセカンドスクリーンに集約する点。実現には電波にIPを用いて一斉同報配信を行なう「IPDC」(IP Data Cast)サービスの導入が前提となっており、対応の受信機が必須となるが、実現すれば受信機で受け取った放送波とIPコンテンツを、家庭内のルーターを介してスマホで受け取ることが可能となり、ネットの輻輳対策にも有効としている。

 活用例として、今回の展示会では複数のデモを用意。例えば、CMに合わせてスマホに表示された画面を連続タップすると商品の代金が割り引かれたり、テレビのトーク番組で出たキーワードをすぐにスマホでWeb検索したりといったことを紹介。テレビ側がアプリを用意することで、Web検索後に視聴者の意識がネットに流れるのを防ぐ効果も見込めるという。

 同研究会では放送局共通のアプリを用意して、2014年2月にはトライアルを実施予定。このトライアル時点では、IPDCは使わないが、Web上からCMや番組放送に連動してスマホで情報を受け取れる仕組みを作る予定としている。ハイブリッドキャストなど既存サービスと競合するのではなく、いずれは一本化されることなどを目標として、今後も取り組んでいくという。

テレビ番組の進行に応じて、キーワードをスマホに表示して検索しやすくする
CMなどを後から見返すことも可能
CMを最後まで見ることでゲームを遊べるといった活用例も

 デジアナ変換の終了周知や地デジの受信相談のコーナーも設置。前述したBSデジタルパラボラアンテナプレゼントキャンペーンも紹介。これ以外に、会場にもプレゼントコーナーを設置。アンケートに答えると抽選器を回せるもので、特賞がBlu-ray Discレコーダ(5名)、一等はDpaのキャラクター「コデミ」のパペット(100名)、二等はマーカー(100名)などがプレゼントされた。

受信相談のコーナー
BSアンテナプレゼントキャンペーンの紹介
会場プレゼント抽選会のコーナー

(中林暁)