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NICT、TV放送帯のホワイトスペース/LTE両対応のAndroidスマホを開発。通信負荷を分散

開発されたスマートフォン

 独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)は17日、テレビ放送帯のホワイトスペースでの利用を想定した、LTE(Long Term Evolution)技術を活用したスマートフォンを開発したと発表した。

 テレビ放送に割り当てられている電波帯の中で、地理的条件などによって、ほかの目的にも利用可能な周波数であるホワイトスペースを通信に利用できるスマートフォン。テレビ放送帯(470MHz~710MHz)で運用するホワイトスペース対応基地局と、2GHz帯における既存のLTEネットワークに接続できる。ホワイトスペース通信用に、UHF帯アンテナを接続している以外は、市販のスマートフォンと同等の形状。ホワイトスペース対応システムへの接続用と、LTEネットワーク接続用のSIMカードの2枚を使ったデュアルSIM対応で、ソフトウェアで切り替え、通信周波数を選択できる。OSはAndroid 4.2。

 将来的には、共通の管理装置(EPC)により、LTEネットワークとホワイトスペース対応システムとの間をローミングし、SIMカード1枚のみでの使用も可能になるという。内蔵のUHF帯アンテナは、引っ張り出して伸ばして使用できる。また、安定した通信を行なうために受信用のサブアンテナを追加して接続することも可能。既存のLTEネットワークからホワイトスペースに通信トラフィックをオフロード(負荷分散)することで、地域全体の通信速度の向上を見込む。

試験システムの構成

 ホワイトスペース対応基地局と、利用可能な周波数を計算するホワイトスペースデータベースは、NICTが既に開発したものを使用。ホワイトスペース対応基地局の送受信用アンテナは、横須賀リサーチパーク(YRP)の屋上に設置している。開発されたスマートフォンは、ホワイトスペースデータベースにスマートフォンの現在の位置情報やスマートフォンの無線諸元を送信することで、利用可能な周波数や送信電力の情報を取得。それに基づきホワイトスペースを利用した通信を行なう。なお、ホワイトスペースデータベースへの問い合わせにはホワイトスペースの電波を利用できないため、LTEネットワークや内蔵の無線LAN機能を利用する。

 開発されたスマートフォンのディスプレイは4.7型のタッチパネル液晶で、解像度は1,920×1,080ドット。1,340万画素カメラを備えるほか、Bluetooth 4.0や無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n)、Miracast、MHLなどに対応する。バッテリ容量は2,600mAhで、連続通話は約610分(3G通信)、待受けはLTE通信時が約440時間、テレビ放送のホワイトスペース利用時が約290時間。外形寸法は約132×65×10.9mm(縦×横×厚さ)、重量は約146g。

(中林暁)