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NHK、8K放送でのハイブリッドキャスト向け技術や8K伝送ケーブルなど開発

 NHK(日本放送協会)は20日、8Kスーパーハイビジョン(SHV)に関連し、SHVでのハイブリッドキャストサービスを可能にする送受信装置や、SHV映像伝送用のインターフェイス、超高圧縮で映像伝送を可能にする「リアルタイム時空間解像度変換装置」などを発表した。

 いずれも、5月29日~6月1日に開催する「技研公開 2014」にて展示を行なう。

8K SHVでのハイブリッドキャストに向けて

MMTとMPEG-2 TS伝送・表示の違い

 放送と通信を連携させたハイブリッドキャストサービスは既に実施されているが、次世代の8K SHVにおいても、それに合わせたハイブリッドキャストサービスの実現を予定。そのために必要な、次世代の多重化方式「MPEG-H MMT」に対応した送受信装置が開発された。

 多重化方式のMMTは、NHKが研究開発や標準化を積極的に進めてきたもので、2014年3月にISO/IECの国際規格として承認された。現在のデジタルハイビジョン放送で使われているMPEG-2 TSは、放送という単一の伝送路を前提としたものだが、MMTは通信も含め、複数の伝送路で情報を提供できる。MPEG-2 TSは映像や音声などを1つにまとめて送信するが、MMTは映像、音声、アプリなどを別々に伝送し、受信機がそれらを選択して受信・表示できるのが特徴。

8K SHVでのハイブリッドキャスト概要

 開発された送受信装置は、放送や通信といった伝送路の区別なく、送られてきた複数の映像や音声を同じテレビ画面内に同期して表示可能。スマートフォンやタブレットなどのセカンドスクリーンとも同期表示できるなど、多彩な情報表示を可能にするという。

フルスペックSHVの144Gbpsを1本のケーブルで伝送

 8K SHVの最上位映像フォーマットであるフルスペックSHVは、7,680×4,320ドット/120pと、高解像度でありつつ、1秒あたりのフレーム数も増やすことで、なめらかな映像も表現できるというもの。階調は12bit。しかし、そのため信号レートは144Gbpsと、HDの約100倍となり、機器間の接続に100本近いケーブルが必要だったという。

 そこで、フルスペックSHV用の光インターフェイスを開発。ケーブル1本で伝送できるほか、コネクタのサイズや形状は従来とほぼ同じで、接続や取り回しも容易だという。

フルスペックSHV用インターフェイス
フルスペックSHVカメラ
120p表示対応のSHVディスプレイ

リアルタイム時空間解像度変換装置

リアルタイム時空間解像度変換装置

 8K SHVのような情報量が非常に多い映像を効率良く伝送するための研究も行なわれている。「リアルタイム時空間解像度変換装置」は、映像の精細さ(空間解像度)やフレーム周波数(時間解像度)について、高解像度の映像素材を一旦低解像度の映像に変換してから伝送し、受信側で高画質に復元するもの。

 従来の映像符号化伝送では、送信側の高い解像度の映像に対し、伝送路の伝送容量が小さい場合は、映像を低ビットレートで圧縮符号化する必要があった。だが、それによりブロック状の歪みなど、映像が劣化する要因となっている。

 開発した装置では、映像の細かい模様を補って高解像度化する「超解像技術」と、前後フレームの画像から中間フレームの画像を合成する「フレーム内挿技術」を組み合わせた「時空間ハイブリッド復元技術」を搭載している。

 ただし、今回の装置では入力映像は2K120p、4K60p、4K120pまでの対応。それを2K60pに低解像度化して伝送、伝送された2K60p映像を高解像度化し、4K120pといった元のフレーム周波数に復元する。超解像とフレーム内挿の処理に必要な情報を補助情報として同時に伝送する事で、より高画質に、時空間ハイブリッド復元できるという。今後は8K SHVの解像度にも対応させる予定。

時空間解像度変換装置を使った映像伝送システムの概念図

(山崎健太郎)