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1964 EARSの新イヤモニ「ADEL」、「NW-ZX2」グランド分離出力ケーブル
(2015/2/14 19:41)
東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「ポータブルオーディオ研究会(ポタ研) 2015冬」が14日、中野サンプラザで開催された。入場は無料。ここではミックスウェーブやOPPO Digitalなどの新製品を中心にレポートする。
ミックスウェーブ
ミックスウェーブの目玉は、1964 EARSのカスタムイヤフォン新シリーズ「ADEL」。Λ6、Λ10、Λ12の3モデルをラインナップしており、型番は搭載しているバランスド・アーマチュアユニットの数を表している。
高域、中域、低域のユニット数は、Λ6が各2個、Λ10が高×4、中×4、低×2、Λ12は各4基となる。Λ10の低域ドライバの数が少ないのが特徴だ。
さらに、Unique MelodyのMarverickをベースとした、開発中のカスタムイヤフォンも参考展示された。
また、マニアックなケーブル試作品として、ハイレゾ対応ウォークマンの新モデル「NW-ZX2」に接続し、イヤフォン/ヘッドフォンで左右のグランドを分離した出力(非BTL)するためのケーブルも発見。以前、ZX2の音質レビュー記事を掲載した際、アンバランスのステレオミニ出力端子に、4極ミニのケーブルを接続してテストを行い、グランドを分離した出力が可能なのではと予想したが、それに対応したケーブルがこの試作品となる。
端子は、ZX2接続側が4極のステレオミニ、イヤフォン側はカスタムイヤフォン向けの2ピンプラグになっている。これを用いる事で、グランドを左右チャンネルで分離した、より高音質な再生が図れるとしている。
ケーブルはBeat Audio製。モデル名は「Signal for CUSTOM NW-ZX2」。イヤフォン側のプラグは、異なるものをラインナップしていく予定だという。他にも、ソニーのバランス駆動対応ヘッドフォンアンプ「PHA-3」と組み合わせられるバランス対応ケーブルも参考展示。MDR-Z7とPHA-3をバランス接続するためのALO audio製ケーブルも展示された。
【表記訂正】
記事初出時に「バランス接続(非BTL)」と記載しておりましたが、「グランド分離接続」に表記を改めました。(2月16日)
ソニー関連以外では、Westoneのイヤフォン向けのMMCX端子を備えたケーブルも参考展示している。プラグ形状としてはMMCXだが、ShureなどのMMCX端子とWestoneの端子は若干形状が異なり、うまく接続できない事もあるため、Westoneのイヤフォン向けのモデルを新たに開発しているという。
他にも、片側が4ピン角型プラグ、反対側がAKシリーズの2.5mm 4極プラグになっているALO audioのケーブルも展示。既に4ピン角型プラグのイヤフォンを持っているユーザーが、AKシリーズを購入した場合に利用できるという。
ティアック
ティアックブースでは、12日に発表されたばかりのKOSSの新製品3機種が目玉。2月下旬発売で、価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、スタジオモニター向けの「Pro4S」が24,000円前後、スタンダードモデルでアラウンドイヤー型の「SP540」が24,000円前後、オンイヤー型の「SP330」が2万円前後。
モニターヘッドフォンの「Pro4S」は、プロ向けならではの堅牢性や、スタジオリファレンス向けにチューニングされた新開発ドライバ「SLX40」による正確な再生能力が特徴という。ハウジングは密閉型。ケーブルは本体から着脱でき、左右どちらのハウジングにも接続できるデュアルエントリー機構を採用。複数の「Pro4S」をデイジーチェーン接続する事もできる。
SP540/330は、「密閉型ポータブルヘッドフォンのニュースタンダード」と位置付けられており、SP540はアラウンドイヤー型、SP330はオンイヤー型。いずれも耳の形状に合わせたD型ハウジングを採用。低反発メモリーフォーム採用のイヤーパッドを採用している。
着脱可能なステレオミニの片出しケーブルや、フラットに折り畳めるアルマイト加工のハウジングを採用。付属ケーブルは長さ1.4m。周波数特性は、SP540が10Hz~25kHz、SP330が20Hz~25kHz、インピーダンスはいずれも35Ω。ケーブルを除く重量は、SP540が184g、SP330が108g。
さらに、初披露の製品として、Bluetoothヘッドフォンの「BT540 i」も参考展示した。来月頃のリリースを予定しているという。
また、独beyerdynamicの新製品も展示。2月下旬発売の密閉型オンイヤーヘッドフォン「DTX 350 p」で、価格はオープンプライス、店頭予想価格は6,500円前後。「パワフルな重低音やクリアな高音」が特徴だという。
トップウイング & iFI-Audio
トップウイングのブースでは、ユニークな新製品2機種の試作機を展示している。iBanance、iAttenuator(どちらも仮称)で、iBananceは、DACなどから出力されたRCAのアンバランスを、バランス端子の出力に変換するアダプタ。試作機では、ソニーのヘッドフォン「MDR-Z7」とバランス接続できるように、3.5mm×2のバランス出力端子を装備。製品化の際はこれだけでなく、AKシリーズなどの2.5mm 4極バランス出力も搭載するなど、仕様を検討している段階だという。
iAttenuatorは、ボリュームを調節するアダプタで、ポータブルアンプとカスタムイヤフォンなどの間に挿入。イヤフォンの能率などにより、アンプ側のボリュームを上げると音が大きくなりすぎる場合に、アッテネーターで絞る使い方を想定。アンプ側の能力がフルに発揮される“おいしいボリューム域”を使いながら、音が大きくなり過ぎるのを防ぐ使い方ができるという。
また、Lottoのハイレゾプレーヤー「PAWGold」のベースとなっている、PCMレコーダも参考展示。日本でも春頃に発売する予定。さらに、「PAWGold」の低価格モデルなども検討されている。
OPPO Digital Japan
OPPOブースのメインは、USB DAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「HA-2」と、平面振動板を採用しつつ、ハウジングを密閉型としたポータブル向けヘッドフォン「PM-3」だ。3月20日発売で、価格はどちらもオープン。店頭予想価格はHA-2が39,000円前後、PM-3が55,000円前後と、リーズナブルになっている。
HA-2は、薄型金属筐体に革張りのスタイリッシュなデザインが特徴。厚さは12mmで、スマートフォンと組み合わせやすい。革の部分で保護する事で、スマホとアンプがぶつかって傷がつくのを防いでいる。
DACはESSの「ES9018K2M」。DSDは11.2MHz、PCMは384kHz/32bitまでの再生が可能で、iOS/Android端末とPC、ウォークマンなどと連携可能。アンプ部はAB級アナログアンプを採用。3,000mAh程度の大容量バッテリを搭載しており、スマートフォンなど、連携している機器に向けての“おすそ分け充電”も可能。
ヘッドフォン「PM-3」は、平面振動板を使っているのが特徴。通常のユニットでは、振動板の分割振動により周波数特性が悪化するが、平面磁界駆動方式では振動板全体で均質な振動ができるため、低音から高音までフラットな周波数特性が実現できるという。また、両面に駆動コイルを搭載することで、強力な駆動力と応答性を実現するとしている。
ユニットは真円の55mm径。既発売の「PM-1」や「PM-2」とは異なり、密閉型ハウジングになり、ユニット径やハウジング、ヘッドバンドなどが小さくなり、可搬性がアップしている。
オンキヨー
オンキヨーブースでは、2月4日にメジャーアップデートした、ハイレゾ再生アプリ「HF Player」を紹介。iOSアプリはVer.2.0に、従来はトライアル版だったAndroidアプリは正式版のVer.1.0となっている。
新たに、DSDへのリアルタイム変換再生などが追加されており、ブースでは実際にDSD変換したサウンドが聴けるようになっている。さらに、春頃に発売を予定しているハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤー「DAC-HA300」のサウンドもチェック可能だ。
また、来月にリリース予定のBluetoothスピーカーも参考展示。横長筐体で、サイドにスリット型ダクトを装備。4cm径のユニットを左右に各1基搭載するほか、背面には2基のパッシブラジエータも装備し、低音の再生能力を高めている。aptXに対応、NFCには非対応。価格は25,000円程度を予定。
KEF
カナル型イヤフォンの新モデルで、エントリー向けを想定している「M100」が参考展示された。10mm径のダイナミック型ユニットを採用。M200の下位モデルにあたる。
さらに、ヘッドフォンの「M500」に追加予定の、ブラックとホワイトのカラーバリエーションを展示。既存のシルバーと合わせ、3色展開になる予定。
ラトックシステム
DSD対応フルバランスポータブルヘッドフォンアンプ「REX-KEB02iP」のファームウェアアップデートを検討しており、新ファームを適用したモデルを展示。カメラコネクションキットを使わず、USB-Lightningケーブルで、直接iOS機器との接続が可能になる予定。
また、開発中の新モデル「REX-KEB03」の試作機も参考展示。iOS機器、ウォークマン、Android端末など、様々な機器と接続できるのが特徴のモデルだが、Android端末に最新のHF Playerをインストールし、DSD変換した楽曲を、「REX-KEB03」で再生できるデモも行なっていた。
バンナイズ
ポータブルプレーヤーやポータブルアンプを収納しやすいケースを多数開発しているバンナイズブース。それだけでなく、ヘッドフォンやイヤフォンを持ち運びやすいケースも手がけている。複数のヘッドフォンを収納できるボックスケース(取っ手を取り付ければバッグとして持ち歩きも可能)なども展示。
いずれも、本体を収納するだけでなく、ケーブルをまとめて固定するベロがついていたり、ポケットがついていたりと、細かな工夫がある。複数台収納できるタイプは、ヘッドフォンを収納した後で、仕切りの位置や角度を気軽に調整できる機構を搭載。可搬時に中でヘッドフォンが動いたり、細かなパーツがグチャグチャにならないよう抑えるといった使い方もできるという。
ユニークな製品では、イヤフォンを3個、6個など複数個、イヤーピースなども含めて収納できるケースも。
なお、ポタ研の会場で、AKシリーズの据置型ネットワークオーディオプレーヤー「AK500N」を“背負って”アピールしているスタッフの姿があったが、背負うためのリュック型ケースを手掛けたのもバンナイズだという。