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ハイレゾプレーヤー「AK240」に、音質追求のステンレスモデル。38万円

 アユートは、iriver Astell&Kernのハイレゾプレーヤーフラッグシップモデル「AK240」の筐体にステンレスティールを、背面にカーボンプレート+ゴリラガラスを採用した「AK240 256GB ステンレススティール」(AK240SS)を2月27日に発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は384,000円(税込)。カラーはシルバー。

AK240 256GB ステンレススティール

 既存のAK240(オープン/直販税込293,143円※2月19日時点)との違いは、筐体の素材。既存モデルは航空機グレードのアルミ(ジュラルミン)を使っているが、AK240SSではステンレススティールを採用している。iriverでは、理想の筐体素材を求めた研究を続けており、「ステンレススティールのサウンド面における優位性を確認し、着目した」という。

 素材が変わった事で、重量が従来の約185gから約275gと、90g重くなっている。こうした違いにより、「ノイズフロアの減衰による更なるクリアネスとフォーカス感の向上や、高い剛性と比重により共振を抑制する」という。

 加工には高い技術や精度、丁寧な切削が必要で「あえてその手間のかかる生産工程を得る事により、更なる高音質を獲得した」としている。

筐体にステンレススティールを使っている

 なお、AK240SSでは、背面のカーボンファイバープレートのコーティングにゴリラガラスを採用。強度を高めている。

左がAK240、右がAK240SS
左がAK240SS、右がAK240
右がAK240SS。カーボンファイバープレートのコーティングにゴリラガラスを使っている

 製品に付属する専用ケースも、既存モデルとは異なるものを同梱。フランスのレザークラフトメーカーのREMY CARRIAT(レミー・カリア)が手掛けている。加工技術を駆使して、自然な状態のまま皺や血管などが美しく表面に保たれているのが特徴で、仕上げには、クロム鞣しとベジタブルタンニング、植物油によるドラムダイなどを施している。

 ケースに使われているヌバックレザーは「Dolis」(ドリス)というもので、研磨によるかすかなシボ加工が施されている。さらに、3Mとのコラボレーションにより、ヌバックレザーの弱点である、色落ちや水分による劣化などへの耐久性が向上している。

REMY CARRIATのヌバックレザー「Dolis」を使ったケース

筐体素材以外は通常のAK240と同じ

 プレーヤーとしての機能は既存のAK240と同じ。256GBのフラッシュメモリを搭載し、microSD/SDHC/SDXCカードスロットを装備。

 再生対応ファイル形式はWAV、FLAC、WMA、MP3、OGG、APE、AAC、Apple Lossless、AIFF、DFF、DSF。DSDは5.6MHzまでをサポートし、ネイティブ再生が可能。PCMは32bit/192kHzまでをサポート。32bitはfloat/Integerに対応し、24bitにダウンコンバートしながらの再生となる。

 情報量の多いハイレゾ音源を再生している間も、快適な操作性を維持するためにデュアルCPUを採用。DSD再生専用のCPUも搭載している。

 DACにはシーラス・ロジックのハイエンドDAC「CS4398」を採用。L/Rチャンネル独立で、各1基搭載。グランドもL/R独立させたデュアルDAC構成とし、クロストークとS/N比、ダイナミックレンジの拡大や低歪化を実現している。

AK240SS

 アナログ出力は、ステレオミニのヘッドフォン出力に加え、2.5mm 4極バランス出力も装備。アンプもディスクリート構成になっている。

 USB DACとしても動作。192kHz/24bitのPCM、5.6MHzのDSDまでに対応する。ヘッドフォン出力をラインアウトとして使うモードを備えるほか、ステレオミニ出力は光デジタル出力端子も兼用。外部のDACやDAC内蔵アンプと連携する事もできる。

 無線LANを内蔵し、専用サーバーソフトをインストールしたPCから、ワイヤレスで音楽再生が可能。PCやNASに保存した音楽ファイルを、AK240へ直接ダウンロードする事もできる。Bluetooth 4.0もサポート。プロファイルはA2DP/AVRCPに対応する。

 ディスプレイは3.31型の有機ELで、解像度は480×800ドット。外形寸法は約107×66×17.5mm(幅×奥行き×高さ)。

既存のAK240とAK240SSを聴き比べてみる

AKT5pを使って試聴

 AK240は落ち着いたカラー、AK240SSはシルバーの明るい色味であるため、見た目ではAK240の方が“重そう”に見える。しかし、実際に持ち上げてみると「おっ」と驚くほどAK240SSの方がズシリと重い。数字的には90gの差だが、持ち比べると歴然とした違いがある。高級感はアップし、一人のオーディオマニアとしては“重いと嬉しい”が、ポータブル機器と考えた場合は良し悪しだろう。

 AK240とAK240SSに、ノラ・ジョーンズの「Don't Know Why」(192kHz/24bit)を保存。ヘッドフォンは、標準で2.5mm 4極バランスケーブルを採用した「AKT5p」を使って試聴した。

 AK240は、下位モデルのAK120IIやAK100IIと比べると、音の質感を描写する能力が高く、楽器の響きも余韻を美しく再生するタイプのプレーヤーだ。それを踏まえてAK240SSに切り替えると、音像の輪郭がシャープになり、雑味が減り、クリアで鋭い音になる。

 再びAK240に戻すと、音の響きが増え、音像もフワッと柔らかな輪郭に聴こえる。音の傾向が“クール”という意味では、AK100II、AK120IIの流れの上流にあるのがAK240SSという印象だ。

 個人的にはAK240の温かみのある音も好きだ。このあたりは好みにもよるだろう。ハイレゾ楽曲の情報量をより細かく、シャープに聴き取りたいという人はAK240SSの方が気に入るかもしれない。

(山崎健太郎)