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ヘッドフォンなどの“ハイレゾ測定基準”策定へ。オーディオ協会が測定方法を定義

 イヤフォン/ヘッドフォンの“ハイレゾ対応”を示すために、新たにメーカー共通の測定基準が標準化。JEITA(電子情報技術産業協会)の標準化委員会が測定基準を策定し、3月に協会規格の「RC-8140B-1」追補版を発表した。また、日本オーディオ協会は、これとは別に新たなメーカー共通の測定スキームの確立に向けて取り組む。オーディオ協会の測定基準の具体的な内容は、秋商戦までに発表される見込み。

 27日に行なわれた、日本オーディオ協会の'16年度事業方針説明会で明らかにしたもの。オーディオ協会内で設立予定の「ハイレゾ推進会議」において、規格策定に向けた取り組みが行なわれ、「ヘッドホン委員会」において、測定基準の解説浸透と、測定スキームを確立する。ヘッドホン委員会では、ヘッドフォンの頭内定位の解消に向けた取り組みなども検討する。

【訂正】記事初出時、新たな基準について「JEITAから今後発表される」としていましたが、発表内容に一部誤りがあり、実際は「JEITAは3月に公開、オーディオ協会は別に基準を策定する」という内容だったため、正しい情報を加えて修正しました(4月28日)

オーディオ協会の組織図。ヘッドホン委員会がハイレゾ測定基準の解説や測定方法の確立を進める

 JEITAやオーディオ協会などは、既にそれぞれハイレゾ対応機器を定義する基準を持っており、例えばオーディオ協会は48kHz/24bitなど、サンプリング周波数と量子化bit数のいずれかがCDスペック(44.1kHz/16bit)を上回っていることや、デジタル系では96kHz/24bit以上の信号処理性能、アナログ系ではスピーカー・ヘッドフォン高域再生性能:40kHz以上で、生産もしくは販売責任において聴感評価を行なうことなどを義務付けている。それらを満たした製品については、「ハイレゾ」ロゴを付与して販売可能としている。

 一方で、オーディオ協会がメーカーなどにハイレゾロゴの認定を行なう際に、ヘッドフォン/イヤフォンで“40kHz以上が出ている”と測定するための共通の測定基準や使用機材などは定まっていなかったことから、実際の周波数などは、メーカーがそれぞれ提出する測定データや使用した測定器の情報を元に、協会が承認する仕組みとなっている。

 新たな基準では、40kHz以上が出る際のdB数まで表示するといった細かな規定が行なわれる。オーディオ協会が公認した測定方法での結果が証明できるようになることで、消費者にとってハイレゾ対応機器について透明性のある新たな判断基準となる。オーディオ協会による測定方法は、全メーカーに強制するものではないが、方法を共通化することで、測定器などを持っていない中小のメーカーにも、測定可能な企業を紹介できるなど、メリットのある仕組みになるという。

 また、ハイレゾロゴを取得した製品についても、オーディオ協会への提出データと実際の製品が大きくかけ離れていた場合などは、消費者の誤解を招かないためにロゴの承認を取り消すといった可能性もあるという。

 オーディオ協会による新たなハイレゾ測定基準については今後発表される予定で、秋商戦ごろまでの策定を目指す。また、オーディオ協会が10月21日~22日に東京・秋葉原で開催する「音のサロン&カンファレンス」のカンファレンス内で説明される。

10月21日~22日の「音のサロン&カンファレンス」でも発表される予定

 現在、オーディオ協会のハイレゾロゴを使用する企業の数は57で、台湾、中国系企業の増加や、IT系企業からの参入が増加。ハイレゾ対応製品の中でヘッドフォン/イヤフォンの割合が高まる中で、協会は「ハイレゾ定義とオーディオらしさのバランス化が今後の課題」としている。

 27日の説明会では、「音のサロン&カンファレンス」のほか、'17年5月13日~14日に東京国際フォーラムで開催予定の展示会「OTOTEN」(従来のオーディオ・ホームシアター展/音展から名称変更)の概要を発表。'17年の開催は“改革、刷新”を大きく打ち出し、若年層や女性を含めた新しい市場創造を目指した取り組みを展開する。イベントの概要などについては別記事でレポートする。

(中林暁)