ニュース

RME、30ch対応のUSB/FireWireオーディオ「Fireface 802」。iPad/Thuderbolt接続も

 シンタックスジャパンは、独RME製のUSB/FireWireオーディオインターフェイス「Fireface 802」を6月26日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、228,000円前後(税込)。パソコン接続時の対応OSはWindows XP/Vista/7/8以降と、Mac OS X 10.6以降。

Fireface 802
Fireface 802の前面/背面

 USB 2.0とFireWire接続に対応した、19インチ1Uラックマウントサイズのプロ向けオーディオインターフェイス。'04年から10年に渡って販売されている「Fireface 800」の後継機で、「次の10年を見据えたプロフェッショナルのためのオーディオインターフェイス」としている。3月にドイツ・フランクフルトで開催された展示会「musikmesse 2014」にあわせて発表され、日本でも近日発売予定としていた。

 入出力は各30ch(従来モデルは28ch)にしたほか、2基のDSPを内蔵するなど、最上位モデル「Fireface UFX」(直販255,000円/税込)と同等のスペックまで強化。クラス・コンプライアント(CC)モードにも対応し、iPadとCamera Connection Kit経由で接続してデジタル入出力できる。本体は、前面左側がシルバーカラーの新デザインを採用。なお、FireFace 800に搭載していたスピーカーエミュレーション機能は802では省いている。

RMEプロダクト マネージャーのMax Holtmann氏が説明

 UFXとの違いとして、802はボリュームノブや液晶ディスプレイ、USBメモリ/HDDドライブへの直接録音機能などは搭載しないが、音質はUFXと同等まで高めたという。RMEのプロダクトマネージャー、Max Holtmann氏は「スペックを重視する日本でも受け入れられるよう強化した。音質は、RME独自の哲学に基づき、フラットで色付けの無い音を目指してチューニングした」と述べている。

 192kHz/24bit対応で、最大12chのアナログ入力と18chのデジタル入力を装備。44.1/48kHz時は30トラックへ個別にレコーディング可能。88.2/96kHzの場合は入出力それぞれ22ch、176.4/192kHzは各18chとなる。

中央上段が新モデルの「Fireface 802」、下が従来の「Fireface 800」
前面端子/デザインの主な変更部分
最上位のUFXに次ぐモデルに位置付けられている
背面

 アナログ入力12系統のうち4系統はXLR/TSコンボジャックで、マイク/Hi-Z対応の楽器と接続可能。残り8系統はTRS。出力は4系統がハイエンドのマイクプリアンプを搭載する。ヘッドフォン出力は2系統に強化(従来モデルは1系統)した。デジタル入出力は、USBに加え新たにAES/EBUの入出力各1系統を備えたほか、ADAT入出力を各2系統も装備。うち1系統は光デジタル入出力として利用できる。ワードクロック入出力(BNC)も備える。

 USBは2.0を採用。既発売の「MADIface XT」ではUSB 3.0だが、Fireface 802でUSB 2.0を採用した理由についてHoltmann氏は「MADIface XTのように196chなどを扱う場合はUSB 3.0が必要だが、30ch入出力には、USB 3.0のバンド幅は不要。多くのコンピュータで利用できるよう、今回はUSB 2.0とした」と説明した。

 FireWire 400/800端子を各1系統装備。別売アダプタを利用することでThunderbolt接続も可能で、USB/FireWire/Thunderboltいずれの接続時もレイテンシなどのパフォーマンスは同等としている。

アナログ入出力部
デジタル入出力部
FireWireは、別売ケーブル利用でThunderbolt接続も可能

 デジタル接続時は、独自の「SteadyClock」機能によりジッターを大幅に低減。アシンクロナスモードで動作し、高精度な内部クロック回路により入力信号に対して正確に追従できる。同機能により、外部のマスタークロックと接続した場合もジッターを抑えた再生を可能にするという。

 パソコン用のバンドルソフト「TotalMix FX」により、エフェクトやミキシング、ルーティングなどの設定が可能。Fireface 802に内蔵した2基のDSPのうち、1基はエフェクト専用となっており、EQやダイナミクス、リバーブ/エコーなどを利用できる。

 iPadとのUSB接続時(Camera Connection Kit使用)は、アプリ「TotalMix FX for iPad」を利用してiPadからのコントロールが可能。入出力90チャンネル分のレベルメーターやエフェクトなど全ての機能をiPadから制御できる。iPad接続時もSteadyClock機能が利用でき、ジッターを抑えた高音質再生を可能としている。

iPadとの接続例
iPad用のDAWアプリや、TotalMix FX for iPadアプリを使って連携できる

 別売コントローラ「Advanced Remote Control」との接続も可能。Volume/DIM/Store/Recall/Mono/Talkbackなどの操作が行なえる。

 外形寸法は483×242×44mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3kg。ACケーブルやADAT/光デジタルケーブル、USBケーブルなどが付属する。

別売「Advanced Remote Control」での操作も可能
KS digitalのアクティブスピーカーでFireFace 802と800を比較試聴。Holtmann氏が言う通り音質の傾向に大きな違いは無いが、新モデル802の方が従来のフラット感は損なわずに迫る低音のインパクトが増した現代風のサウンドに仕上がっていると感じた

(中林暁)